摩耶山・掬星台は、神戸市街地から気軽にアクセスできる標高702mの山で、春のハイキングと六甲山縦走の拠点として多くの登山者に親しまれています。日本三大夜景のひとつに数えられる掬星台からのパノラマ展望と、桜や新緑に彩られた登山道は、春ならではの魅力にあふれたスポットです。さらに六甲全山縦走路の核心部に位置する摩耶山は、初心者の日帰りハイキングから健脚者のロングトレイルまで、幅広い楽しみ方ができる山となっています。この記事では、摩耶山と掬星台の概要から春のおすすめハイキングルート、六甲山縦走との関わり、アクセス方法、持ち物や装備、周辺スポットまで、2026年春の最新情報を交えて詳しくお伝えします。これから春の摩耶山ハイキングを計画している方や、六甲全山縦走に挑戦したい方にとって、きっと役立つ情報が見つかるはずです。

摩耶山とは?神戸を代表する標高702mの名山
摩耶山は、兵庫県神戸市灘区に位置する標高702mの山で、六甲山地の中央部に連なっています。六甲山系の中では六甲山最高峰(931.3m)に次ぐ知名度を持ち、山上の掬星台や天上寺をはじめとする観光施設が充実していることから、登山初心者から経験者まで幅広い層に親しまれている山です。
「摩耶山」という名前の由来は、大同元年(806年)に弘法大師空海が唐から持ち帰った摩耶夫人(まやぶにん・釈迦の生母)の像を天上寺に安置したことにあります。古くは八つの国が見渡せることから「八州嶺(はっしゅうれい)」とも呼ばれていました。現在では日本三大夜景の地として全国的に名が知られ、年間を通じて多くのハイカーや観光客が訪れています。
山頂付近には摩耶自然観察園があり、春にはツツジ、初夏にはアジサイが咲き誇り、四季折々の植物を無料で楽しむことができます。また、ロープウェーの「星の駅」2階にはCAFE 702があり、テラス席からの眺望は格別です。冬季にはこたつ席が登場するユニークな企画も実施されており、暖かいこたつに入りながら夜景を楽しめると人気を集めています。
掬星台の魅力~日本三大夜景を誇る絶景展望広場
掬星台は摩耶山の山頂に位置する展望広場で、その名は「手で星を掬(すく)えるほど星空が美しい場所」に由来しています。函館山、稲佐山(長崎)とともに日本三大夜景のひとつに選ばれており、「1000万ドルの夜景」とも称される絶景スポットです。
展望広場からは、六甲アイランド、ポートアイランド、神戸市街地、大阪市街地、大阪湾に浮かぶ船舶の明かりまで、パノラマのように広がる景色を堪能できます。昼間は晴れた日であれば淡路島や関西国際空港まで見渡せることもあり、特に冬場は空気が澄んでいるため視界がさらにクリアになります。
掬星台には「摩耶きらきら小径」という約40mの遊歩道が整備されています。地面には蓄光石(通称「まやストーン」)が天の川をモチーフに敷き詰められており、ブラックライトの照明によって青白く幻想的に浮かび上がります。きらきら小径のライトアップは23時まで行われており、夜間の散策をロマンチックに演出してくれるスポットです。夜景を楽しむベストな時間帯は、日没の少し前に到着することです。マジックアワーと呼ばれる日没直後の空が紫やオレンジに染まる時間帯の景色と、その後に広がる夜景の両方を楽しむことができます。
摩耶山天上寺の歴史~約1400年の古刹を訪ねて
摩耶山の歴史を語る上で欠かせないのが、摩耶山天上寺(正式名称:忉利天上寺・とうりてんじょうじ)の存在です。天上寺は大化2年(646年)に孝徳天皇の勅願により、天竺の伝説的高僧である法道仙人によって開創されたと伝わっています。本尊は釈迦自らが彫り上げたとされる一寸八分の秘仏・十一面観音像で、法道仙人が唐を経て日本に持ち込んだものとされています。
山号は摩耶夫人にちなんで「仏母摩耶山」、寺号は摩耶夫人が昇天した忉利天(とうりてん)の名から「忉利天上寺」と名付けられました。通称「摩耶山天上寺」として広く知られ、新西国三十三箇所第22番札所にもなっています。釈迦の生母である摩耶夫人を本尊とする寺院は日本でここだけという唯一の存在です。
江戸時代には徳川家光によって摂津国の鎮護寺(護国寺)に選定され、紀州徳川家が将軍家の代参の役を務めました。このため天上寺の紋は、天皇家より賜った五七の桐紋と徳川家より賜った三つ葉葵紋を合わせた二種紋となっています。
しかし1976年(昭和51年)1月30日未明、賽銭泥棒による放火のため、仁王門や一部の塔頭・庫裏を除いて全焼するという悲劇に見舞われました。現在の天上寺は北方約1kmにある摩耶別山(天上寺創生の地とされる場所)に移転し、昭和60年に金堂が再建されて現在に至っています。2020年(令和2年)4月には高野山真言宗から独立し、「摩耶山真言宗」の総本山となりました。
旧天上寺の跡地は「摩耶史跡公園」として整備されています。焼け残った仁王門や石垣、石段が往時の面影を伝えており、太平記に登場する摩耶山城の史跡としても知られています。北側には赤松円心の碑も残されており、ハイキングの途中に立ち寄れば、約1400年の歴史に思いを馳せることができるでしょう。
春のおすすめハイキングルート~初心者から中級者まで楽しめるコース
青谷道ルート~渓谷沿いの新緑と森林浴を満喫
青谷道は、阪急王子公園駅から西側に徒歩約20分の登山口からスタートし、仁王門と史跡公園を経て掬星台に至るルートです。所要時間は上り約2時間、下り約1時間45分で、渓谷沿いに道が続く自然豊かなコースとなっています。
大きな馬頭観音像が立つ妙光院の先が登山口で、渓谷沿いに道が続きます。旧摩耶道との分岐にある行者堂跡からは本格的な登山道に入りますが、道幅は広くて歩きやすく、登りも比較的緩やかです。登山口から約15分上がると、神戸市唯一の茶園「静香園」があり、舗装路なのでスニーカーでもお茶を楽しみに来る人がいるほどアクセスしやすい場所です。
春の青谷道は渓谷沿いの新緑が美しく、木漏れ日の中を歩く森林浴が最大の魅力です。ただし、行者堂跡のすぐ先には滑りやすい岩盤があるため、雨の翌日などは特に注意が必要です。仁王門に到着すると長い石段が始まり、旧天上寺跡(摩耶史跡公園)を経て掬星台に至ります。
上野道ルート~初心者に最もおすすめの展望コース
上野道は、阪急王子公園駅から東側に徒歩約20分の登山口から、虹の駅分岐と青谷道合流地、史跡公園を経て掬星台に至るルートです。距離は約2.3km、所要時間は上り約1時間45分、下り約1時間30分で、摩耶山の登山ルートの中でも見晴らしスポットが多いのが特徴です。
途中にある摩耶ケーブル虹の駅への分岐付近には、眺望の良いベンチ広場があり、休憩に最適です。体力に不安がある方は、ここまで登って景色を楽しんだ後、虹の駅からケーブルカーで下山するショートコースも選べます。上野道を登ると、江戸時代後期に建立された歴史ある仁王門をくぐることができます(現在、仁王像はなく門のみが残されています)。
初心者や普段運動をしていない方には、この上野道ルートが最もおすすめです。青谷道と比べて登りの負担が軽く、道中の見晴らしも良いため、達成感を味わいやすいコースとなっています。
青谷道と上野道を組み合わせた周回コース
登山に慣れてきた方には、青谷道と上野道を組み合わせた周回コースがおすすめです。王子公園駅から上野道で登り、掬星台で絶景を楽しんだ後、史跡公園と仁王門を経て青谷道で下山するパターンが人気です。逆回りにして、登りで青谷道の静かな森を味わい、下りで見晴らしの良い上野道を歩くのも良いでしょう。どちらの道も旧天上寺への参道として古くから歩かれてきた歴史ある道です。
新神戸・布引の滝・天狗道ルート~六甲全山縦走路の一部を体験
新神戸駅から布引の滝、布引貯水池、市ケ原を経て、天狗道から摩耶山・掬星台に至るこのルートは、六甲全山縦走路の一部にあたる本格的なハイキングコースです。所要時間は上り約3時間、総距離は約10kmで、累積標高差は登り下りともに約800mとなっています。王子公園駅まで下山した場合の総所要時間は約5時間です。
新神戸駅をスタートすると、まず日本の滝百選にも選ばれている布引の滝を見ることができます。布引の滝は雄滝、雌滝、夫婦滝、鼓滝の4つの滝で構成されており、春は新緑に包まれた滝の景色が格別です。布引貯水池を過ぎると市ケ原に到着します。市ケ原は水辺の景色が美しく、バーベキューを楽しむ人々で賑わう憩いの場でもあります。
市ケ原からは稲妻坂を経て天狗道に入ります。天狗道は道が分かりやすく迷うところはありませんが、尾根沿いの登りが続くため体力を消耗します。途中にはちょっとした岩場もあり、高度が上がるにつれて展望が徐々に開けてきます。天狗道を登り切ると摩耶山の山頂エリアに到達し、掬星台からの大パノラマが待っています。
このルートは初心者でも挑戦可能ですが、距離が約10kmと長く天狗道の登りはそれなりに体力を使うため、十分な水分と行動食の準備が欠かせません。阪急芦屋川から六甲山最高峰に登るルートと比較すると必要な体力はかなり低いため、六甲山系の登山入門としてもおすすめです。
六甲全山縦走と摩耶山~全長約56kmのロングトレイルに挑む
六甲全山縦走路の概要
六甲全山縦走は、須磨浦公園駅から宝塚駅近くの塩尾寺(えんぺいじ)まで、六甲山系を東西に踏破する全長約56kmのロングトレイルです。途中には旗振山、栂尾山、高取山、菊水山、鍋蓋山、摩耶山、六甲最高峰など数多くのピークを越え、登る高さの合計は約3000mにも達します。これは富士山登山を上回る累積標高差であり、日本有数のトレイルとして知られています。
全区間の標準コースタイムは約16時間で、距離は計測方法により32kmから56kmとされています。累積標高は登り約2300mから3000mです。須磨浦公園から全山縦走する場合、新神戸から宝塚までの区間だけでも標準コースタイムは約11時間45分、距離は25.0km、累積標高は登り1770m、下り1780mとなります。
摩耶山区間は六甲全山縦走の「最高難易度」核心部
六甲全山縦走において、鵯越(ひよどりごえ)から摩耶山までの区間は「最高難易度」とも評される核心部です。中級レベルで、山登りの体力に自信のある人向けとされています。摩耶山は六甲全山縦走の「事実上のラスボス」と呼ばれることもあり、山頂まで1時間以上にわたって延々と上りが続きます。
菊水山と摩耶山は急坂として特に知られており、この2つの山を越えるには相当な体力と気合いが必要です。摩耶山に到着するまでに約29kmを歩くことになるため、前半の疲労が蓄積した状態での急登は精神的にもきつい行程となります。体力度は5段階で最高レベル、コースの技術的難易度は5段階中2という評価があり、技術的な危険は少ないものの、圧倒的な体力が求められるルートです。
初心者でも楽しめる分割コースと半縦走
六甲全山縦走を一日で踏破するのは健脚者でも大変なため、分割して楽しむ方法が広まっています。
3分割コースは、総距離約43kmから56kmを3日間に分けて踏破する方法です。初日は足慣らしで約4時間の行程、2日目が核心部で約14時間、3日目は六甲山から宝塚へ約9時間という配分となっています。半縦走は、須磨浦公園から摩耶山まで、または鵯越から宝塚までなど、半分だけを歩く方法で、神戸市が主催するKOBE六甲全山縦走大会でも半縦走の部門が設けられています。区間歩きは、鵯越から摩耶山、摩耶山から六甲最高峰、六甲最高峰から宝塚など、興味のある区間だけを日帰りで歩く方法です。摩耶山から六甲最高峰を経て有馬温泉まで足を延ばすコース(約20km、約8時間30分)も人気があります。
初めて挑戦する場合は、鵯越からスタートして菊水山、鍋蓋山、摩耶山、六甲山頂、宝塚とつないで歩くのも有効な方法です。体力や経験を積んでから全山縦走にステップアップしていくのが賢明でしょう。
2026年の六甲山縦走関連大会・イベント情報
2026年の六甲山縦走に関連する大会として、六甲全山縦走2026が2026年3月8日(日)に開催される予定です(雨天決行)。参加費は全縦走3000円、西東半縦走2500円となっています。また、第15回六甲縦走トレイルラン2026もトレイルランニングの大会として開催が予定されています。登山ツアー会社「Yamakara」による3分割コースのガイドツアーは2026年5月2日(土)から2泊3日で開催される予定で、キャンセル待ち状態との情報もあります。
摩耶山の春の見どころ~桜から新緑、ツツジまで季節の花を楽しむ
摩耶山の春は、標高の低い山麓から順に花が咲き上がっていくのが特徴です。神戸市内の平地より桜の開花が1週間から2週間程度遅くなるため、街中の桜が散った後でも山上でお花見ができることがあります。
3月下旬から4月上旬は、山麓でソメイヨシノが見頃を迎える時期です。布引の滝周辺の桜も美しく、ハイキングの途中に花見を楽しめます。4月中旬から下旬になると山上の桜が見頃を迎え、新緑も芽吹き始めて淡い緑のグラデーションが山肌を彩ります。4月下旬から5月にかけては八重桜が開花し、ソメイヨシノとは異なる豊かな花弁が見事です。摩耶自然観察園ではツツジも咲き始めます。5月から6月は新緑が最も美しい季節で、摩耶自然観察園の遅咲きのアジサイも楽しめます。
春の摩耶山ハイキングでは、登山道沿いに咲く野花や木々の若葉を楽しみながら歩くことができます。特に青谷道の渓谷沿いは水の音と新緑の組み合わせが素晴らしく、春の森林浴に最適なルートです。
2025年春には「摩耶山春山開き・摩耶詣祭」が3月29日(土)に開催されたほか、4月19日(土)と5月17日(土)には「摩耶山リュックサックマーケット」が行われました。2026年春にも同様のイベントが開催される可能性が高く、最新情報は摩耶山ポータルサイトで確認できます。
摩耶山・掬星台へのアクセス方法と交通情報
まやビューラインで掬星台まで約20分
まやビューラインは、摩耶ケーブル(ケーブルカー)と摩耶ロープウェー(ロープウェイ)を乗り継いで、山麓から掬星台まで約20分でアクセスできる交通手段です。料金は往復1560円、片道900円で、昼間は約20分ごとに運行しています。定休日は毎週火曜日(祝日の場合は翌日)で、強風時は運休となる場合があります。
まやビューラインへのアクセスとしては、三宮駅から神戸市バス18系統に乗車して「摩耶ケーブル下」バス停で下車(所要時間約28分、運賃230円)するのが便利です。JR灘駅からは坂バスに乗車して「摩耶ケーブル下」バス停で下車(所要時間約12分、運賃230円)する方法もあります。
2026年1月19日から3月6日までは年次検査および設備点検整備のため運休中です。 春のハイキングシーズン(3月中旬以降)には運行が再開される見込みですが、最新情報は公式サイトで確認してください。また、7月中旬から8月末以外の月曜から木曜(祝日除く)は日没前に運行が終了するため、公共交通機関では夜景を楽しめない場合があることにも注意が必要です。
車でのアクセスと駐車場情報
大阪方面から車で訪れる場合は、阪神高速3号神戸線の魚崎ICを降りた後、国道43号線を三宮方面に進み「東明」の交差点を右折して県道95号線に入ります。そこから表六甲ドライブウェイ(無料)を通り、丁字ヶ辻の交差点を左折して西六甲ドライブウェイへ進みます。さらに奥摩耶ドライブウェイに入ると、天上寺前駐車場が右手に見えます。
天上寺前駐車場の料金は1回500円で24時間営業ですが、掬星台までは約700mの徒歩が必要です。三宮駅から車での所要時間は約45分となっています。ただし、週末の夕方以降は入庫待ちの渋滞が発生しやすく、1時間以上待つこともあるため注意が必要です。掬星台周辺道路は一般車両通行禁止で、奥摩耶ドライブウェイの六甲山牧場より先は二輪車通行禁止となっているため、できるだけ公共交通機関の利用が推奨されています。
登山でのアクセス~電車代だけで自然を満喫
登山でアクセスする場合は、阪急王子公園駅から青谷道または上野道を利用して登り約1時間45分から2時間、JR新神戸駅から布引の滝、市ケ原、天狗道を経由して登り約3時間で掬星台に到着できます。交通費が電車代のみで済むうえ、道中の自然を存分に楽しめるのが最大の魅力です。
持ち物・装備ガイド~日帰りハイキングと六甲全山縦走の準備
春の日帰りハイキングに必要な装備
春の摩耶山日帰りハイキングでは、まず足元の準備が重要です。トレッキングシューズまたはハイキングシューズの着用を推奨します。摩耶山は花崗岩の山で、特に下りではスニーカーだとグリップが効かず滑りやすくなります。
ウェアは春の朝晩の気温差に対応できるレイヤリングが基本です。標高700mの山上は平地より4度から5度ほど気温が低くなるため、薄手のフリースやウインドブレーカーがあると安心です。レインウェアは山の天気が変わりやすいため、晴れ予報でも必ず持参してください。雨除けだけでなく、風除けや防寒着としても活躍します。
水分は最低500mlから1リットルを用意しましょう。天狗道ルートのような長いコースでは1リットル以上を推奨します。掬星台には自動販売機がありますが、途中のルートには補給ポイントがほとんどありません。行動食としては、おにぎりやパン、エネルギーバー、ドライフルーツなどがおすすめです。掬星台のCAFE 702で食事も可能ですが、火曜定休である点にご注意ください。
その他の必需品として、日焼け止め、帽子、タオル、ティッシュ、ビニール袋(ゴミ持ち帰り用)、スマートフォン(GPSアプリ推奨)、モバイルバッテリーなどがあります。YAMAPやヤマレコなどの登山GPSアプリを入れておくと、摩耶山周辺の複数ある登山道の分岐で迷わないために便利です。
六甲全山縦走に挑戦する際の追加装備
全山縦走に挑戦する場合は、足首まであるミドルカット以上の登山靴を推奨します。後半はアスファルト路もありますが、花崗岩の下りで足を痛めやすいため、しっかりした靴が必要です。トレッキングポールは2本使用を推奨します。急な登り下りでの膝への負担を軽減し、バランスを保つのに大いに役立ちます。
ヘッドランプも必須です。全山縦走では後半が暗くなることが多く、後鉢巻山近辺は草むらで視界が悪いため、暗くなるとライトでも見づらくなります。15時30分までにはこのエリアを通過したいところです。
縦走ではできるだけ軽装備で臨むことが完走の鍵となります。コース上には自動販売機や飲食店、サポートポイントがあるため水や食料を大量に担ぐ必要はありませんが、自販機の売り切れに備えて最低限の水分と食料は確保しておきましょう。
事前トレーニングも欠かせません。全山縦走は日頃からトレーニングしていないと厳しいとされており、特に脚筋トレーニングが重要です。日常的にウォーキングや階段トレーニングを取り入れ、事前に半縦走や区間歩きで体力を確認しておくことを強くおすすめします。
安全情報と注意事項~春の摩耶山ハイキングを安全に楽しむために
春の摩耶山ハイキングを安全に楽しむためには、いくつかの注意点を知っておくことが大切です。
まずトイレ情報として、青谷道と上野道ともに登山口やルート上にはトイレがありません。出発前に駅のトイレを利用してください。掬星台にはトイレが完備されています。
天候については、山の天気は平地と大きく異なるため注意が必要です。春は低気圧の通過に伴い突然の雨や強風に見舞われることがあります。出発前に天気予報を確認し、荒天が予想される場合は無理をせず計画を変更する判断が大切です。
春は花粉のシーズンでもあるため、花粉症の方はマスクや薬を忘れないようにしましょう。4月以降はダニや蚊なども活動を始めるため、虫除けスプレーがあると安心です。長袖と長ズボンの着用も有効な対策となります。
日帰りハイキングでも、家族や友人に行程を伝えておくことが大切です。YAMAPなどのアプリには「みまもり機能」があり、家族に現在地を共有できます。万が一の事故に備えて活用しましょう。
天候の急変や体力の消耗で予定通り歩けなくなった場合に備え、まやビューラインの運行時間を事前に確認しておくことも重要です。上野道の途中にある虹の駅からケーブルカーで下山するエスケープルートも頭に入れておくとよいでしょう。ただし、まやビューラインは火曜日が定休日であることを忘れないでください。
周辺スポット~摩耶山ハイキングをもっと楽しむおすすめの場所
摩耶山ハイキングの前後に楽しめる周辺スポットも充実しています。
CAFE 702は星の駅(ロープウェー山上駅)2階にあるカフェで、窓際のカウンター席やテラス席からの眺望が素晴らしく、ランチやスイーツを楽しめます。冬季のこたつ席は特に人気が高いスポットです。摩耶自然観察園は掬星台の北側に位置する入園無料の自然観察園で、春はツツジ、初夏はアジサイが見事に咲き誇ります。ちょっとした散策で多様な植物に出会える癒しの場所です。
摩耶山天上寺は約1400年の歴史を持つ古刹で、境内からの眺望も美しく、安産祈願や子授け祈願でも知られています。六甲山牧場は摩耶山から六甲山方面へ足を延ばすと訪れることができ、羊やヤギと触れ合える家族連れに人気のスポットです。
布引ハーブ園は新神戸駅からロープウェイで行くことができ、春にはチューリップやローズマリーなどのハーブが香る癒しの空間です。摩耶山ハイキングの前後に立ち寄るのもおすすめです。
有馬温泉は摩耶山から六甲最高峰を経て縦走すれば到着でき、日本三古泉のひとつとして知られています。金泉(鉄分を含む赤褐色の湯)と銀泉(無色透明の湯)の2種類の温泉が楽しめ、登山後の温泉は格別です。
摩耶山リュックサックマーケットは春と秋を中心に掬星台で開催されるフリーマーケットで、リュックサックに入る範囲のものを持ち寄って売買するユニークなイベントです。2025年は4月と5月に開催されました。
春の摩耶山ハイキング モデルプラン~レベル別のおすすめコース
最後に、春の摩耶山ハイキングのモデルプランをレベル別にご紹介します。
初心者向け半日コース(上野道ピストン)
| 時刻 | 行程 |
|---|---|
| 9時00分 | 阪急王子公園駅を出発 |
| 9時20分 | 上野道登山口に到着 |
| 10時10分 | 虹の駅分岐で休憩と展望を楽しむ |
| 11時00分 | 掬星台に到着し昼食と展望を満喫 |
| 12時00分 | まやビューラインで下山、または上野道を歩いて下山 |
| 13時30分 | 阪急王子公園駅に到着 |
帰りにまやビューラインを使えば体力を温存できます。ただし火曜定休のため、曜日の確認をお忘れなく。
中級者向け1日コース(天狗道ルート)
| 時刻 | 行程 |
|---|---|
| 8時30分 | JR新神戸駅を出発 |
| 9時00分 | 布引の滝を見学 |
| 9時30分 | 布引貯水池を通過 |
| 10時00分 | 市ケ原に到着し小休憩 |
| 11時30分 | 掬星台に到着し昼食とCAFE 702でカフェタイム |
| 12時30分 | 天上寺を参拝 |
| 13時00分 | 上野道で下山を開始 |
| 14時30分 | 阪急王子公園駅に到着 |
登りは天狗道(六甲全山縦走路)で本格的な登山を楽しみ、下りは見晴らしの良い上野道を歩く変化のあるルートです。
健脚者向け1日コース(摩耶山から六甲最高峰・有馬温泉縦走)
| 時刻 | 行程 |
|---|---|
| 7時00分 | JR新神戸駅を出発 |
| 10時00分 | 掬星台に到着し小休憩 |
| 13時00分 | 六甲山最高峰に到着し昼食 |
| 15時30分 | 有馬温泉に到着し入浴と休憩 |
| 17時00分 | 有馬温泉から電車で帰路につく |
摩耶山から六甲最高峰、有馬温泉まで一気に縦走する健脚向けコースです。約20km、累積標高登り約1500mの本格的な行程ですが、有馬温泉で疲れを癒してから帰れるのが最大の醍醐味となっています。
摩耶山と掬星台は、神戸の街から気軽にアクセスできる山でありながら、日本三大夜景に選ばれるほどの絶景、約1400年の歴史を持つ天上寺、多彩な登山ルート、そして六甲全山縦走路との接続と、多くの魅力を秘めています。春はその魅力が最も輝く季節です。桜や新緑、ツツジに彩られた登山道を歩き、掬星台から広がる大パノラマを楽しみ、歴史ある天上寺に参拝する体験は、摩耶山ならではの贅沢といえるでしょう。初めての方は上野道から掬星台を目指す半日コースから始め、慣れてきたら天狗道ルートや周回コース、さらには六甲全山縦走へとステップアップしていくことで、末永く摩耶山ハイキングを楽しむことができます。








