栗駒山の冬山登山は、初心者が挑戦するには十分な装備と経験が必要な上級者向けの領域です。冬期の栗駒山では12本爪アイゼン、ピッケル、雪山用登山靴、そして雪崩対策装備が必須となり、これらを揃えたうえで経験者と同行することが安全な登山の大前提となります。宮城県・岩手県・秋田県の3県にまたがる標高1,626メートルのこの山は、日本二百名山に選ばれる東北を代表する名峰ですが、独立峰であるがゆえに季節風の影響を強く受け、厳冬期には猛烈な風が吹き荒れることも珍しくありません。
栗駒山は須川岳、酢川岳、大日岳、駒ヶ岳とも呼ばれ、秋には「神の絨毯」と称される全山紅葉で多くの登山者を魅了しています。しかし、冬の表情は一般的な登山シーズンとは全く異なる厳しさを見せます。この記事では、栗駒山での冬山登山を検討している方に向けて、アイゼンをはじめとする装備の選び方から安全対策まで、初心者が知っておくべき情報を詳しく解説していきます。冬山登山の魅力を安全に楽しむために、ぜひ最後までお読みください。

栗駒山の冬山登山で初心者が知っておくべき基本情報
栗駒山の冬期登山は、12月から3月までの期間において、十分な体力としっかりした装備を持ち、冬山経験を積んだ熟練者以外は立ち入ることができない危険な領域となっています。一般登山者に適しているのは新緑から紅葉までの5月中旬から11月上旬頃であり、6月下旬頃まで残雪があるためその時期も十分な注意が必要です。
栗駒山の標高は1,626メートルで、難易度レベルは31の初級に分類されています。平均斜度は4.3度、一般的な歩行時間は3時間40分、歩行距離は8キロメートル、累積標高差は595メートルです。登山道は全部で9つあり、宮城県側に6つ、岩手県側に2つ、秋田県側に1つのコースが設けられています。中央コース、東栗駒コース、表掛コース、裏掛コース、大地森コース、湯浜コース、須川コース、産沼コース、天馬尾根コースといった多彩なルートが初心者から上級者まで幅広いレベルの登山者に対応しています。
冬季の気象条件が厳しい理由
厳冬期の1月は西高東低の気圧配置により好天に恵まれにくく、時折激しい雪が降ることもあります。栗駒山は独立峰であるため風が強いことが多く、登山口のいわかがみ平では爆風で顔が痛いほどの強風に見舞われることもあります。積雪量も非常に多く、登山道は膝下まで埋まることがあり、東栗駒コースではノートレースの状態で500メートル進むのに1時間というラッセル地獄になることも報告されています。腰まで入る箇所が多い場合もあり、新雪の状態では下層も柔らかく、踏み込むと岩まで足が落ちてしまうため、夏道では考えられないほどのスローペースとなります。
冬季のアクセス方法と注意点
いわかがみ平は宮城県側からの主要な登山口で、駐車場には栗駒レストハウスがあります。駐車場の収容台数は100台で駐車料金は無料、標高は1,113メートルに位置しています。マイカーの場合は東北自動車道若柳金成インターチェンジから約42キロメートルでいわかがみ平駐車場に到着でき、タクシーの場合はJRくりこま高原駅から約1時間かかります。
ただし、県道築館栗駒公園線の一部は冬期通行止めとなります。毎年春の大型連休前後に道路が開通し、積雪の多い年は避難小屋と洗面所が雪に覆われます。冬季に登山を計画する場合は、道路の通行止め情報を事前に栗原市観光物産協会に確認することをお勧めします。冬季は「旧いこいの村から先積雪凍結のため当面全面通行止」となることがあり、旧いこいの村駐車場からスタートする必要があります。その場合、いわかがみ平まで約1時間のロード歩きが必要となります。
アイゼンの選び方と初心者におすすめの装備
アイゼンは冬山登山において最も重要な装備の一つで、プレートに尖った爪が10本から12本ついており、登山靴に装着して歩行時に滑らないよう爪を硬い雪や氷に突き刺して使用します。クランポンとも呼ばれるこの装備は、急な斜面がある登山道や森林限界を超える山では必須です。
アイゼンの種類による違い
爪の本数による分類として、主に10本から12本爪のものを「アイゼン」、4本から6本爪のものを「軽アイゼン」と呼びます。また、簡易的なチェーンや短い爪が付いた「チェーンアイゼン」も存在します。
軽アイゼンは低山などのハイキングに使用するもので、爪が足の裏の土踏まず付近に集中しており、爪先やかかと付近には爪がないため本格的な雪山には向きません。夏山で雪渓を歩くときや低山で雪が降ったときなど、雪が柔らかく斜度が小さいという条件が揃った場合に使用します。4本爪の軽アイゼンは軽くてコンパクトですが、グリップ力が低く滑りやすいため、基本的には6本爪をお勧めします。
10本爪と12本爪には「前爪」があります。前爪とは足先に出ている爪のことで、雪の斜面に蹴り込んで使います。初心者の方、特に初めて10本爪以上のアイゼンを使おうという方は、基本的に12本爪を選ぶべきです。10本爪に比べ爪が多い分、雪面との摩擦が増え滑りにくくなるので安全性が高まります。12本爪と10本爪ではつま先の部分の大きさが違い、10本爪はフロントブロックが小さいため、足のサイズが23センチ以下の場合は10本爪アイゼンを検討しましょう。
アイゼンの装着方法の種類
10本から12本爪のアイゼンは装着方法がワンタッチ式、セミワンタッチ式、ベルト式の3種類あります。ベルト式はコバがないタイプの登山靴をベルトで固定するタイプで、多くの靴に使用が可能ですが取り付けにやや手間がかかります。セミワンタッチ式はかかとにのみコバがついている登山靴をレバーとベルトで固定するタイプで、3シーズン用の登山靴に適しておりベルトタイプより素早く取り付けることが可能です。ワンタッチ式はつま先側を金属のフックで、かかと側はセミワンタッチ式と同じレバーでロックするタイプで、ベルト式ではないため外れにくく着脱も容易であり、本格的な雪山登山に対応可能です。
アイゼン選びの3つのポイント
アイゼンの選び方のポイントは「爪の本数」「装着方法」「靴との相性」の3つです。目標としている山が森林限界を超えるようであれば、初めてアイゼンを買う方でも12本以上をおすすめします。アイゼンを購入する際は必ず靴とセットで考え、アイゼンがソールの形状に合わないと隙間ができたりしっかり固定できなかったりして外れやすくなります。購入時は自分の靴を店頭に持ち込み、相性を確かめながら検討しましょう。
雪山用登山靴の選び方と重要性
雪山用登山靴は、ゴアテックスデュラサーモやプリマロフトなどの保温材が入ったものが必要です。靴底がしっかりしておりアイゼンがしっかりと装着できるものを選びましょう。サイズが小さすぎると血行が悪くなり冷えやすくなります。中綿入りや皮革製で保温性が高く、防水透湿性のあるもので、アイゼンを装着できるよう前後のコバのあるものが必要です。
ピッケルの使い方と選び方を初心者向けに解説
ピッケルは雪山で安全確保するために手に持ち、雪面に突き刺し杖のように使う道具です。雪は時に氷化して硬くなり、強風に対して体を固定するために金属でできた高強度のものが必要になります。
ピッケルの3つの主な使い方
1つ目は杖としての使用です。フラットフッティングと呼ばれる足を地面と並行にして置く歩き方で歩けるほど勾配の緩い地形では、ピッケルのヘッドを持ちスパイクを雪面に刺して上体のバランスを保ちます。2つ目はダガーポジションです。斜面の勾配が急になりつま先やアイゼンの前爪を蹴り込む必要が出てくると、ピッケルのピックを雪面に刺してヘッドを手がかりにして行動します。険しい地形で多用するこの持ち方は「ダガーポジション」と呼ばれています。3つ目は滑落停止です。万が一転倒したときピックを雪面に刺して体が滑り落ちないように初動を止める技術で、これが雪山の講習会でよく耳にする「滑落停止」と呼ばれる技術です。
ピッケルの選び方のポイント
シャフトがまっすぐな形状は杖のように使いやすく、傾斜が穏やかな山や歩行がメインの入門者向けモデルです。シャフトがゆるやかにカーブすると斜面ではピックとスパイクの2点で体を支えられ、岩や氷にピックを引っ掛けやすく、ピックが雪面に深く刺さるといった利点があります。長さの目安として、腕をまっすぐ下に伸ばしたとき下の尖った部分であるスパイクが自分のくるぶしの辺りにくる長さが適しています。
素材について重要な注意点として、ピックの素材にはステンレスや鋼、スチール、アルミなどがありますが、アルミは軽いものの雪が少しでも硬いと全く歯が刺さりません。滑落停止もできないので、ピックがアルミのものは選ばないようにしましょう。
リーシュ(ピッケルバンド)について
ピッケルバンドは肩掛けにして使うショルダータイプと手首にループをかけて使うリストタイプの2種類があります。ショルダータイプはバンドが長いためピッケルを左右で持ち替えやすく、初心者にはおすすめです。
滑落停止の技術と訓練の重要性
滑落停止のコツは足を上げることとピックに全体重をかけることの2つです。姿勢は靴の裏側であるアイゼンを空に向けます。足を伸ばした状態で滑落してスピードが上がってしまうと、アイゼンが何かに引っ掛かって体が大回転してしまうことがあります。必ずエビ反りで膝を曲げて足を上げるようにしてください。重要なのは、固く締まった雪の急斜面上で滑落して一旦スピードが付いてしまったらまず止まれないということです。スピードが出る前の初動で止めないと滑落を止めることはほぼ不可能です。滑落停止は独学が難しく習熟には一定の訓練が欠かせません。各種団体や山岳ガイドが主催している講習会に参加して正確な技術を学びましょう。
冬山登山に必要なその他の装備一覧
冬山登山ではアイゼンとピッケル以外にも多くの装備が必要となります。ロングスパッツはゲイターとも呼ばれ、雪山では必携装備で雪の侵入を防ぐのが一番の目的です。アイゼンを履いた場合のパンツの裾の保護にも役立ちます。
グローブは保温性と防水性のしっかりしたものを選び、薄手のインナーグローブに防風と保温ができるアウターグローブを重ねます。アウターグローブを脱いだとき素肌が出てしまうのを防ぐためにインナーグローブは欠かせません。積雪期は予備も含めて2つ以上持ちましょう。
サングラスとゴーグルは照り返しのある雪上では紫外線から目を守るために必須です。雪目になるとコロコロして非常に辛い状態になります。目出し帽子はバラクラバとも呼ばれ、強風や吹雪から顔を守ります。薄手のものが使いやすいです。帽子は耳まで覆える保温性の高いものが必要です。
地図、コンパス、GPSは積雪により登山道がわかりにくかったり道標が埋もれていることもあり、夏山以上に必要性が高いです。ダウンジャケットなどの防寒着は、冬山では休憩して動きを止めると一気に体が冷えてくるため必須です。万が一遭難した場合にも夜を過ごす心強いアイテムとなります。
冬山登山の服装とレイヤリングの基本
基本のレイヤリングは肌に近い方からベースレイヤーとミッドレイヤー、アウターシェルの3つを重ねることから始まります。凍傷やシモヤケ、低体温症といった雪山の寒さからくるトラブルは「濡れ」と「風」が引き金になっています。
ベースレイヤー(肌着)の選び方
ベースレイヤーとは肌に直接触れるウェアのことです。吸い取った汗がすぐに乾かないと汗冷えしやすくなるため、冬の登山においては特に重要なアイテムです。夏には乾きのよい化繊をおすすめしますが、冬に使うと寒さを感じることがあります。ウール混の方が保温性があり、汗で濡れても寒くなりにくいので冬にはおすすめです。氷点下の気温では汗で下着が濡れたままの状態は凍傷や低体温症を招き大変危険なため、アンダーウェアは雪山登山に適応した保温力のある化学繊維やウール素材のものが必要です。
ミドルレイヤー(中間着)の役割
ミッドレイヤーは行動中に着るウェアなので、保温性が高すぎると暑くて着ていられないという状況になりかねません。この相反する性能を備えるウェアがフリースやアクティブインサレーションといったアイテムです。最近はアクティブインサレーションというアイテムも登場しています。これは保温に加えて防風性、透湿性、撥水性があるので、フリースとソフトシェルの役割を一枚で補うことができます。
アウターレイヤー(外側)の重要性
いちばん上に重ねるレイヤーで風や雨を防ぐ役割があります。本格的な雪山では冬用のジャケットが必須です。厚手で強風にも耐えられ、雪上で滑りにくく、雪が入りにくい構造など、さまざまな点が雪山仕様になっています。
下半身のレイヤリング
生地が肌に密着している方が温かいので、雪山での基本のスタイルは「裏地がパイル状になっている中厚手以上のパンツとタイツ」の組み合わせになります。パンツのレイヤリングはメリノウール素材などの保温性のあるタイツやアウトドアブランドから出ている冬季用の速乾・保温タイツに、冬用のトレッキングパンツを履くのが基本です。
レイヤリングの注意点
枚数にとらわれた重ね着はレイヤリングとしてほとんど意味がなく、逆に枚数を重ねすぎたことで圧迫され血流悪化を招いたり、動きにくさを感じる原因にもなったりします。まずは低山でウェアの機能と最適なレイヤリングを覚え、ステップアップをして状況に応じた的確なレイヤリングと温度調節ができるようにしましょう。
雪崩対策装備「雪山三種の神器」とは
雪山では最も危険な「雪崩対策」に必要な3つの装備があり、「スコップ」「ビーコン」「プローブ(ゾンデ)」は「雪山三種の神器」と呼ばれています。これらの装備は雪崩に遭遇した際の生存率を大きく左右します。
ビーコン(アバランチビーコン)の役割
ビーコンは雪崩に巻き込まれて埋まってしまった人の位置を特定するために必要な機器です。通常は無線信号を発信する送信モードにセットしておき、雪崩が発生したら捜索者側が受信モードに切り替え、埋没者のビーコンが発する信号を捉える形で位置を探し当てます。高価になりますがより正確に埋没者の位置を特定できる3本アンテナのモデルがオススメです。ビーコンは必ずアウターシェルの内側に装着する必要があります。
ゾンデ棒(プローブ)の使い方
ドイツ語でゾンデとも呼ばれるプローブは、雪に突き刺して雪崩で埋まった埋没者の位置を特定するために使用する棒です。ビーコンは埋没者のある程度の位置は特定できますが、それだけではどの部分を掘り返せば救出できるかわかりません。最終的にはプローブに頼る必要があります。プローブは230センチから300センチ程度の細い棒で、雪に棒を刺して雪の下に埋没した人を探す道具です。
スノーショベル(スコップ)の必要性
遭難者の持つビーコンが発している信号を自身のビーコンで受信し、埋没者の大体の位置を割り出したらゾンデを雪面に刺して正確な位置を特定します。位置を完全に特定できたらショベルで掘り起こして救出します。埋没者の掘り起し以外にも雪洞掘りや雪の壁作りなど幅広い用途に使用します。
迅速な救助が生死を分ける
雪崩遭難の生存率は埋没後15分後で92パーセント、45分後で26パーセントと、時間が経過すると急激に生存率が下がります。スコップを持っていれば硬いデブリを約1メートル掘るのに10分とかかりませんが、スキー板や手で掘ると約40分かかるとも言われています。ビーコンやプローブ、スコップはどれもほとんど使わない割に高価で、全てを揃えると数万円の出費となります。レンタルでは3種揃えても1日数千円で賄えます。
冬山登山の三大リスクと対策
冬山の三大リスクは「吹雪」「滑落」「雪崩」です。吹雪は視界を奪い方向感覚を狂わせるだけでなく、体力や気力も奪います。冬山でいちばん怖いのは悪天候に見舞われたときで、転滑落、ルートミス、低体温症、凍傷、雪崩など、さまざまなリスクに遭遇する可能性が格段に高くなります。冬山での過去の大きな遭難事故のほとんどは悪天候のときに起きています。
低体温症の危険性
低体温症を引き起こす要因となるのは「低温」「濡れ」「風」の主に3つです。行動時にはベースレイヤー、中間着、アウターを上手に組み合わせて体温を適切に保つことが重要です。汗による濡れには特に注意を払い、なるべく汗をかかないレイヤードで行動することが大切です。
凍傷への対策
凍傷やシモヤケ、低体温症といった寒さからくるトラブルは「濡れ」と「風」が引き金となっています。指先や顔などは強風に短時間さらされるだけで凍傷になることもあります。
雪崩が発生しやすい条件
表層雪崩は思ってもみないほど緩い斜面でも条件がそろえば発生します。40度ほどの斜面や30度ぐらいの斜面だと流れず積雪して、やがて積もった雪が何かの拍子で雪崩れます。
初心者が冬山登山で注意すべきポイント
初心者は体力的に無理のない、標高が低くコースタイムが短い山を選びましょう。具体的な目安としてはコースタイムが4時間以内の山が挑戦しやすいです。多くの登山者がいる山を選ぶことも重要で、降雪によって踏み跡であるトレースが覆われて迷いやすくなったり、ラッセルが必要となり体力を大幅に消耗することがあります。
事前準備の重要性
冬になったら登ってみたい山は雪が降る前に偵察を行っておきます。地形を覚えたり危険箇所をチェックすることが目的です。雪が積もると登山道や標識はわからなくなってしまいます。
天候確認を怠らない
冬山の天気は平地とは比較にならないくらい急激に変化し、悪天が数日継続することも少なくありません。登山の数日前から最新の気象情報で天気や雪の状況を確認し、ゆとりある計画を立てることが必要です。
装備の重要性
寒冷に耐えることができるウェアを着用し、ツェルトや火器等のビバーク装備も携行しましょう。視界不良時には地形図、コンパス、GPSが頼りになります。
単独行を避ける
雪山登山では天候や状況の急変などへの適切な対応が求められます。雪山初心者は必ず経験者と登り、単独行は避けるようにしましょう。
技術習得の必要性
転滑落事故を防ぐいちばんのポイントは正しい歩行技術をマスターすることです。特に初心者は雪山講習会やガイド登山などを通して、この基本中の基本の技術をしっかり身につけておきましょう。
水分補給を意識する
冬山では水分をとらないケースで脱水症状になってしまうことが多々あります。寒いと喉の渇きを感じにくくなりますが、意識して水分を取る必要があります。
栗駒山での特別な注意点
天狗岩を過ぎると稜線は馬の背状に細くなり、強い突風には要注意箇所です。2008年の地震の影響で裏掛コースをはじめとした一部のコースが通行禁止となっているので注意してください。
栗駒山の登山コースと冬季ルートの選び方
中央コースは山頂への最短道で、道は石畳等で整備され危険箇所が少なく初心者向きです。四季を通して比較的安全に登下山できます。山頂までの距離が最も短く標高差も少ないので、初心者に最適のコースです。登山道は幅も広くよく整備されており、登山初心者やファミリー登山、小学生の登山にも利用されています。須川コースも比較的歩きやすいコースで、岩手県側からアクセスできます。
冬季は一般シーズンとは全く異なる状況となります。道路の通行止めにより旧いこいの村からスタートする必要がある場合もあります。積雪により登山道がわからなくなることもあり、十分な経験と装備が必要です。
冬山登山に向けた体力づくりとトレーニング方法
冬山登山を始める場合、「無積雪期の偵察」から「体力づくり」、「冬山装備の購入」、「雪原での練習」、「低山での練習」、「春山登山」、そして「冬山登山」というように段階を経ていくのが安全な方法の一つです。通常は1年がかりの準備になります。山に登るということは日常生活では考えられないような負荷がかかる非日常の世界に飛び込むことです。体が適応できなくなってバテてしまうことを防ぐために、日常生活でも登山と同じくらいの負荷をかけてあげることが大切です。
トレーニングの基本
登山のために必要なトレーニングとしては大きく分けて持久力トレーニングと筋力トレーニングがあります。持久力が最も重要で、これは酸素を肺から体内に取り込んで効率的に使う能力のことであり、心臓と肺の筋肉の能力によって決まります。登山のトレーニングの初めの一歩に最適なのはハイキングです。週1回程度は普段の生活の中で有酸素運動をし、ある程度歩ける状態に体を慣らしておきましょう。
具体的なトレーニング方法
筋持久力を鍛える場合には軽めの負荷で1セットあたり20回から30回が良いでしょう。慣れてきたら筋トレは同じトレーニングを1日に2セットから3セット行うのが良いでしょう。筋瞬発力を鍛える場合には筋繊維がかなり損傷するため、その回復中の3日間程度は同じ筋肉を鍛える筋トレは行わないようにしてください。休息と栄養補給、特にタンパク質の摂取が大切です。1週間に1回程度登山をするか、ほとんど毎日トレーニングしている人はトラブルの発生が極端に少ないという統計結果も出ています。
体力づくりの重要性
重い荷物を背負った何日間にもわたる縦走や厳冬期の冬山の登山などにチャレンジしたいと思うと、体力がそれなりに大切になってきます。一番の理由は安全のためです。雪山は夏山以上に天候や気象条件に左右されやすく、同じルートでも風が弱くて晴天の日と風が強い日や吹雪いている日では、体感温度や体力の消耗具合、目的地までの所要時間がまるで違ってきます。
冬山登山の行動食と水分補給の重要性
体重60キログラムの成人男性が8時間程度の日帰り登山をした場合、約3,000カロリーを消費すると言われています。これは夏山の話で、運動強度が増す雪山ではさらに多くのエネルギーが消費されることが想定されます。雪山では多くのエネルギーが必要となり、エネルギー不足は「疲労感の増加」「集中力の低下」「体温の低下」といった危険を招きます。登山中のエネルギー消費は「5かける体重(キログラム)かける行動時間(時間)」で概算でき、例えば体重50キログラムの人が6時間登山する場合、5かける50かける6で1500キロカロリーとなります。
雪山向け行動食の選び方
食品が凍るかどうかを左右するのが「水分」と「糖分」です。おにぎりやバナナのように水分を多く含んだものはカチカチになってしまいますし、スナックや煎餅のように水分の少ないものはほとんど変化がありません。糖分が多い食品は糖分によって水から氷に凝固するのを邪魔する「凝固点降下」という現象が働くため凍りにくくなります。水分を多く含んだ羊羹が凍りにくいのもこのためです。雪山に向かない行動食としてはコンビニおにぎり、ウインナー入りパン、エネルギーゼリー類、魚肉ソーセージ、バナナ、チョココーティングバーなどがあります。また雪山では素手になることは基本的にありません。行動食もグローブを付けながら食べることになるのでグローブが汚れるようなものを避けた方が良いでしょう。
シャリバテの防止
「シャリバテ」は登山用語で「糖質不足によるエネルギー切れ」を意味します。筋肉のエネルギー不足で思うように体が動かなくなり、転倒やつまずきの原因になりやすくなります。糖質は即効性の高いエネルギー源でおにぎり、パン、チョコレート、果物、ようかん、ドライフルーツなどがあります。すばやく吸収されすぐにエネルギーに変わる最も基本となる行動食です。脂質は高カロリーで持続力があり、ナッツ類やチーズ、バタークッキーなどがあります。糖質よりもカロリーが高く長時間の行動に有効で軽量なのも魅力です。
水分補給の目安
必要な水分量(ミリリットル)は「体重(キログラム)かける行動時間かける5(ミリリットル)かける70から80パーセント」と言われます。体重60キログラムの人が6時間行動すると、必要な水分量はおおよそ1.2リットルから1.8リットルです。水量については1人1日1リットルから3リットルが必要と言われ、2リットルが目安ですが、個人差が3倍と大きくその日の行動形態で同じ人でも3倍くらいの開きがあります。一度に大量の給水をしても体が水分を吸収しませんので、少しずつこまめにとることが重要です。冬山では水分をとらないケースで脱水症状になってしまうことが多々あり、寒いと喉の渇きを感じにくくなりますが意識して水分を取る必要があります。
山岳保険と気象情報の確認方法
万が一の事故に備えて山岳保険への加入も、雪山登山の「必須装備」といっても過言ではありません。冬季に登山を計画される場合は道路の通行止め情報を事前に栗原市観光物産協会に確認することをお勧めします。
気象情報の確認方法
駒ノ湯や湯の岱のアメダスで気温、降水量、風向・風速、日照時間、積雪深の観測情報を10分毎に確認できます。Windy.comでは天候の情報が視覚的にわかり、任意の場所と標高における詳細な天気予報を10日先まで表示できます。気象庁の監視カメラである栗駒山展望岩頭は栗駒山山頂最寄りのライブカメラですが、冬季は着雪により視認不可になることがあります。
まとめ:栗駒山の冬山登山を安全に楽しむために
栗駒山は東北を代表する名山であり、冬山登山においても独自の魅力があります。しかし冬期は非常に厳しい気象条件となり、十分な装備と経験が必要です。初心者の方が冬山登山に挑戦する場合は、まず経験者と一緒に登ることをお勧めします。また雪山講習会やガイド登山などを通じて、正しい技術と知識を身につけてから挑戦しましょう。
12本爪アイゼン、ピッケル、雪山用登山靴、適切な服装と装備、雪崩対策装備など、必要な装備をしっかりと揃え、天候や状況を見極めながら安全な登山を心がけてください。冬の栗駒山は熟達した登山者のみが楽しめる領域です。無理をせず自分のレベルに合った山選びをすることが、安全な登山への第一歩です。









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