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医王山は、登山道が整っていて初心者にも歩きやすく、日帰りで登れる山です。YAMAPの山行記録では、医王の里を出発して白兀山と夕霧峠を経由する周回が5.6kmから5.7kmです。夕霧峠は、山頂の奥医王山へ向かう道の中間にあたります。
医王山は、石川県金沢市と富山県南砺市の境に広がる山塊です。金沢市街から車で30分から40分ほどで行けて、山頂付近まで車で上がれるため、取り付きやすい山でもあります。ただ、コースによっては難路や中上級者向けの道もあります。

医王の里から白兀山と夕霧峠を回る周回は約5.6km
医王の里を起点に白兀山と夕霧峠を経由して戻る周回は、金沢市が地図を公開しているコースです。金沢市は医王の里から入る登山道として「大沼・三蛇ヶ滝」と「白兀・夕霧峠」の2本を案内していて、白兀・夕霧峠コースの地図には歩く時間の目安も載っています。
距離と時間をコース別に比べる
体力に合わせて選べるよう、主な周回の数字を表にしました。
| コース | 距離 | 登りの累計 | 時間・特徴 |
|---|---|---|---|
| 医王の里から白兀山と夕霧峠を回る周回(YAMAPの記録) | 5.7km/5.6km | 368m/358m | 歩く向きや回り方の違いで数字が少しずれる |
| 前山スタートで白兀山と蛇尾山を越え、夕霧峠に抜ける周回 | 5.5km | 397m | 所要2時間37分 |
| 白兀山と蛇尾山、夕霧峠を結ぶ周回 | 短め | ー | 「白兀山-蛇尾山-夕霧峠 周回コース」として整備 |
白兀山の展望台からは奥医王山がよく見える
白兀山の頂上に建つ小ぶりな展望台からは、これから歩く奥医王山の姿がくっきりと見えます。天気がよければ、遠くに白山も望めます。
夕霧峠から車道を使う短い周回は足慣らし向き
白兀山と蛇尾山を越えて夕霧峠まで行き、そこから車道を使って周回する短いコースもあります。2025年5月の山行記録では、足慣らしにちょうどいいハイキングとされています。
前山から奥医王山まで回る約7kmの周回は標準よりやや長め
夕霧峠からさらに奥医王山まで歩くと、前山から白兀山、蛇尾山、夕霧峠を経て奥医王山をめぐる約7kmの周回になります。標準より少し長めのコースです。
春から初夏の前山周辺では、蜘蛛の巣が多かったという報告があります。ストックを持ち、顔まわりにも備えておくと安心です。
夕霧峠はトイレと展望台がある奥医王山への中間地点
夕霧峠は、奥医王山へ向かう道の途中にある休憩スペースで、トイレと展望台が設けられています。展望台に上がると、眼下に金沢の街並みが広がり、その先に日本海が見えます。砺波平野も見渡せます。
峠から奥医王山へは浄土坂の288段から
夕霧峠から奥医王山の登山口に入ると、すぐに浄土坂の階段が待っています。段数は288段あります。階段を上り切った先は、小さな上り下りを何度か繰り返しながら山頂へ向かいます。
奥医王山の頂上は標高939.2mで、展望台と休憩用のベンチが置かれています。晴れていれば白山や剱岳まで見渡せます。頂上には医王山寺の六角堂も建っています。
駐車場は西尾平としがらくび、夕霧峠は駐車場ではない
車で行く場合は、西尾平駐車場としがらくびの駐車場があります。西尾平駐車場を出発点にするルートもあり、ここから前山に登る人もいます。トイレ付きの休憩所は小屋になっていて、雨や風をしのげます。しがらくびの駐車場にはベンチがあるだけで、トイレはありません。夕霧峠はトイレと展望台の休憩スペースで、駐車場ではない点に気をつけてください。
しがらくびと西尾平の駐車場が両方とも埋まっていた日の山行記録もあります。混み合う日は早めに着いておきましょう。
栃尾登山口と大沼・三蛇ヶ滝方面は難路や沢渡りのある道
医王山には、医王の里から白兀山や夕霧峠を回る道とは性格の異なる道もあります。栃尾登山口から奥医王山を目指す道は難路で、山頂まで150分かかった記録があります。医王の里から大沼・三蛇ヶ滝方面へ向かうコースには、沢を渡る場所や藪をかき分ける区間があります。
このほか、岩場や鎖場のある中上級者向けの道もあります。出かける前に、最新の登山道の状況と天気を確かめておきましょう。
登山シーズンは毎年4月29日の山開きから11月下旬まで
医王山の山開きは毎年4月29日で、2026年も4月29日に開山式が行われました。登山シーズンは11月下旬ごろまでです。登山の適期に挙げられているのは、5月の新緑と10月半ばの紅葉の時季です。
ゴールデンウィークは残雪対策にチェーンスパイクかアイゼンを
山開き直後のゴールデンウィークは、まだ雪が残っています。この時期に登るなら、アイゼンかチェーンスパイクが要ります。
チェーンスパイクは、靴の上からエラストマー素材の伸縮バンドをかぶせて使う滑り止めです。軽くて着け外しが簡単なので、お守りとしてザックに入れておきやすく、トレランシューズのような薄い靴にも付けられます。ただし、急な斜面ではチェーンが切れることがあります。アイゼンは靴との相性があるため、手持ちの靴に付くかどうかを事前に確かめておく必要があります。
点々と雪が残る低い山や、凍結した泥の緩い斜面くらいなら、チェーンスパイクで間に合う場面が多く、雪道と土の道が交互に現れる所でも扱いやすい道具です。傾斜がきつくなる残雪のルートでは、爪の多いアイゼンが向いています。
5月から6月は山の花、サンカヨウとササユリ
雪が解けると、登山道沿いに花が増えてきます。5月上旬に登った人の山行記録には、終わりかけのサンカヨウがわずかに残っていたとあり、同じ日にはヤブデマリやエンレイソウの花も見られました。
サンカヨウはメギ科の多年草で、水に濡れると花びらが透けることから、「ガラス花」や「スケルトンフラワー」の別名があります。透明になるまでには時間がかかり、花期も短いため、透けた姿を見られる機会は多くありません。
6月中旬になると、ササユリが多く咲き、ヤマボウシが山肌を白く覆うほど花をつけたという報告があります。ササユリという名前は、葉がササに似ていることから付いたとされます。草丈はおよそ50センチから100センチです。花期の6月から7月に咲く筒のような形の花は白から淡い紅色をしていて、香りが強い花です。本州の中部地方から九州にかけて分布する日本の固有種です。
夏は霧と木漏れ日、秋は朝霧と紅葉
奥医王山の周りにはブナ林や高山植物が広がっていて、夏の朝、山腹のブナ平には、ブロッコリーフォグという名で呼ばれる幻想的な霧がかかります。写真を撮るなら、ブナ林に差し込む木漏れ日は7月から8月、朝霧は9月下旬から10月上旬が狙い目です。大池平や大沼、鳶岩のあたりの紅葉は、10月下旬から11月上旬が撮影の見どころです。
秋は、池の水面に草紅葉の色が映る景色も見られます。白兀山の頂上近くでは、センブリの花を見たという登山者の報告もあります。センブリは高さ10センチから50センチほどになるリンドウ科センブリ属の二年草で、5つに深く裂けた白い花に淡い紫のすじが入ります。咲くのは9月から11月ごろです。
登山届を出し、金沢市のメール配信にも登録しておく
医王山に登る前の備えは、登山届の提出と、金沢市のメール配信への登録です。
登山届は「コンパス」なら家族への自動連絡つき
石川県警は、山に入るときは登山計画書、つまり登山届を必ず作って出すよう呼びかけています。2019年に石川県が出した啓発の案内では、石川県と岐阜県が条例で登山届の提出を義務にしていて、罰則の規定もあるとされていました。義務の有無や罰則は山域や条例ごとに違います。
届け出の手段には、登山届ポストへの投函のほか、「コンパス」を使ったオンラインの届出、FAXやメールがあります。コンパスは日本山岳ガイド協会が運用している届出の受理システムで、スマートフォンから手軽に作成できます。予定の時刻を過ぎても下山しない場合は、家族や知人に自動で知らせが届きます。届を出すのとあわせて、行き先を家族に伝えておきましょう。
クマ出没メールに登録し、鈴とモバイルバッテリーを持つ
金沢市は、クマやサル、イノシシの出没情報と、災害警戒時の警報や避難の告知をメールで配信しています。担当は金沢市農林水産局森林再生課で、登山の前に登録しておくと役に立ちます。医王山では、クマの足跡を見つけて鈴を思い切り鳴らしながら登ったという山行記録があります。
電波が不安定な山の中では、スマートフォンの電池が早く減ります。モバイルバッテリーを用意しておきましょう。
医王山の名前は薬師如来に由来し、日本三百名山にも選ばれている
医王山という山名は、薬師如来にちなんだものとされています。「井王山」と書かれることもあり、権現山という呼び名もあります。山中には薬草が多く自生していて、白兀山の山頂には権現と呼ばれる小さな石造りの祠があり、薬師如来がまつられています。
薬師如来の正式な名前は薬師瑠璃光如来で、別名に「医王」「大医王仏」があります。住まいはこの世のはるか東にある東方浄瑠璃世界とされ、十二の大願を立てたという言い伝えがあります。病気平癒と現世利益を求める信仰の対象として広まりました。
「医王山」が指す範囲は2通りある
医王山という名前は、使う人によって指す範囲が違います。広い意味では、白兀山、黒瀑山、鳶岩、奥医王山といった山々をまとめて医王山と呼びます。狭い意味では、金沢で一般に登山の対象とされている白兀山の一帯を指します。
奥医王山の一等三角点と日本三百名山
医王山でいちばん高い奥医王山には、一等三角点が設置されています。一等三角点は、石の柱が立っているタイプです。国内に置かれた三角点は約10万点で、一等から四等までの区分があります。山頂付近や見晴らしのよい場所に置かれて、経度と緯度、標高が正確に測られていて、国土地理院はこれを全国の緯度と経度の基準にしています。
医王山は日本三百名山にも選ばれています。日本三百名山は、日本山岳会が1978年に選んだ300の山で、深田久弥が選んだ日本百名山に200の山を加えて構成されています。
火山と呼ばれるが第四紀火山ではない
医王山は火山として紹介されることが多いのですが、第四紀火山には含まれません。新第三紀中新世にあたる約1500万年前、海の底で起きた火山活動で生まれた医王山累層が、山の主な部分をつくっています。
医王山は県立自然公園に含まれる
医王山は、医王山県立自然公園の区域に入っています。県立自然公園は自然公園法にもとづく自然公園の一つで、国立公園や国定公園以外のすぐれた風景地から、都道府県知事が条例で指定します。
医王山ビジターセンターは入館無料の登山拠点
医王山の情報を得られる施設が、医王山ビジターセンターです。入館は無料で、医王山の自然や歴史、登山コースについて案内しています。
建物があるのは奥新保町(原石山)で、医王山県立自然公園の中でも登山利用の中心になっている大池平地区のすぐ近くです。平成11年度に完成し、登山の拠点や休憩所として使われ、自然観察会を開くときの基地にもなっています。
まとめ
医王山は、金沢市街から車で30分から40分ほどで行けて、整った登山道を日帰りで歩ける山です。医王の里から白兀山と夕霧峠を回る周回は5.6kmから5.7kmで、夕霧峠にはトイレと展望台があり、金沢の街と日本海、砺波平野を見渡せます。
栃尾登山口の難路や、沢渡りのある大沼・三蛇ヶ滝方面は、白兀・夕霧峠の道とは性格が違います。シーズンは4月29日の山開きから11月下旬までで、ゴールデンウィークは残雪への備えが要ります。出発前に登山届を出し、金沢市のメール配信に登録しておくと役立ちます。








