三徳山投入堂への参拝登山ガイド、鳥取県三朝町で行く国宝巡り

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鳥取県三朝町にある三徳山の投入堂は、断崖絶壁の窪みに建つ国宝で、参拝するには自分の手足だけを頼りに険しい山道を登る必要があります。参拝登山の受付は午前8時から午後3時までで、往復の所要時間はおよそ1時間30分から2時間です。三徳山は三朝温泉とあわせて「六根清浄と六感治癒の地」として日本遺産にも認定されており、登山と湯治をセットで楽しむ旅先として知られています。この記事では、投入堂までの登山ルートや服装のルール、アクセス方法、そして拠点となる三朝温泉の魅力までをまとめて紹介します。

目次

三徳山三佛寺投入堂の参拝登山は受付時間が8時から15時までと決まっている

三徳山三佛寺の投入堂は、標高およそ900メートルの三徳山中腹、切り立った崖の窪みに建つ奥院です。参拝登山を希望する場合は、本堂裏手の入峰修行受付所で手続きを行います。受付時間は午前8時から午後3時までで、下山時刻の目安は午後4時30分ごろとされているため、この枠に収まるように行動する必要があります。

入山料は段階的な料金設定になっています。本堂の参拝だけであれば大人400円ほど、そこから投入堂を目指す参拝登山に進む場合はさらに大人800円ほどが必要です。小中学生は投入堂参拝で400円ほどとなっており、いずれもお布施・志納という位置づけのため、金額は変更される場合があります。訪れる前に公式サイトで最新の金額を確認しておくと安心です。

天候にも左右されます。三佛寺は雨天や降雪で足元が滑りやすいと判断した日は、参拝登山そのものを禁止します。冬季にあたる12月から3月ごろは積雪や路面凍結のため、参拝登山ができない期間もあります。遠方から訪れる場合は、前日や当日朝に公式ホームページで入山可否を確認してから出発したほうが確実です。

三徳山投入堂の建立は平安時代後期と年輪年代測定で判明している

投入堂の建立時期は長らくはっきりしていませんでしたが、2001年に奈良文化財研究所が行った年輪年代測定調査によって、平安時代後期(1086年から1184年ごろ)に建てられたことが分かりました。隣に建つ納経堂も、同じ時期に建立されたことが同じ調査で判明しています。

寺伝では、706年に修験道の開祖とされる役小角がこの地を訪れ、三徳山を修験の行場として開いたと伝えられています。投入堂という名前の由来も独特です。役小角が山のふもとで作った小さなお堂を、法力で手のひらに乗るほど小さくし、大きな掛け声とともに断崖の岩窟へ投げ入れたという伝説が残っています。もちろんこれは伝説であり、実際にどのような工法で断崖にお堂を建てたのかは、今も解明されていません。平安時代から900年以上、あの場所に建ち続けているという事実そのものが、投入堂の価値を物語っています。

投入堂は懸造りと檜皮葺きによる平安時代後期の技術で建てられている

投入堂を建築の面から見ると、三徳山を構成する玄武岩層と凝灰岩層の境目にできた自然の岩陰を利用し、そこに柱を立てて床を支える「懸造り」という工法が使われています。懸造りは、京都の清水寺の舞台のように、山の斜面や崖に対して長い柱を組み、宙に浮いたような床をつくる日本古来の建築技法で、投入堂は現存する懸造り建築の中でも最古級とされています。

屋根はヒノキの樹皮を重ねて葺く檜皮葺の流造で、東西の側面には庇が葺き下ろされ、北西の隅には一段低い隅庇屋根が設けられています。建物の規模自体は間口1間、奥行2間という小さなものですが、柱や梁には丁寧な面取りが施され、太い柱を実際より細く優美に見せる工夫がなされています。こうした繊細な意匠は平安時代後期の建築様式の特徴をよく表しています。

電動工具はおろか重機も存在しなかった時代に、現代の技術でも足場を組むのが難しいあの断崖へ、どうやって資材を運び上げ組み上げたのか。この点については今も定説がなく、日本建築史でも屈指の謎として研究者や建築ファンの関心を集め続けています。

三徳山登山の服装は滑り止めのある靴が必須でスカートは禁止されている

三佛寺は参拝登山にあたって、服装と靴を厳しくチェックします。スカートやワンピースのような裾がひらひらした服装は、岩場でバランスを崩す危険があるため禁止です。動きやすく両手を自由に使える服装を選び、荷物はリュックサックなどにまとめて両手を空けておく必要があります。

靴底に滑り止めの凹凸がない靴、つまり革靴やサンダル、ヒールのある靴、スリッポンなどは入山を断られます。トレッキングシューズや登山靴、ソールのしっかりしたスニーカーが基本です。適切な靴を持っていない場合でも心配はいりません。受付付近でわらじやわらぞうりを購入できます。わらぞうりは700円ほど、わらじは1000円ほどで、実際には岩場のグリップがよく効くという理由で、あえてわらじを選ぶ参拝者も少なくないようです。

杖やトレッキングポールの使用も禁止されています。くさり坂やかずら坂など両手を使ってよじ登る区間が多く、杖があるとかえって危険なうえ、岩や木の根を傷つけないようにするためでもあります。参拝登山事務所では輪袈裟という白い布を受け取り、首から掛けて入山します。俗世を離れ、参拝者としての心構えで山に入ることを示すものです。水分補給用の飲み物やタオル、鎖をつかむ際に手を守る軍手も忘れずに用意しておきましょう。道中に自動販売機はありません。

投入堂への参拝登山は単独行動が禁止され2人以上での入山が条件になる

三徳山投入堂への参拝登山では、必ず2人以上のグループで入山することが求められます。単独登山や単独行動は禁止です。道中には転落や滑落の危険がある区間が多く、万一のトラブルが起きた際に助け合えるようにという安全上の理由からです。一人で訪れた場合は、受付で他の参拝者とグループを組むよう案内されることがあります。

友人や家族と予定を合わせて訪れるか、旅先で同じタイミングの参拝者と一緒になれるよう、時間に余裕を持って受付に向かうのがよいでしょう。

三徳山の登山ルートはかずら坂からくさり坂を経て投入堂へと続いている

受付を済ませたあと、最初に現れるのがかずら坂です。木の根が縦横に張り巡らされた急斜面で、両手両足を使ってよじ登るように進みます。続いて現れるくさり坂は、垂らされた鎖を頼りによじ登る岩壁の区間で、道中でもとくに緊張感のある場所のひとつです。足場が滑りやすい岩肌のため、雨天時にはこの区間の状況が入山禁止の判断材料になることもあります。

くさり坂を越えると、国指定重要文化財の文殊堂に着きます。断崖の上に建つお堂の周囲には手すりのない縁側のような部分があり、そこを一周すると三朝町の山々や町並みを見渡せます。続く地蔵堂も国指定重要文化財で、崖の上を一周できるつくりです。地蔵堂を一周すると寿徳が得られるという言い伝えがあり、多くの参拝者がこの言い伝えにあやかって慎重に一周しています。

その先には、馬の背・牛の背と呼ばれる痩せ尾根の区間が待っています。両側が切り立った細い尾根道で、足元への集中力が求められます。鐘楼堂では鐘を鳴らし、これから投入堂へ向かうことを知らせる風習があります。その後、納経堂や観音堂、元結掛堂といったお堂が点在するエリアを抜け、道の突き当たりでようやく投入堂の姿が現れます。投入堂の正面まで立ち入ることはできず、少し離れた場所から遥拝する形になりますが、その距離感こそが900年間人を寄せ付けずにきた聖域らしさを感じさせます。下山も岩場や鎖場が続くため、登り以上に慎重さが必要です。

三徳山投入堂の参拝登山は高低差160メートルで死亡事故も起きている

三徳山投入堂への参拝登山が「日本一危険な国宝参拝」と呼ばれる理由は明確です。受付から投入堂までは高低差およそ160メートル、距離にして約700メートルの山道を、命綱も転落防止ネットもない状態で登る必要があります。

過去には投入堂へ向かう途中の死亡事故も報告されており、2003年以降だけでも複数の死亡事故が起きています。近年は大きな死亡事故こそ減っているものの、滑落によるけがなどの事故は今も毎年のように起きており、その多くは下山時に発生しているといいます。重力の影響でスピードが出やすいことに加え、登りで体力を使い果たしたあとは集中力が切れやすいことが背景にあるようです。

服装・靴のチェックや杖の使用禁止、単独登山の禁止、天候不良時の入山禁止といった数々のルールは、形式的な決まりごとではなく、参拝者の命を守るための対策です。三徳山を訪れるときは、観光地を散策する感覚ではなく、厳しい自然と向き合う修行の場にお邪魔するという心構えで臨むことが、何よりの安全対策になります。

登山をしない場合は投入堂遥拝所から望遠鏡で国宝を観賞できる

断崖絶壁を鎖でよじ登るのはハードルが高いと感じる方や、天候不良で参拝登山が禁止された場合でも、投入堂の姿を見る方法はあります。三徳山の麓、道路沿いにある投入堂遥拝所です。谷を挟んだ対岸の崖に建つ投入堂を、肉眼や備え付けの望遠鏡を通して眺めることができます。2022年秋にはこの遥拝所がリニューアルされ、高性能な望遠鏡が新たに設置されました。マイ双眼鏡を持参すれば、望遠鏡の順番を気にせずじっくり鑑賞できます。

遥拝所には小規模な駐車場(普通車2台、身障者用1台ほど)が用意されていますが、満車の場合は三徳山の第一駐車場や第二駐車場を利用し、そこから徒歩で向かうことになります。険しい登山に不安がある方や、高齢の家族と一緒に訪れる場合でも、遥拝所であれば誰でも気軽に投入堂の姿を目に焼き付けられます。

三徳山三佛寺へのアクセスはJR倉吉駅からバスで三朝温泉を経由する

三徳山三佛寺へは、車と公共交通機関のどちらでもアクセスできます。車の場合は山陰自動車道や鳥取自動車道を利用し、最寄りのインターチェンジから一般道を経由します。境内近くに駐車場がありますが、紅葉シーズンなどの混雑期は満車になることもあるため、時間に余裕を持って向かうのがよいでしょう。

公共交通機関を使う場合、最寄りの鉄道駅はJR倉吉駅です。倉吉駅からは路線バスで三朝温泉方面へ向かい、そこから三徳山方面のバスに乗り継ぐか、タクシーを利用するのが一般的なルートです。倉吉駅から三朝温泉までは、バスでおよそ20分ほどです。三朝温泉と三徳山周辺のバスに2日間乗り放題で利用できる「湯~遊2デーパス」(1,300円ほど)という企画乗車券もあり、倉吉駅や周辺の観光案内所で購入できます。バスの時刻表は平日と土日祝日で異なるため、事前に最新の時刻表を確認しておくと安心です。

三朝温泉は世界屈指のラドン含有量を誇る放射能泉として知られている

三徳山への参拝登山を計画する際、多くの旅行者が拠点にするのが麓に広がる三朝温泉です。三朝温泉は世界的にも屈指のラドン含有量を誇る放射能泉、いわゆるラジウム温泉として知られ、「現代湯治」の地としても知られています。ラジウムが自然に崩壊する過程で発生するラドンを吸入・入浴・飲用することで得られる作用は「ホルミシス効果」と呼ばれ、体に良いとされる仕組みとして紹介されています。

三朝温泉に関する健康調査では、90歳以上の高齢者の割合が全国平均の6倍というデータも紹介されており、こうした調査結果もあって古くから湯治客に親しまれてきました。険しい参拝登山を終えたあと、この三朝温泉でゆっくり体を休めるという組み合わせは、日本遺産のテーマそのものを体感できるプランといえます。

三徳山と三朝温泉は六根清浄と六感治癒の地として日本遺産に認定されている

三徳山と三朝温泉は、2015年度に文化庁の日本遺産第一号として認定された「六根清浄と六感治癒の地」というストーリーの舞台です。三徳山は修験道特有の険しい地形と、神仏習合を色濃く反映した建築群を有し、1300年にわたって畏敬の念を集めてきました。三朝温泉には、白い狼に導かれて発見されたという伝説が残っており、発見からおよそ850年にわたって三徳山信仰と結びついてきました。

このストーリーの核心は「六根清浄」と「六感治癒」という二つの考え方です。三徳山では断崖での参拝登山を通じて、目・耳・鼻・舌・身・意という六根を清めるとされ、三朝温泉では湯に浸かり、飲み、蒸気を浴びることで、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚・心という六感を癒やすとされています。険しい山道を登りきって国宝を参拝し、その足で名湯に浸かって心身をほぐす。この参拝と湯治がセットになった体験は、地元紙の調査で「訪れてみたい魅力的な日本遺産」の1位に選ばれたこともあります。

三朝温泉街には株湯や河原風呂など気軽に立ち寄れる散策スポットが点在する

投入堂参拝の前後に時間があれば、三朝温泉街の散策もおすすめです。温泉街を流れる三徳川沿いには、昭和9年に建てられた青御影石造りの三朝橋が架かっています。国の登録有形文化財にも登録されており、温泉街のシンボル的な存在です。

三朝橋のたもとには、名物の露天風呂「河原風呂」があります。三徳川の河原に湧く混浴露天風呂で、24時間無料、源泉かけ流しで開放されており、隣接する足湯「河原の湯」とあわせて気軽に立ち寄れます。温泉街の奥に進むと、三朝温泉発祥の湯とされる共同浴場「株湯」があり、営業時間は8時から21時45分ごろまで、料金は大人400円、子供250円ほどです。隣接する無料の足湯や飲泉場では、ラドンを含んだ源泉を実際に飲むこともできます。三朝川に架かる歩行者専用の橋「かじか橋」の中央には、屋根付きの足湯と休憩所があり、散策の合間にひと息つくのにちょうどよい場所です。

スポット名特徴料金の目安
河原風呂三徳川河原の混浴露天風呂、24時間開放無料
株湯三朝温泉発祥の共同浴場大人400円ほど
かじか橋の足湯屋根付きで雨天でも利用可能無料

三徳山の宿坊では座禅や写経の修行体験と精進料理を楽しめる

三徳山への参拝をより深く体験したい場合は、境内の子院(輪光院・正善院・皆成院など)での宿坊体験もおすすめです。宿泊者は本堂での朝の勤行に参加できるほか、座禅や般若心経の写経、仏様を描き写す写仏といった修行体験ができます。俗世の喧騒を離れ、静かな山中で心を整える時間は、投入堂参拝とあわせて訪れることで印象深いものになるでしょう。

宿坊自慢の精進料理も見逃せません。動物性の食材を使わないにもかかわらず品数が豊富で、見た目にも美しく整えられています。とりわけ風味豊かな胡麻豆腐は、宿泊者からの評価が高い一品です。宿坊・精進料理は事前予約制のため、旅程が決まった段階で早めに予約しておきましょう。

三朝町から足を延ばせば中国庭園の燕趙園も楽しめる

三朝町から車で少し足を延ばせば、隣接する湯梨浜町の東郷湖畔に、日本最大級の本格的な中国庭園「燕趙園」があります。中国・河北省の技師の設計により、建材まで中国から輸入して作られた庭園で、東郷湖や山並みを借景として取り込みながら、園内を一周する中に28の景観が配置されています。三景軒や長廊、迎水坊、七星橋といった建物や橋は撮影スポットとして人気があります。

園内を歩いて巡るほか、東郷湖を約45分かけて周遊する「燕趙園遊覧」も体験でき、語り部の案内と中国茶のサービスを受けながら船上でのんびり景色を楽しめます。時期によっては中国雑技ショーやチャイナドレスのレンタルもあり、隣接する道の駅とあわせて、三徳山や三朝温泉とは違った雰囲気を味わえるスポットです。

三朝町のご当地グルメは冬のかに汁ととちの実ソフトが代表格

参拝と入浴を楽しんだあとは、三朝町ならではのグルメやお土産にも目を向けてみてください。冬場は、農林水産省選定の「郷土料理百選」にも選ばれた鳥取名物「かに汁」や、新鮮な蟹を使った「かにめし」が味わえます。湯上りには、地元産のトチの実を使った「とちの実ソフト」や、白バラ牛乳を原料にした日本初の「二層式ヨーグルト」である「三朝ヨーグルト」もおすすめです。混ぜて食べると複雑で奥深い味わいが楽しめます。

地酒好きには、三朝温泉に唯一残る歴史ある蔵元、藤井酒造の日本酒も外せません。「白狼」「三朝政宗」「三徳桜」といった銘柄を主力に、長期熟成させた「白狼古酒原酒」は世界的な賞を数多く受賞しています。お土産には、源泉を100%使用した化粧水「三朝みすと」や、特産の栃の実を使ったお菓子も人気で、旅の思い出を自宅でも味わえます。

三徳山投入堂の参拝前には公式サイトで入山可否を確認しておくと安心

その日の天候によって入山の可否が変わるため、前日や当日の朝に三徳山三佛寺の公式ホームページなどで最新の入山可否情報を確認しておくと、現地で「今日は登れません」と告げられる事態を避けられます。とくに遠方から訪れる場合は、遥拝所からの見学や三朝温泉街の散策、燕趙園への訪問といった、天候不良時の代替プランもあらかじめ考えておくと、旅の満足度を落とさずに済みます。

鳥取県三朝町の三徳山は、断崖絶壁に建つ国宝投入堂を中心に、1300年近い歴史を持つ山岳信仰の地です。かずら坂やくさり坂を経てたどり着く投入堂の姿は、自分の足と手で登った参拝者だけが目にできる景観です。服装や装備、単独行動の禁止といったルールを理解し、準備を整えたうえで臨めば、平安時代から続く祈りの道を安全にたどれます。参拝のあとは、世界屈指のラドン含有量を誇る三朝温泉で疲れを癒やす。この組み合わせが、三徳山・三朝町エリアを訪れる旅の見どころです。

鳥取で山岳修験の雰囲気を味わいたいなら、断崖絶壁の投入堂へ参拝登山する三徳山もおすすめだ。ルートと注意点は鳥取・大山登山の持ち物リスト|初心者向けコースと装備の完全マニュアルで解説している。

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