身延山久遠寺は、山梨県南巨摩郡身延町に位置する日蓮宗の総本山であり、標高1,153メートルの身延山に鎮座する歴史ある寺院です。春には境内を彩る樹齢400年を超えるしだれ桜が「全国しだれ桜10選」にも選ばれており、登山やハイキングと花見を同時に楽しめる貴重なスポットとして全国から多くの人々が訪れています。2026年は3月22日から24日の時点ですでに満開を迎えており、例年よりやや早めの開花となりました。
本記事では、身延山の登山コースや久遠寺の見どころ、しだれ桜の見頃情報から、アクセス方法、周辺の観光スポットやグルメまで、身延山を訪れる際に役立つ情報を詳しくお伝えします。これから身延山への旅を計画されている方にとって、充実した旅程を組むための参考になれば幸いです。

身延山久遠寺とは?日蓮宗総本山の700年を超える歴史
身延山久遠寺は、鎌倉時代から続く日蓮宗の総本山として、700年以上の歴史を誇る寺院です。その歴史は、日蓮聖人が1274年(文永11年)5月17日に身延山に入山したことに始まります。
日蓮聖人は同年6月17日より、鷹取山のふもとの西谷に構えた草庵を住処とし、法華経の読誦と門弟たちの教導に専念しました。この地で約9年間にわたり、弟子たちの育成と法華経の布教に力を注いだのです。1281年(弘安4年)11月24日、日蓮聖人は旧庵を廃して本格的な堂宇を建築し、自ら「身延山妙法華院久遠寺」と命名しました。これが久遠寺の正式な始まりとされています。
1282年(弘安5年)、療養と両親の墓参のため身延山を下った日蓮聖人は、武蔵国池上(現在の東京都大田区)にて61年の生涯を閉じました。日蓮聖人の遺言により、その遺骨は身延山に送られ久遠寺に安置されることとなりました。その後、久遠寺は日蓮聖人の本弟子である六老僧の一人、日向上人とその門流によって継承され、約200年後の1475年には現在の地へと移転が行われています。
戦国時代には甲斐の武田氏の崇拝と外護を受け、その後は徳川家の保護のもとで大いに栄えました。1706年には皇室勅願所となり、日蓮宗の最高位の寺院としての地位を確固たるものとしています。現在、身延山総門内には約300万坪(約990ヘクタール)もの広大な敷地が広がっており、数えきれないほどの文化財や歴史的建造物が点在しています。本堂地階に設けられた身延山宝物館では、国宝や重要文化財をはじめとする収蔵品が随時展示されており、日蓮聖人や久遠寺の歴史を深く学ぶことができます。
久遠寺境内の見どころと身延山参拝の魅力
久遠寺の境内には、訪れる者を圧倒する数多くの見どころが存在します。まず身延山の入口に立つ総門は、久遠寺への参拝の第一歩となる場所です。ここから境内へと続く参道は杉並木に囲まれた荘厳な雰囲気が漂い、春にはしだれ桜が薄紅色に染まります。
続く三門は久遠寺の象徴的な建造物の一つです。「三門」の「三」は三解脱(空・無想・無願)を意味しており、この門をくぐることにより参拝者の邪念や我欲が払われるといわれています。壮大な木造建築は、日蓮宗の総本山にふさわしい風格を持ち、記念撮影のスポットとしても人気があります。
三門をくぐった先に待ち受けるのが、久遠寺最大の名物ともいえる菩提梯(ぼだいてい)です。高低差104メートル、全287段の石段が鬱蒼とした杉木立の中をまっすぐに延びています。「菩提」とは煩悩を断ち切って悟りの境地に達することを意味し、「梯」は階のことです。287段を登り切れば涅槃に達するという言い伝えもあり、参拝者にとっては心身ともに試される場所でもあります。石段は一段一段が高く、登り切るにはそれなりの体力が必要ですが、途中で振り返ると杉木立の間から差し込む光が美しく、登り切った先に広がる境内の開放感は格別です。体力に自信のない方のために、菩提梯を迂回する斜行エレベーターや車道も整備されています。
菩提梯を登り切ると、正面に壮厳な本堂が現れます。日蓮宗の総本山にふさわしい堂々たる建築で、内部には日蓮聖人が自ら彫刻したとされる御本尊が安置されています。艶やかな朱塗りが印象的な祖師堂(棲神閣)は、日蓮聖人を祀る重要な建物であり、その美しい朱色の外観は周囲の緑や桜の花との対比で一際映えます。
2009年に再建された五重塔は、久遠寺境内の新たなランドマークとなっています。もともとは1620年代に建立されましたが、幾度かの火災により焼失していました。再建された五重塔は伝統的な建築様式を忠実に再現しつつ現代の耐震技術を取り入れた堂々たる建造物で、高さは約36メートルです。境内のどこからでもその姿を望むことができます。
身延山久遠寺のしだれ桜の見頃と2026年の開花状況
身延山久遠寺のしだれ桜は、「全国しだれ桜10選」にも選ばれた日本を代表する桜の名所です。境内には約50本のしだれ桜が植えられており、例年3月下旬から4月上旬にかけて見頃を迎えます。
樹齢400年を超える身延山のしだれ桜の古木
久遠寺境内には、樹齢400年を超えるしだれ桜の古木が2本あります。祖師堂(棲神閣)の前に立つものは「妙法桜」と呼ばれ、もう一方の客殿前に位置するものは「瓔珞桜(ようらくざくら)」と呼ばれています。瓔珞とは仏像の首や胸にかける装飾品のことで、枝から垂れ下がる花の姿が瓔珞に似ていることからこの名が付けられました。地面まで垂れ下がる枝々に無数の淡いピンク色の花を付け、盛大に咲き誇る様は圧巻の一言です。樹齢400年という長い歳月を経てなお毎年変わらず美しい花を咲かせ続けるその姿には、生命の力強さと悠久の時の流れを感じずにはいられません。
2026年の身延山しだれ桜の開花状況と見頃
2025年は3月28日から4月1日頃に満開を迎えました。2026年は3月22日から24日の時点で満開との情報があり、例年よりやや早めの開花となっています。見頃の時期は平日でもやや混雑し、休日には大変な混雑となります。特に満開の週末は多くの花見客で賑わうため、早朝の訪問がおすすめです。
桜の時期には総門から境内まで続く参道沿いにもしだれ桜が咲き誇り、薄紅色のトンネルのような美しい光景が広がります。境内全体が桜色に染まる様子は、まさに極楽浄土を思わせる光景であり、多くの参拝者や観光客の心を捉えて離しません。
身延山しだれ桜のおすすめ撮影スポット
しだれ桜の撮影スポットとして特におすすめなのが、祖師堂前の「妙法桜」と朱塗りの祖師堂との組み合わせです。朱色の建物と淡いピンクの桜のコントラストが美しく、最も人気の高い撮影ポイントとなっています。五重塔としだれ桜の組み合わせも見事で、再建された五重塔の優美な姿と桜の花が織りなす風景は、日本の美を凝縮したかのような光景です。菩提梯の下から見上げるしだれ桜も見応えがあり、287段の石段の上に広がる桜の花がまるで天上の花園のように見えます。
身延山の登山コースと所要時間
身延山は標高1,153メートルの山で、山頂までは複数の登山コースが整備されています。登山というよりもハイキングに近いレベルの山であり、終始林道歩きとなるため特別な登山装備がなくても登ることが可能です。ただし、表参道の三光堂から上は砂利道になり傾斜もあるため、トレッキングシューズを履いていくと安心です。
東コース(奥之院参道)で身延山山頂を目指す
東コースは、久遠寺の本堂裏を起点として山頂の奥之院を目指すコースです。片道約5キロメートルの道のりで、上りに約2時間30分、下りに約1時間30分を要します。コース上には鬼子母神堂(十如坊)、丈六堂、大光坊(三光堂)といった寺院や堂宇が点在しており、信仰の歴史を感じながら歩くことができます。道は比較的整備されており、急な岩場などの危険箇所はありません。途中の大光坊からは富士山や南アルプスの山々を望むことができるポイントもあります。
西コースで信仰の道を歩く身延山登山
西コースは、県道を戻り林蔵坊手前から妙石坊を経由して山頂を目指すルートです。東コースに比べてやや距離がありますが、いくつもの寺院を巡りながら登る信仰色の濃いコースとなっています。妙石坊は日逢上人が開創した場所で、日蓮聖人が座ってお弟子たちに教えを説いたといわれる「高座石」があります。七面大明神が天女の姿を顕したとされる伝説の地としても知られています。
東西周回コースで身延山登山を満喫する
身延山を最も堪能できるのが、東コースと西コースを組み合わせた周回ルートです。標高差約1,040メートル、総距離約13.5キロメートルで、参考コースタイムは約5時間の日帰りコースとなっています。おすすめのルートは東コースで登り西コースで下山するパターンです。東コースは勾配が比較的緩やかなため登りに適しており、西コースは下山しながら各寺院を巡ることができます。登山道は砂利道か舗装路で危険箇所は全くないため、登山初心者でも安心して歩くことができます。ただし距離が長いため、十分な水分と軽食を持参することをおすすめします。
身延山ロープウェイと山頂からの絶景
身延山には、久遠寺駅(山麓駅)と奥之院駅(山頂駅)を結ぶロープウェイが運行されています。体力に自信がない方や時間が限られている方でも、気軽に山頂からの絶景を楽しむことができます。
身延山ロープウェイの全長は1,665メートルで、ふたつの駅の高低差は763メートルにも達します。片道約7分で山頂まで到達することができ、ゴンドラの中からは富士山や周囲の山々の壮大なパノラマを楽しむことができます。ロープウェイは通年運行されていますが、天候や点検により運休となる場合もあるため、事前に公式サイトで運行状況を確認してから訪れることをおすすめします。
身延山山頂の3つの展望台からの眺望
山頂には3つの展望台が設けられており、それぞれ異なる方角の絶景を楽しむことができます。東側展望台と南側展望台からは日本の象徴である富士山の雄大な姿を望むことができます。天候がよければ駿河湾や伊豆半島まで見晴らすことができ、その眺望は息をのむほどの美しさです。北側展望台からは南アルプスの名峰群を一望することができます。荒川三山、白峰三山、鳳凰三山、そして八ヶ岳のパノラマビューは、登山愛好家にとっても見逃せない絶景です。
奥之院思親閣への参拝と山頂の施設
山頂には、日蓮聖人が父母を偲んで建立したとされる奥之院思親閣があります。「思親」の名の通り、日蓮聖人が故郷の安房国(現在の千葉県南部)の方角を眺め、亡き父母を偲んだ場所として伝えられています。境内には日蓮聖人お手植えと伝えられる杉の木もあり、800年近い歳月を経た巨木がそびえ立っています。山頂駅には展望台のほかにもレストランや売店が直結しており、地元名産のゆばや竹炭などを使ったメニューを楽しむことができます。
身延山久遠寺へのアクセスと駐車場情報
身延山久遠寺へは、車と電車のいずれでもアクセスが可能です。
車を利用する場合、中部横断自動車道の身延山インターチェンジを下りて県道10号線の本栖湖・身延山方面へ右折します。身延橋東詰の交差点を県道9号線の国道52号・清子方面へ左折し、富士川を渡って久遠寺入口の交差点を道標に従い右折して終点まで進みます。中央自動車道を利用する場合は甲府南インターチェンジから国道140号線を経由して約1時間30分、東名高速道路からは新清水インターチェンジから国道52号線を北上して約1時間30分のアクセスとなります。
電車を利用する場合は、JR身延線の身延駅が最寄り駅です。身延駅からは路線バスで約15分、または徒歩で約30分で久遠寺に到着します。新宿から特急「ふじかわ」を利用すれば、甲府駅経由で約3時間のアクセスです。
身延山の駐車場と料金について
身延山ロープウェイ山麓の久遠寺駅入口付近には有料駐車場があります。標高340メートルの位置にあり、普通車の駐車料金は最初の1時間が300円、以降30分ごとに100円が加算されます。約900メートル手前には町営の仲町無料駐車場もあり、こちらを利用すれば駐車料金を節約できます。ただし桜の時期や休日は無料駐車場も混雑するため、早めの到着を心がけたいところです。桜の時期には臨時駐車場が開設されることもありますが、それでも混雑は避けられないため、公共交通機関の利用も検討するとよいでしょう。
身延山周辺のおすすめ観光スポットとグルメ
身延山久遠寺を訪れた際には、周辺の観光スポットやグルメも合わせて楽しむことで旅の充実度が格段に高まります。
身延ゆばは身延町を代表する名物グルメ
身延町を代表するグルメといえば「身延ゆば」です。身延ゆばの歴史は古く、日蓮聖人が身延山に在山中、弟子が師のために作って供したものが今に伝えられたといわれています。この地の良質な地下水を豊富に使い、毎日丁寧に作られる生ゆばは新鮮そのものです。豆乳から薄い膜を引き上げて作る身延ゆばは、大豆の風味が豊かでなめらかな食感が特徴です。ゆばの里では引き上げ湯葉の製造体験もできるほか、刺身ゆば、ゆばの煮物、ゆば丼など多彩なゆば料理を提供する飲食店が身延山周辺に点在しています。
身延饅頭と門前町の食べ歩き
身延山の門前町で古くから親しまれてきた銘菓が身延饅頭です。さっぱりとした甘味が特徴で、参拝のお土産としても人気があります。門前町には老舗の饅頭店が軒を連ね、焼きたての饅頭を購入することができます。1個売りをしている店もあるので、食べ歩きにも最適です。
下部温泉で登山の疲れを癒す
身延山から車で約30分の場所にある下部温泉は、武田信玄の隠し湯として知られる歴史ある温泉地です。泉質は単純鉱泉で、湯温は約32度とぬるめであることが特徴です。名湯100選にも選ばれた確かなお湯で、飲用も可能です。登山やハイキングで疲れた体を癒すには最適の温泉であり、日帰り入浴を受け付けている宿も多く、身延山への参拝と合わせて宿泊を計画するのもおすすめです。
七面山への本格登山と甲斐黄金村・湯之奥金山博物館
身延山の近くにそびえる七面山(標高1,989メートル)は、日蓮宗における信仰の山として知られています。身延山よりもさらに本格的な登山を楽しみたい方にはおすすめの山です。山頂付近には敬慎院という宿坊があり宿泊することもできます。ご来光スポットとしても有名で、富士山から昇る朝日を拝むことができます。また、身延町にある甲斐黄金村・湯之奥金山博物館では戦国時代の金山の歴史を学ぶことができ、砂金採り体験などの体験型プログラムも用意されています。
身延山登山に適した服装と持ち物
身延山登山を安全に楽しむためには、適切な服装と持ち物の準備が欠かせません。
身延山は標高1,153メートルの山であるため、山頂付近は麓よりも気温が低くなります。特に春先の3月下旬から4月上旬のしだれ桜の時期は、麓では暖かくても山頂では肌寒いことがあるため、防寒のための上着を必ず持参しましょう。登山道は砂利道や舗装路が中心ですが、一部ぬかるみや滑りやすい箇所もあるため、トレッキングシューズや滑りにくい靴を履いていくことをおすすめします。スニーカーでも登ることは可能ですが、下りの際に足への負担が大きくなるため、できればクッション性のある靴が望ましいです。
水分は十分に持参することが重要です。東西周回コースは約5時間の行程となるため、最低でも1リットル以上の飲料水を用意しておきましょう。途中に自動販売機や売店がある箇所は限られているため、出発前に十分な水分を確保しておくことが大切です。軽食やおにぎりなどの行動食も持参するとよいでしょう。山頂のレストランを利用することもできますが、混雑時は待ち時間が長くなることもあります。その他、雨具、日焼け止め、帽子、タオル、カメラなども持っていると便利です。春の桜の時期は天候が変わりやすいため、折りたたみ傘やレインウェアがあると安心です。
身延山登山としだれ桜を楽しむモデルコース
身延山の登山としだれ桜の花見を効率よく楽しむためのモデルコースをご紹介します。
日帰りモデルコース(ロープウェイ利用・所要時間約4から5時間)
早朝に到着し、まず久遠寺境内のしだれ桜をゆっくりと鑑賞します。朝の光の中で見るしだれ桜は、昼間とはまた違った趣があります。人出が少ない時間帯であれば、じっくりと写真撮影も楽しめます。その後ロープウェイで山頂へ向かい、奥之院思親閣に参拝します。3つの展望台からの絶景を楽しんだ後、山頂のレストランで昼食をとります。下山はロープウェイを利用するか、体力に余裕があれば東コースまたは西コースを歩いて下山するのもよいでしょう。下山後は門前町で身延饅頭やゆば料理を楽しみ、お土産を購入します。時間に余裕があれば下部温泉で日帰り入浴を楽しんで帰路につくのもおすすめです。
日帰りモデルコース(登山コース利用・所要時間約7から8時間)
健脚者向けのコースとして、登山道を利用した周回コースもあります。朝早く出発し、まず久遠寺境内でしだれ桜を鑑賞した後、東コースから登山を開始し各寺院を巡りながら山頂を目指します。山頂では展望台からの絶景を楽しみ、奥之院思親閣に参拝します。下山は西コースを利用し、妙石坊などの見どころを巡りながら下山します。下山後は門前町での食事とお土産購入を楽しむことができます。
1泊2日モデルコースで身延山を満喫する
時間に余裕がある方には1泊2日のコースがおすすめです。1日目は午後に到着し、久遠寺境内を散策します。門前町で身延ゆばの夕食を楽しみ、身延山の宿坊または下部温泉に宿泊します。身延山には複数の宿坊があり、朝のお勤め(朝勤)に参加することもできます。2日目は早朝にしだれ桜を鑑賞した後、登山コースまたはロープウェイで山頂を目指し、参拝と絶景を楽しんでから帰路につきます。
身延山久遠寺を訪れる際の注意点とマナー
身延山久遠寺は日蓮宗の総本山であり、信仰の場であることを忘れてはなりません。観光や登山を楽しむ際にも、適切なマナーを守って訪れることが大切です。
久遠寺は現在も多くの僧侶が修行を行う活きた寺院です。境内では静かに行動し、本堂や祖師堂では合掌して参拝するのが望ましいでしょう。堂内での写真撮影が制限されている場所もあるため、案内表示に従うようにしましょう。
しだれ桜の枝は非常に繊細であるため、枝に触れたり引っ張ったりすることは厳禁です。樹齢400年の古木を守るためにも、柵の内側に入ったり幹に寄りかかったりしないよう注意が必要です。三脚を使用しての撮影は、他の参拝者の通行の妨げにならないよう配慮しましょう。
身延山は比較的安全な登山道ですが、天候の急変や体調不良には注意が必要です。特に冬季は積雪や凍結がある場合もあるため、事前に登山道の状況を確認してから出発しましょう。単独登山の場合は、家族や知人に行き先と予定を伝えておくことも大切です。
桜の時期、特に週末は非常に混雑します。駐車場の確保が困難になることもあるため、可能であれば平日の訪問をおすすめします。休日に訪れる場合は午前7時頃までの到着を心がけると、比較的ゆっくりと桜を鑑賞することができます。
身延山久遠寺の年中行事と季節の楽しみ方
身延山久遠寺では、一年を通じてさまざまな行事が執り行われています。桜の時期以外にも訪れる価値のある行事が多数あります。
毎年2月3日に行われる節分会は、久遠寺の冬の恒例行事です。豆まきによって厄を払い福を招く伝統的な行事で、本堂前で行われる豆まきには多くの参拝者が訪れます。
毎年10月11日から13日にかけて行われる御会式万灯行列は、身延山久遠寺で最も重要な年中行事の一つです。御会式は日蓮聖人の命日(10月13日)を偲ぶ法要であり、全国から多くの信徒が集まります。万灯行列では美しく飾られた万灯が夜の参道を練り歩き、幻想的な光景が広がります。この時期の久遠寺は、春の桜とはまた違った荘厳な雰囲気に包まれます。
大晦日の夜には久遠寺の鐘楼で除夜の鐘が撞かれます。午後11時より「歳末読誦会」が始まり、午後11時40分頃から除夜の鐘が鳴り始めます。この大梵鐘は徳川家康の側室であるお万の方が寄進したものと伝えられており、歴史的にも貴重な鐘です。大晦日に限り先着順で一般参拝者も鐘を撞くことができ、毎年多くの人がこの機会を楽しみに訪れます。そのほかにも春には花まつり(4月8日)、夏には盂蘭盆会、秋には報恩会などが行われており、季節ごとに異なる久遠寺の表情を楽しむことができます。
身延山の宿坊で精進料理と朝勤を体験する
身延山久遠寺の周辺には約20の宿坊が参拝者を受け入れており、数百年の歴史を持つ施設も多くあります。宿坊に宿泊することで僧侶の日常に近い体験ができ、身延山の信仰と文化をより深く理解することができます。
宿坊とは、もともと僧侶や参拝者のための宿泊施設として設けられたもので、寺院の境内やその周辺に位置しています。身延山には31の坊が点在しており、そのうち約20が一般の参拝者や観光客を受け入れています。
宿坊に宿泊する最大の楽しみの一つが精進料理です。肉や魚を使わず季節の野菜を中心に食材本来の味を活かして丁寧に作られる精進料理は、身延山の宿坊では地元名産の湯葉をふんだんに使った料理が提供されることが多いです。刺身こんにゃく、ゆばの煮物、季節の天ぷらなど、ヘルシーでありながら満足感のある食事を楽しむことができます。
身延山久遠寺での宿坊体験のハイライトともいえるのが、早朝の朝勤への参加です。朝勤は本堂に数十人の僧侶が一同に会し、お経を読みお題目を唱える荘厳な儀式です。4月から9月は朝5時30分から、10月から3月は朝6時から行われます。早朝の凛とした空気の中で響くお経の声は心身を清め、日常のストレスを忘れさせてくれます。宗派を問わず誰でも参加することができるので、宿坊に宿泊した際にはぜひ体験していただきたいものです。
主な宿坊施設としては、約550年の歴史を持つ覚林坊では創作精進料理や湯葉取り体験が人気で、写経体験や着物体験なども提供しています。山本坊は季節の野菜を中心とした本格的な精進料理で知られる宿坊です。750年以上の歴史を持つ志摩房は身延山の中でも最も歴史の古い宿坊の一つであり、写経体験や唱題行なども体験できます。
身延山は700年以上の歴史を持つ日蓮宗の総本山として、信仰の場として、登山の山として、そして桜の名所として多くの魅力を持つ場所です。樹齢400年を超えるしだれ桜が咲き誇る春の身延山は、日本の美の原点ともいえる風景を見せてくれます。287段の菩提梯を登り切った先に広がる境内、ロープウェイで一気に到達する山頂からの大パノラマ、そして門前町で味わう身延ゆばや身延饅頭など、身延山には一日では楽しみきれないほどの魅力が詰まっています。ぜひ一度、身延山久遠寺を訪れ、しだれ桜と登山の両方を楽しんでみてはいかがでしょうか。








