ニセコアンヌプリ登山、初心者向けコースは往復3時間半

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ニセコアンヌプリの登山で初心者に向いているコースは、標高928メートルの駐車場から歩き始める五色温泉コースです。往復の所要時間はおよそ3時間半で、危険な岩場や急な崖はほとんどありません。北海道虻田郡ニセコ町にあるこの山は、標高1308メートルながら山頂から羊蹄山や洞爺湖まで見渡せる展望の良さで知られています。9月は気温が落ち着き、下旬からは紅葉も始まるため、登山を計画するうえで条件が整いやすい時期にあたります。この記事では、五色温泉コースとゴンドラコースそれぞれの特徴、9月の服装や注意点、下山後に立ち寄れる温泉まで、初心者が押さえておきたい情報をまとめます。

目次

ニセコアンヌプリの標高は1308メートルで登山初心者向けの山

ニセコアンヌプリは、ニセコ積丹小樽海岸国定公園内にある標高1308メートルの山です。冬は世界的に知られるパウダースノーのスキーリゾートとして名を馳せていますが、雪のない季節も登山の対象として人気があります。特徴は、比較的短時間で山頂に立てるコースが複数整備されている点です。登山経験の浅い人でも、装備と体力を整えれば挑戦しやすい規模の山として紹介されることが多く、北海道内では「初めての登山にちょうどいい山」という位置づけで語られる場面が目立ちます。

山頂に立つと、羊蹄山(蝦夷富士とも呼ばれます)をはじめ、洞爺湖、有珠山、噴火湾までを見渡せる大パノラマが広がります。天候に恵まれれば日本海まで視界が届くこともあり、この展望こそがニセコアンヌプリ登山の中心的な魅力です。夏は高山植物と新緑、秋は紅葉、冬は雪山として、季節ごとに異なる表情を見せる点も、繰り返し訪れたくなる理由になっています。

「ニセコ」という地名はアイヌ語に由来し、切り立った崖の下を流れる川を指す言葉だとされています。「ヌプリ」は山を意味する言葉で、アイヌ語での名称は「ニセイ・コ・アン・ヌプリ」、ニセコアンベツ川の源にある山という意味になると伝えられています。明治以降の入植者が地名を文字化する際、漢字表記は定着せず、カタカナの「ニセコ」が広く使われるようになりました。地質としては約70万年前から約25万年前にかけて活動した火山で、安山岩質の溶岩流を繰り返し噴出してきました。25万年前以降はこの山自体の活動は見られなくなり、火山活動の場はチセヌプリやイワオヌプリなど周辺の山々へ移っています。

登山口は五色温泉で駐車場からの標高差は380メートル

ニセコアンヌプリ登山の代表的な入口は、ニセコ町五色温泉インフォメーションセンターの駐車場です。約100台を無料で収容でき、トイレも備わっています。この駐車場自体が標高928メートルにあるため、山頂の1308メートルまでの標高差はおよそ380メートルにとどまります。登山口はニセコ野営場の向かいにあり、駐車場からそのまま歩き始められる分かりやすい構成です。

駐車場は無料ですが、清掃協力金として300円程度の協力を求められることがあります。駐車場の横には24時間利用できる公衆トイレが設置されていて、登山口に着いた時点でのトイレ利用はここで済ませられます。ただし登山道に入ってからはトイレが一切ないため、出発直前にもう一度済ませておくことが欠かせません。子ども連れの場合は、出発前にもう一声かけて確認しておくと安心です。

水場については、登山口にあたる五色温泉野営場に水場があり、濾過や煮沸消毒をせずに飲用として利用できるとされています。体調や体質によって適応は異なるため、心配な人は事前に十分な量の飲料水を用意しておくほうが無難です。9月は真夏より発汗量が落ち着くとはいえ、標高差のある登りでは思った以上に汗をかくため、水分補給は油断しないようにしましょう。

登りは1時間50分、下りは1時間10分で往復3時間半

五色温泉コースの登り時間はおおよそ1時間50分、下りはおおよそ1時間10分とされ、往復では3時間半ほどで歩き切れる計算になります。登山道には危険な岩場や急峻な崖といった難所がほとんどなく、道もよく整備されているため、経験の浅い人でも比較的安心して歩けるコースです。序盤は樹林帯を進み、標高を上げるにつれて視界が開けていきます。振り返ると五色温泉やイワオヌプリの荒々しい山肌が見え、山頂に着くと羊蹄山の存在感ある山容が正面に広がります。

山頂に近づくほど風の影響を受けやすくなる区間があるため、天候の急変には注意が必要です。9月は日の出が夏より遅く、日没も早まってくるため、行動時間には余裕を持たせたスケジュールを組むことが、気持ちよく下山するための条件になります。

ゴンドラを使えば標高1000メートルまで10分で到達

体力に不安がある人や、短時間で山頂付近の景色を楽しみたい人には、ニセコアンヌプリゴンドラを使うルートが向いています。ゴンドラは6人乗りで、山麓駅から山頂駅(標高およそ1000メートル付近)まで約10分で到達します。営業期間は例年7月16日から10月10日ごろまでで、営業時間は9時から16時(下り最終16時30分)です。時期によって定休日が設定されることもあるため、訪問前に最新の運行日程を確認しておくことをおすすめします。料金は大人往復1500円、小学生往復750円、未就学児は無料です。

ゴンドラ山頂駅の周辺は「1000メートル台地展望台」として整備されていて、ここからすでに羊蹄山、洞爺湖、有珠山、噴火湾までを見渡せます。山頂駅から山頂までは登山道を歩く必要がありますが、五色温泉コースに比べて標高差が小さくなる分、体力的な負担を抑えて山頂を目指せます。展望だけを楽しみたい場合は、山頂駅周辺の散策で折り返す選択も可能です。子ども連れや年配の家族と一緒に登る計画なら、まずこのルートを軸に検討する価値があります。

アクセスは、車なら道央自動車道の各インターチェンジからニセコエリアへ向かい、五色温泉方面またはアンヌプリスキー場方面の道道を進みます。公共交通機関を使う場合は、JR函館本線のニセコ駅からニセコバスの「いこいの湯宿いろは」行きに乗車し、約12分でアンヌプリスキー場に到着、そこから徒歩約5分でゴンドラ山麓駅に着きます。ニセコエリアは羊蹄山や洞爺湖にも近く、登山と周遊観光を組み合わせやすい立地です。

9月下旬から紅葉が始まり羊蹄山とのコントラストが見頃に

9月のニセコアンヌプリ登山には、気候と景観の両面で条件が整いやすいという利点があります。真夏の強い日差しや蒸し暑さが和らぎ、10月のような急激な冷え込みにはまだ至らないため、比較的安定した気温で歩けます。北海道の9月は本州より秋の訪れが早く、標高の高い山では紅葉のスタートも早まる傾向があります。ニセコアンヌプリでは例年9月下旬から10月中旬にかけて紅葉が見頃を迎え、赤やオレンジに染まった山肌と、まだ雪をかぶらない羊蹄山とのコントラストを楽しめる時期になります。

9月は夏休みシーズンのピークを過ぎているため、登山道や駐車場の混雑も落ち着きやすくなります。ゴンドラの営業期間が10月10日ごろまでであることを踏まえると、9月のうちに運行日程を確認しつつ、登山コースとゴンドラ利用を組み合わせて計画を立てやすいのもこの時期の特徴です。夏の高山植物のピークは過ぎていますが、これから始まる紅葉と、まだ十分に楽しめる眺望のバランスが良いのが9月らしい魅力といえます。

ニセコ・倶知安エリア全体でみると、紅葉シーズンは例年9月終わりごろから10月終わりごろまでと幅があり、標高や場所によって色づきの時期が異なります。平地に近いエリアでは10月上旬が見頃になることが多く、シラカバやカラマツ、エゾヤマザクラが色づき、赤や黄色に針葉樹の緑が混じるコントラストを楽しめます。標高の高いニセコアンヌプリでは、平地より早い9月下旬ごろから紅葉が始まるため、山では紅葉、麓ではまだ夏の名残という季節のずれを、日帰りの中で体感できます。

9月の服装は長袖とソフトシェルの重ね着が基本

北海道のニセコエリアは、9月に入ると本州の同時期より気温の下がり方が早く感じられます。市街地でも9月から徐々に涼しくなり、10月にはコートが必要になる日も出てくるため、山の上ではさらに気温が低く、風も強くなりやすい前提で準備することが大切です。9月の登山では、汗をかいても体を冷やさない工夫と、休憩時や山頂での防寒対策を両方意識した服装選びが基本になります。

肌に直接触れるインナーには速乾性のある長袖を選び、その上に保温性のあるミドルレイヤー、さらに風を防ぐソフトシェルやウィンドブレーカーといったアウターを重ねるレイヤリングが有効です。山頂付近は風が強くなりやすく、視界が開けている分、体感温度が下がりやすいため、休憩用に薄手のダウンやフリースを一枚バックパックへ入れておくと安心です。天候が変わりやすい山の性質上、防水性のあるレインウェアも必携です。足元は防滑性のある登山靴を選び、五色温泉コースのように整備された道でも、雨天後は滑りやすくなる点に気をつけましょう。

このほか、水分と軽食、地図やスマートフォンなどの位置確認手段、ヘッドライト、簡易的な救急用品も基本装備として準備しておくと、初心者でも落ち着いて行動できます。ゴンドラを利用する場合でも、山頂駅から先は登山道を歩くことになるため、観光用の靴ではなく登山に適した靴で訪れることが望ましいです。

北海道の山では、風速1メートルにつき体感温度がおよそ1度下がるといわれています。標高1308メートルのニセコアンヌプリでも、風が強い日は市街地の気温から想像するよりずっと寒く感じられることがあります。道内の山は本州の山より緯度が高い分、同じ標高でも気象条件が厳しくなりやすいため、9月であっても油断せず、防寒具は多めに持っていくくらいの心構えがちょうど良いです。

周辺では熊の目撃情報があり熊鈴の携行が必須

ニセコエリアの山々では、羊蹄山やイワオヌプリ、ニセコアンヌプリを含む周辺で、熊の目撃情報や熊の痕跡が報告されることがあります。ニセコ町も熊への注意を呼びかける情報を発信しており、登山の際には熊対策を軽視できません。熊鈴など音の出るものを携行して自分の存在を早めに知らせること、単独行動よりも複数人での行動を心がけること、早朝や夕方など熊の活動が活発になりやすい時間帯の行動には特に注意することが、基本的な対策として挙げられます。

登山前には、自治体や山小屋、観光案内所などが発信している最新の目撃情報を確認し、状況によってはコースの変更や登山の延期も検討する柔軟さが求められます。初心者向けのコースであっても、自然環境そのものが持つリスクはなくなりません。装備や情報収集を軽視せず、無理のない計画を立てることが、安全な登山につながります。

北海道の登山では、登山口に設置されている入山者名簿への記載や、登山計画書の提出も基本の準備に含まれます。オンラインで提出できる登山届の仕組みが整えられている地域もあり、万が一の遭難時には速やかな捜索につながります。家族にも計画書の写しを渡し、行き先と行動予定を伝えておくと、より安心です。ヒグマへの対策としては、熊鈴に加えて、定期的な声出しやホイッスルの使用、トレッキングポールを岩に打ち付ける音などを組み合わせ、自分の存在を継続的に知らせることが効果的とされています。

下山後は五色温泉旅館の日帰り入浴が800円で楽しめる

ニセコアンヌプリ登山の楽しみは、下山後に立ち寄れる「ニセコ五色温泉旅館」の存在によって完成します。標高約750メートルに位置し、ニセコアンヌプリやイワオヌプリの登山口としても知られるこの温泉は、登山客の疲れを癒す拠点として長く利用されてきました。名物の露天風呂からはニセコアンヌプリを望むことができ、やや酸性の強い湯は日によって色合いが変わる淡い緑色をしています。館内には大浴場と「からまつの湯」という二つの浴場があります。

日帰り入浴の利用時間は、夏期(5月から10月ごろ)が9時から20時(閉館21時)、冬期(11月から4月ごろ)が10時から19時(閉館20時)で、定休日はありません。料金は大人800円、子供(5歳以上から小学生)500円と、登山の締めに立ち寄りやすい価格です。泉質は含硫黄・マグネシウム・ナトリウム系の硫酸塩・塩化物泉です。登山口の目の前という立地の良さから、汗を流した体でそのまま湯に浸かれる利便性の高さも、多くの登山者に支持される理由になっています。

体力に余裕があれば鏡沼への周回ルートも選べる

五色温泉コースやゴンドラコースで山頂までの往復に慣れてきたら、鏡沼やヒラフスキー場方面へ下る周回ルートも選択肢に入ります。五色温泉から登る道では、広い道を20分ほど進むと斜度が出はじめ、右手から見返坂コースと合流し、尾根に出ると白い地肌が印象的なイワオヌプリの山容を望めます。山頂から東側へ下ると、クマ笹や灌木の間を抜けて樹林帯に入り、ジャコ川の谷頭を通過したのち花園第3リフト付近に出ます。この付近は広いガレ場になっていて、登山道を見失いやすい点が注意点として挙げられています。ゲレンデを横断すると鏡沼への分岐に到着し、左へ進めば高層湿原の中にある鏡沼、右へ進めばヒラフスキー場方面へ下ることができます。

鏡沼はニセコアンヌプリの北東斜面中腹に広がる高層湿原の中にある小さな沼で、水面が周囲の景色を映し込む景観が特徴です。鏡沼へ向かうルートには、HANAZONOゴルフコース近くから入るルートと、道道沿いから入るルートの2つがあります。登りと下りで異なる景色を楽しみたい場合や、体力に余裕が出てきた場合には、この周回ルートを選択肢に入れる価値があります。ただし、ガレ場での道迷いや樹林帯での視界不良には注意が必要なため、初めて歩く際は最新の登山道情報を確認し、余裕のある時間配分で計画してください。初心者の最初の一回は、往復のみの五色温泉コースかゴンドラコースにとどめ、周回ルートは経験を積んだ次の機会に回すのが無難です。

ニセコエリアには「ニセコパノラマライン」というドライブルートもあり、ニセコアンヌプリをはじめとする山々を車窓から眺めながら移動できます。登山とあわせてドライブを楽しむ旅行者も見られます。

登山後は道の駅で秋の味覚と紅葉スポットも楽しめる

ニセコ町は農業も盛んな地域で、秋になるとジャガイモやお米などの特産物が市場に出回ります。道の駅にあたる「ニセコビュープラザ」では、地元の農家が持ち込んだ農作物が販売されていて、登山後に立ち寄って新鮮な野菜やお米を買う楽しみ方もできます。ニセコから車でおよそ1時間の距離にある余市まで足を延ばせば、10月ごろまでリンゴやブドウ、プルーン、梨といった果物の収穫体験ができ、登山と合わせて秋らしい一日を過ごせます。

早朝から行動を開始する登山者が多いのもニセコアンヌプリ登山の特徴です。ニセコ野営場でキャンプをしながら前泊し、夜明けとともに出発するスタイルも人気で、早朝に駐車場や野営場で車のドアを開け閉めする音や会話の音には、周囲で就寝中の人への配慮が求められます。遠方から日帰りで訪れる場合、前日のうちにニセコ入りし、道の駅「ニセコビュープラザ」で車中泊をしてから早朝に登山口へ向かう計画を立てる人もいます。

初心者は五色温泉コースかゴンドラコースかで選ぶ

ニセコアンヌプリには複数のルートがありますが、初心者が最初に選ぶべきなのは五色温泉コースとゴンドラコースのどちらかです。二つのコースの違いを整理すると、次のようになります。

項目五色温泉コースゴンドラコース
出発地点の標高約928メートル約1000メートル(山頂駅)
山頂までの標高差約380メートル五色温泉コースより小さい
往復の所要時間約3時間半山頂駅からの短距離登山
向いている人登る過程そのものを楽しみたい人体力に不安がある人、子ども・年配の家族連れ
利用できる期間通年(積雪期は装備が別途必要)例年7月16日から10月10日ごろ

時間に余裕があり、登る過程そのものを楽しみたい場合は、標高928メートルの駐車場から歩き始める五色温泉コースが適しています。往復でおよそ3時間、休憩を含めても3時間半前後で歩き切れる規模感は、登山を始めたばかりの人が達成感を得やすい距離です。体力に不安がある人や、小さな子ども・年配の家族と一緒に楽しみたい場合は、ゴンドラで標高1000メートル付近まで上がり、そこから山頂を目指すか、展望だけを楽しんで折り返す選択が有効です。ゴンドラの営業期間や運行日は季節によって変わるため、訪問前に最新情報を確認したうえで計画することをおすすめします。どちらのコースを選んでも、天候の急変や気温の低下、熊の出没情報への備えは共通して欠かせません。

ニセコアンヌプリは、標高1308メートルという手頃な高さながら、山頂から羊蹄山や洞爺湖、有珠山、噴火湾までを望む展望と、初心者にも開かれた登山道を両方兼ね備えた山です。9月は気温が歩きやすく整い、下旬からは紅葉も始まる、登山を計画するうえで条件の整いやすい季節です。レイヤリングを意識した服装選びと、天候急変への備え、熊への注意を欠かさなければ、下山後は登山口すぐの五色温泉で汗を流すところまで、日帰りで自然と温泉の両方を満喫できます。

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