石割山登山は山中湖から富士山展望を楽しむ初心者向けコース

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石割山は、山梨県山中湖村と都留市の境界にそびえる標高1412メートルの山です。コースタイムは往復でおよそ2時間36分、コース定数は10前後の「やさしい」レベルに分類されており、登山を始めたばかりの人でも日帰りで無理なく歩ける山として知られています。山頂に立つと正面に富士山、その手前に山中湖の湖面が広がり、空気が澄んだ日には南アルプスまで見渡せることもあります。登山口の赤い鳥居から山頂近くの石割神社まで続く約400段の石段や、パワースポットとして知られる巨岩「石割岩」など、歩く楽しみが詰まったコースでもあります。ここでは石割山のコースタイムやアクセス方法、服装と持ち物、周回コースの選び方まで、初めて挑戦する人が知っておきたい情報をまとめます。

目次

石割山のコースタイムは往復2時間36分、コース定数10のやさしいレベル

石割山は、コース定数が10前後という「やさしい」レベルに分類される山です。コース定数とは、歩行距離や標高差、時間から算出される体力度の指標で、数値が低いほど負担が軽いコースを意味します。標準的な往復コースは歩行距離が約4.0キロメートル、標高差は上りで435メートルほどで、コースタイムはおよそ2時間36分です。半日あれば往復できる手軽さが、初心者に選ばれている理由のひとつでしょう。

体力に余裕があれば、石割山から尾根伝いに平尾山、大平山まで足を延ばす周回コースも選べます。全体のコースタイムはおよそ4時間、標高差は最大でも370メートルほどにとどまり、こちらも初心者が挑戦できる範囲に収まっています。石割山から大平山へ進むにつれて富士山の見え方が変わっていくのも周回コースならではの楽しみで、大平山からの富士山はひときわ大きく見えるといわれています。健脚な人であれば、飯盛山や長池山を経て花の都公園まで進む総距離約7キロメートルのロングコースを組むことも可能です。

コースコースタイム目安歩行距離標高差
往復コース約2時間36分約4.0km上り約435m
平尾山・大平山周回約4時間約7km前後最大約370m

コース定数は、コースタイムや距離、登り下りの累積標高差を組み合わせて算出される、登山の体力度を数値化する指標です。数値が10前後なら体力的に易しく初心者向き、20前後は一般的な登山向き、30前後は日帰りでも健脚向き、40以上になると日帰りが難しく宿泊を要するコースとされています。石割山のコース定数10前後という数字は、この目安に照らしても、登山を始めたばかりの人が最初に選ぶコースとして無理のない水準だといえます。

山中湖は富士五湖で最も高く最も広い湖として知られる

石割山の眼下に広がる山中湖は、富士五湖の中で標高がもっとも高く、面積も最大の湖です。標高はおよそ980メートル、面積は6.5平方キロメートルを超え、富士山にもっとも近い湖としても知られています。夏の平均気温は20度前後と過ごしやすく、避暑地としても親しまれてきました。富士五湖はいずれも火山活動によってできたせき止め湖です。2013年6月には富士山が「富士山、信仰の対象と芸術の源泉」という名称で世界文化遺産に登録され、山中湖もこの25件の構成資産のひとつに数えられています。同じ構成資産には、石割山登山とあわせて訪れる人も多い忍野八海も含まれており、石割山周辺の観光地の多くが富士山信仰と地続きの歴史を持っていることがわかります。

山中湖では、湖面に富士山が映り込む「逆さ富士」や、太陽と富士山頂が重なる「ダイヤモンド富士」、山頂に笠雲のような雲がかかる現象など、富士山にまつわる自然現象が見られることでも知られています。石割山の山頂から見下ろす山中湖は、こうした富士山と水面の組み合わせを高い位置から一望できる点が特徴で、湖畔から見る景色とはまた違った眺めを楽しめます。

石割山は、山梨県が2022年9月1日に公開した「やまなしハイキングコース100選」にも選ばれています。このプロジェクトは、県内の低山ハイキングコースを富士山眺望や森と渓谷、里山散策といったテーマ別に紹介し、周辺の観光施設とあわせて地域の魅力を伝えるとともに、道迷いなどの遭難防止を図ることを目的に実施されました。片道1時間から2時間程度で歩けるコースが中心に選ばれており、石割山もこの基準に沿った、初心者が計画を立てやすい山のひとつに位置づけられています。

登山口までは河口湖駅か富士山駅からバスで向かうのが基本

石割山ハイキングコース入口へは、公共交通機関でも車でもアクセスできます。公共交通機関を使う場合、富士急行線の河口湖駅で下車し、富士急行バスの「ふじっ湖号」に乗って「石割山ハイキングコース入口」バス停で降りるルートが分かりやすいでしょう。富士急行線の富士山駅から道志小学校方面行きのバスに乗り、「山中湖 平野」バス停で降りる方法もあります。東京方面からなら、新宿発の高速バス「富士五湖から新宿線」で山中湖平野バス停まで直行するのも便利です。休日はバスの本数が限られることがあるため、事前に時刻表を確認しておくと安心です。

ふじっ湖号は、富士山駅を起点に富士吉田や忍野、山中湖エリアを右回りと左回りで周回する路線バスで、1日9本ほど運行されています。昭和30年代の路面バスをイメージした車両が使われていて、石割山ハイキングコース入口のほか、紅富士の湯や忍野八海、花の都公園といった観光スポットにも停車するため、登山後の観光をあわせて楽しみたい人には使い勝手のよい路線です。2日間乗り降り自由なフリークーポンも用意されているので、周辺観光まで含めて計画するなら検討してみる価値があります。

車の場合は、東富士五湖道路の山中湖インターチェンジで降り、国道138号線と県道729号線を経由して登山口を目指します。登山道入口の前には約30台分の無料駐車場があり、隣には公衆トイレも整備されています。行楽シーズンの休日は満車になることもあるので、早めの時間帯に到着しておきたいところです。周回コースを歩く場合は、石割神社側の駐車場や、山中湖インターチェンジ広場「きらら」を起点にするルートも紹介されています。

石割神社までは赤い鳥居から続く約400段の石段を登る

登山口には赤い鳥居が立っていて、ここが実質的なスタート地点です。鳥居をくぐると、石割神社まで続く約400段の石段がすぐに始まります。段差自体はそれほど大きくありませんが、段数が多いため、序盤からある程度の脚力を使う人も多いでしょう。石段の途中にはベンチが置かれている箇所もあるので、無理せずこまめに休憩を取りながら登るのがおすすめです。

石段を登り切ると石割神社の社殿が現れます。社殿の裏手には、この山の名前の由来になった巨岩「石割岩」があります。真っ二つに割れた岩の隙間は人ひとりがようやく通れるほどの幅しかなく、右回りに3回通り抜けると幸運が訪れると伝わっています。大きなザックを背負ったままでは通りにくいので、通過するときはザックを下ろしておくとスムーズです。

石割神社の御祭神は、怪力で知られる天手力男命です。天照大神が天の岩戸に隠れた際、その岩戸をこじ開けたという神話に登場する神で、この故事にちなんで石割神社は怪力と開運の神として信仰されてきました。江戸時代の文化11年に成立した甲斐国志という文献にも石割岩についての記述が残っていて、少なくとも江戸時代にはすでに地域の信仰対象として知られていたことがうかがえます。御朱印は境内では授与されておらず、近隣の平野天満宮や周辺の宿泊施設で対応してもらえる場合があるので、希望する人は事前に確認しておくとよいでしょう。

石割神社から山頂までは、樹林帯の中を登る山道が続きます。石段区間よりも傾斜がやや急になる区間があり、木の根や岩が露出した箇所も見られるため、足元には注意が必要です。危険な鎖場やロープ場のような箇所は少なく、整備された登山道を落ち着いて歩けば、初心者でも十分に登り切れる範囲でしょう。山頂に着くと視界が大きく開け、富士山と山中湖の眺めが待っています。東屋やベンチも設置されているので、景色を眺めながら昼食を取る登山者の姿もよく見られます。

登山の適期は4月から6月と9月後半から12月

石割山登山に向いている時期は、春の4月から6月にかけてと、紅葉が始まる9月後半から12月頃です。この時期は気温が比較的穏やかで空気も澄んでいるため、富士山の展望を楽しみやすくなります。冬場は空気が乾燥して視界がクリアになりやすく、雪をかぶった富士山と山中湖の組み合わせを見られることもあるようです。

7月から8月の真夏は気温が高いうえ、登山道にブヨなどの虫が多く発生するといわれています。この時期に登るなら、虫除け対策と熱中症対策を済ませたうえで、早朝の涼しい時間帯に出発するのが賢明です。山の天気は平地とは大きく異なるため、平地の天気予報だけを頼りにせず、山専用の天気予報サービスで山頂付近の天候を確認しておくと、富士山が見えないまま下山するという事態を避けやすくなります。

服装はトレッキングシューズ、持ち物は携帯トイレが鍵になる

石割山ハイキングにおすすめの服装は、履き慣れた運動靴、できればトレッキングシューズです。石段や山道は雨天時や前日の雨の影響で滑りやすくなることがあるため、グリップのしっかりした靴を選びたいところです。虫除けの観点からは、半袖や半ズボンより長袖・長ズボンなど露出の少ない服装が向いています。手を使う場面もあるので、必要に応じて軍手を用意しておくと安心です。

持ち物は、飲料水、行動食、タオル、雨具、日焼け止め、帽子といった一般的な登山装備に加えて、携帯用のトイレットペーパーを用意しておきたいところです。登山口の赤い鳥居のそばには公衆トイレがありますが、山頂や登山道の途中にはトイレがない場合がほとんどだからです。携帯トイレットペーパーは芯を抜いて防水のジップ袋に入れておくと荷物の中で濡れずに済みます。標高が上がると気温も下がるため、真夏以外の季節は薄手の防寒着を1枚持っていくと、山頂での休憩時に体を冷やさずに済むでしょう。登山地図アプリとモバイルバッテリーも、道に迷ったときや電池切れに備えて持っておきたい装備です。

トレッキングポールも、石割山のような石段と山道が混在するコースでは役立つ道具です。地面に接する点が増えることでバランスが安定し、つまずきや捻挫を起こしにくくなるほか、登りでは足の負担を軽くし、下りでは膝への負担を大きく減らせるといわれています。長さの目安は身長に0.63をかけた数値で、平地では肘が90度くらいに曲がる長さに合わせ、登りでは少し短く、下りでは少し長く調整すると歩きやすくなります。石段区間はポールを畳んでおき、神社から山頂にかけての山道で使うといった使い分けも、初心者には歩きやすいでしょう。

子供連れは石割神社から山頂までの急斜面に注意する

石割山は初心者向けとされる一方で、小さな子供を連れたファミリーハイキングとして歩く場合は注意が必要です。約400段の石段は段差が緩やかで歩きやすいものの、石割神社から山頂にかけての区間には急な斜面が連続する箇所があります。子供と登った人の記録では、この区間で子供が自力で歩き切れず、大人が背負って登る場面もあったと報告されています。未就学児や体力に自信のない子供を連れて行くなら、抱っこ紐やキャリアを準備し、無理をしない時間配分を組み、途中で引き返す判断ができる心構えを持っておくと安心です。

登山届の提出も、備えのひとつになります。日本山岳ガイド協会などが運営するオンライン登山届システム「コンパス」は、登山計画を家族や関係機関と共有できる仕組みで、山梨県をはじめ全国の多くの都道府県警察や自治体と連携しています。石割山のような日帰りの山であっても、行き先と下山予定時刻を家族に伝えておく、登山地図アプリで現在地を確認できるようにしておくといった基本的な備えが、いざというときの安心につながります。

山梨県警察の統計では、山岳遭難の態様別で転倒がもっとも多く、次いで滑落、道迷いの順に発生しているとされ、60歳以上による滑落や転倒、体調不良も目立っています。山域別では大菩薩・道志山系での発生が多いとされており、石割山が位置するエリアも都市近郊の低山として同様の注意が求められる地域のひとつです。標高が低く難易度がやさしい山でも、日没後の行動を避けるためのヘッドライトの携行や、こまめな休憩による疲労管理を意識しておくと、思わぬ転倒や道迷いを防ぎやすくなります。

石割山では11月25日頃と2月13日頃にダイヤモンド富士が見られる

石割山は、条件が揃えば「ダイヤモンド富士」を見られる山としても知られています。ダイヤモンド富士とは、太陽が富士山の山頂に重なりながら沈む、あるいは昇る瞬間の現象で、その輝きがダイヤモンドのように見えることからこの名がついています。石割山の山頂からは、年に2回、11月25日頃と2月13日頃に、富士山に向かって太陽が沈んでいくダイヤモンド富士を観測できるとされています。

石割山が位置する山中湖周辺全体で見ると、10月から翌年2月頃までのおよそ4か月間にわたってダイヤモンド富士を観測できるエリアとしても知られています。狙うなら、太陽が富士山頂に沈む瞬間は平地の日の入り時刻より1時間ほど早いことを踏まえて、時間に余裕を持って山頂に到着しておく必要があります。冬場の登山になるので、防寒対策と、日没後の下山に備えたヘッドライトの準備も欠かせません。ダイヤモンド富士狙いの登山は難易度が上がるため、通常の登山で石割山に慣れてから挑戦するのがよいでしょう。

花の都公園と忍野八海を組み合わせた日帰りプランが人気

石割山登山とあわせて、山中湖周辺の観光を楽しむプランも組みやすいです。石割山からほど近い場所には、富士山と四季折々の花畑を楽しめる花の都公園があります。敷地面積は約30万平方メートルと広く、春はチューリップ、夏はひまわりやラベンダー、秋はコスモスと、季節ごとに違う花畑が広がります。周回コースで足を延ばした場合、この花の都公園をゴール地点にするプランも紹介されているほど、登山との相性が良いスポットです。

車で10分ほどの距離には、世界遺産富士山の構成資産のひとつに数えられる忍野八海もあります。富士山の伏流水が長い年月をかけて湧き出た8つの池からなる名所で、透明度の高い水と富士信仰にまつわる歴史的な背景を併せ持つことから、国内外から多くの観光客が訪れています。石割山登山、花の都公園、忍野八海を組み合わせた日帰りプランは、山梨県内でも定番の観光ルートのひとつになっています。石割山は標高差が比較的小さく手軽に登れるからこそ、こうした周辺観光と組み合わせやすいのでしょう。

下山後は紅富士の湯の全浴槽から富士山を眺められる

石割山登山を終えたあとの楽しみとして人気なのが、山中湖畔の日帰り温泉施設「紅富士の湯」です。石割山ハイキングコースから車やバスでおよそ40分ほどの距離にあり、施設前には路線バス「ふじっ湖号」の停留所もあるため、公共交通機関で訪れた人にも利用しやすくなっています。

紅富士の湯は水素イオン濃度9.7という高アルカリ性の単純温泉で、肌当たりの柔らかい泉質が特徴です。室内の大浴場には全身浴、ジェットバス、気泡湯、寝湯、源泉のぬる湯などがそろっていて、どの浴槽からも富士山を一望できる造りになっています。登山で疲れた体を癒やしながら、露天風呂で富士山を眺める時間は、石割山登山を締めくくるのにふさわしいひとときになるでしょう。館内2階の大食堂では、山梨県の郷土料理であるほうとうや、名物の信玄ソフトなど地元食材を使ったメニューも味わえます。山中湖周辺には平野温泉などの日帰り入浴施設もあり、宿泊しなくても登山と温泉を1日で楽しめる点も、石割山エリアの魅力になっています。

石割山は登山を始めたい人にとって最初の1座に選びやすい山

石割山は、標高1412メートルという数字だけを見ると本格的な登山に思えるかもしれませんが、コースタイムは往復2時間半ほど、コース定数も「やさしい」に分類される山です。約400段の石段の先にある石割神社と石割岩、そして山頂から一望できる富士山と山中湖の眺めは、登り切った人だけが得られる景色です。アクセスは公共交通機関でも車でも整っていて、登山口には無料駐車場と公衆トイレもあるため、初めての登山先としても計画を立てやすいでしょう。

天候の急変やトイレの少なさ、夏場の虫の多さといった注意点はありますが、事前の情報収集と服装・持ち物の準備をしておけば、大きな不安なく歩ける山です。登山に向いた春や秋を選び、早朝から行動すれば、富士山と山中湖の眺め、そして下山後の温泉まで、1日でひととおり楽しめます。これから登山を始めたい人にとって、石割山は最初の1座として選びやすい山だといえるでしょう。

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