古処山(こしょさん)は、福岡県の朝倉市と嘉麻市にまたがる標高約860mの山で、山頂付近にはツゲの原始林が広がっています。ツゲの自然林は国指定の天然記念物で、登山道は秋月の城下町からも歩いて行けます。2026年10月1日の今日は、ちょうど10月から11月の紅葉シーズンが始まる時期にあたります。
この記事では、古処山のツゲ原始林が石灰岩の山頂に育った理由、周回約2時間の登山コース、駐車場やアクセス、山の麓にある秋月の城下町までを、順番にまとめました。読み終えるころには、どの登山口から登り、登った後にどこへ寄るかまで決められるはずです。

古処山は標高約860mで、嘉穂アルプスの一角を占める山
古処山の標高は859.5mです。出典によって860mや862mと書かれていることもあるので、この記事では「標高約860m」と書きます。
朝倉市と嘉麻市の境にあり、馬見山、屏山とつながる連峰の一部です。この連峰は嘉穂アルプスと呼ばれ、2016年に日本山岳遺産に認定されました。嘉麻峠から秋月までの登山道は九州自然歩道になっています。
山の住所は登山口によって変わります。キャンプ場「遊人の杜」のある側は福岡県嘉麻市千手、秋月に下る側は朝倉市です。同じ山に登るのに、どちらの市から入るかで駐車場も道も違ってきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | こしょさん |
| 標高 | 859.5m(860mや862mの表記もあります) |
| 所在地 | 福岡県朝倉市と嘉麻市 |
| 連峰 | 嘉穂アルプス(馬見山、屏山、古処山) |
| 認定 | 2016年に日本山岳遺産 |
| 山頂付近 | ツゲ原始林(国指定の天然記念物) |
ツゲ原始林は標高600m以上の石灰岩地に育った
古処山のツゲ原始林は、標高600m以上の一帯に広がっています。最大のツゲは樹高12mに達し、樹齢は1000年を超えると推定されるものもあります。
山頂近くには、人の背丈をはるかに超えるツゲの大木が立っています。山頂一帯のツゲと石灰岩が組み合わさった景観は、日本庭園に近い安らぎがあると紹介されています。
ブナ林になるはずの高さに、なぜツゲが育ったのか
古処山の山頂がある高さは、標高だけ見れば本来ブナ帯です。ところが山頂付近には石灰岩が露出しています。そのためブナの林にはならず、ツゲの林が発達しました。ブナ帯の高さにツゲの原始林があるのは、石灰岩という地質のせいです。
山頂付近には、ツゲ以外にも石灰岩地を好む植物、鳥、昆虫が暮らしています。ハナイカダなどがその例です。山頂は、ツゲだけが目立つ場所ではありません。足元にも頭上にも、石灰岩の山に合った生きものが住んでいます。
ツゲを食べるニシキキンカメムシがいる山
古処山にはニシキキンカメムシが生息しています。ツゲを食草とする準絶滅危惧種のカメムシで、福岡県の観光情報サイトでも古処山の代表的な生きものとして紹介されています。
ツゲが食草ということは、ツゲの森が残っていなければこの虫は暮らせないということです。虫が1種いるという事実から、山頂の原始林がいまも保たれていることが見えてきます。出会えるかどうかは運次第ですが、ツゲの枝先を少し気にして歩くと楽しみが増えます。
登山コースは周回約2時間から縦走まで4通り
古処山には入口が複数あります。どこから登るかで、歩く時間と駐車場が変わります。
| 登山口・コース | 目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 遊人の杜キャンプ村から周回 | 歩行約2時間 | 馬攻め場、山頂、奥の院大将隠を経て戻る |
| 古処林道終点(5合目付近) | 山頂まで複数のルート | 5合目に駐車場があります |
| 秋月キャンプ場跡の駐車場 | 駐車場から約40分で5合目 | そこから水舟を経由して山頂へ |
| 古処山、屏山、馬見山の縦走 | 合計8.9km | のぼり872m、くだり876mという記録があります |
遊人の杜から登る周回コースは歩行約2時間
最もまとまりがよいのは、古処山キャンプ場「遊人の杜」から出発する周回コースです。遊人の杜キャンプ村を出て馬攻め場を経由し、古処山の山頂へ向かいます。下りは奥の院大将隠を経由して、遊人の杜キャンプ村に戻ります。歩行時間は約2時間です。
同じ道を往復しないので、景色が途中で変わります。半日で終わる長さなので、午前中に登って午後は別の場所へ回る日程が組めます。
古処林道の終点から登れば5合目から山頂を目指せる
古処林道の終点は5合目付近にあたり、そこに駐車場があります。車でここまで上がれば、山頂を目指す複数のルートが使えます。体力に自信がない人や、時間が限られている日に合う選び方です。
秋月側からは水舟を経由して山頂へ
秋月キャンプ場跡の近くにある古処山登山口の駐車場から歩くと、40分ほどで5合目に着きます。そこから水舟を通って山頂へ向かう道です。本覚寺の横の駐車場から出発する登山者もいます。秋月の城下町に泊まるか立ち寄る予定なら、この側から入ると1日がまとまります。
屏山、馬見山まで足を延ばす縦走
古処山、屏山、馬見山の3座を歩く嘉穂アルプス縦走には、合計8.9km、のぼり872m、くだり876mという記録があります。ほぼ同じ量を登って下る計算で、歩きごたえは相当あります。秋月から屏山までは1.7km、約40分という記載もあります。初めて古処山に登るなら、縦走は2回目以降に回すのが無難です。
山頂の奥ノ院と大将隠し、近くに湧く水舟
山頂には「奥ノ院」と「大将隠し」と呼ばれる岩場があります。近くには、水舟という湧水があります。水舟は尾根のすぐ下に設けられた古い水場で、旱魃の年でも涸れないと伝えられています。
山頂の近くで水が湧くのは、登る人にとって心強い話です。ただし飲めるかどうかは今回調べた範囲では確認できていません。水は麓から持参するのが安全です。
奥ノ院と大将隠しは、遊人の杜から登る周回コースの下りでも通ります。山頂だけで引き返さず、この岩場まで足を運ぶと、古処山らしい石灰岩の景色を見られます。
駐車場は遊人の杜が約40台、秋月へは甘木ICから約20分
車で行く場合、遊人の杜の駐車場は約40台分あります。営業時間は9:00から17:00で、火曜日が休みです。古処林道の終点にあたる5合目にも駐車場があります。
秋月方面へは国道322号を通ります。大分自動車道の甘木ICから国道322号に入ると、約20分で秋月に着きます。
公共交通では、甘木鉄道の甘木駅から甘木観光バスの秋月行きに乗り、約20分で博物館前に着きます。そこから徒歩約8分です。バスで秋月まで行き、そこから登山口へ歩くかどうかは、当日の時間と体力で決めることになります。
登山口や駐車場の状況は変わることがあります。出発前に、あさくら観光協会に問い合わせておくと安心です。
古処山城は秋月氏の拠点で、のちに秋月城の資材になった
古処山には、戦国時代の山城である古処山城がありました。1203年(建仁3年)、原田種雄が秋月荘を与えられ、秋月種雄を名乗ったのが秋月氏の始まりです。古処山城はこの秋月氏の拠点で、標高約860mの高さから秋月一帯を見下ろす、九州でも屈指の堅固な要害でした。
その後、秋月城が築かれた際に、古処山城の資材が再利用されました。古処山城の搦手門は、秋月城の正門である黒門に転用されたそうです。山の上にあった城の門が、麓の城下町に下りてきたことになります。古処山城そのものは一国一城令によって廃城になりました。
登山の途中で石灰岩の岩場やツゲの大木を眺めながら、この山がかつて城だったことを思い出すと、風景の見え方が少し変わります。
下山後は秋月の城下町で桜並木と葛を味わう
秋月は、かつて5万石の城下町で、「筑前の小京都」と呼ばれています。古処山に登った日の午後は、ここで歩く距離を短くして過ごすのが合っています。
秋月城跡と杉の馬場と瓦坂
秋月城は、元和9年(1623年)に黒田長政の三男・長興が秋月5万石の藩主となって居城とした城です。黒門(大手門)や長屋門、苔むした石垣や堀割が、当時の繁栄を伝えています。
杉の馬場は、江戸時代に武士たちが馬術の稽古をした、まっすぐに延びる道です。登城道に杉の大樹が多かったことが名前の由来で、いまは桜並木として知られています。春は桜のトンネルができ、秋は紅葉の季節に多くの人が訪れます。杉の馬場の桜と黒門の紅葉は、秋月で特に人気がある景色です。
瓦坂は、江戸時代に大手門へ続いていた橋で、表面を瓦で補強した大変珍しい橋です。
廣久葛本舗の葛きりと黒門茶屋の川茸定食
秋月は和紙、葛、豆腐などの名物がそろう町です。廣久葛本舗は文政2年(1819年)の創業で、山野に自生した寒根葛の根を水にさらしてつくる製法を守っています。葛きりや葛もちは店内で食べられます。
黒門茶屋では、朝倉市の黄金川にのみ自生する海苔「川茸」を使った川茸定食、郷土料理の蒸し雑煮、本葛の葛餅が味わえます。登山の後に甘いものが欲しくなる人には、葛餅が向いています。
4月から5月の新緑と10月から11月の紅葉、登山道の滑りやすさに注意
古処山の登山に向いている時期は、4月から5月の新緑と、10月から11月の紅葉の時期とされています。7月下旬ごろには、オオキツネノカミソリが咲く時期もおすすめです。今日が2026年10月1日なので、紅葉を狙うなら、ちょうどこれからの季節です。
注意したいのは足元です。登山道は石灰岩質で水分が多く、滑りやすくなっています。近年の豪雨の影響で、一部が荒れているという情報もあります。滑りやすい岩場や急な傾斜があるので、初心者や子ども連れは慎重に歩いてください。クマやヒルについての具体的な情報は、今回調べた範囲では確認できていません。気になる場合は、出発前にあさくら観光協会へ聞いておくのが確実です。
標高は何mか、初心者でも登れるか、秋月からも登れるか
標高は859.5mです。860mと書く出典もあり、862mと書く出典もあります。数値が揺れているので、記事や旅行計画では「約860m」と書くのが無難です。
初心者でも、周回コースは歩行約2時間なので挑戦しやすい長さです。ただし石灰岩で滑りやすく、岩場や急な傾斜があります。軽い気持ちで入らず、滑りにくい靴を用意してください。
秋月からも登れます。秋月キャンプ場跡の近くにある登山口の駐車場から約40分で5合目に着き、水舟を経由して山頂に向かえます。本覚寺の横の駐車場から出発する人もいます。
古処山は、石灰岩の山頂でツゲを見てから秋月へ下りる一日に向いている
古処山は、標高約860mの山頂近くに、国指定の天然記念物であるツゲの原始林を持つ山です。ブナ帯の高さにツゲが育ったのは、山頂に石灰岩が露出しているためです。
登るなら、遊人の杜から周回する約2時間のコースが最もまとまりがよく、秋月側から登れば、下山後にそのまま城下町を歩けます。甘木ICから約20分で秋月に着くので、車でも動きやすい場所です。
自分なら、紅葉の10月から11月に、朝のうちに山頂のツゲを見て、昼は秋月で葛餅を食べる日程にします。山の上に城があり、麓に城下町があるという組み合わせは、ここならではです。
最後に、登山口や駐車場の状況は変わることがあります。出発前に、あさくら観光協会で最新の情報を確認してから出かけてください。








