広島県廿日市市の大野地区には、宮島の対岸に立つ経小屋山(標高597m)と、南麓にベニマンサク湖を抱える大野権現山(標高699.5m前後)があり、どちらも日帰りで歩ける低山です。秋に歩くなら、10月下旬から11月上旬に赤く色づくベニマンサクを目当てに大野権現山へ、瀬戸内海と宮島の眺めを目当てに経小屋山へ、と目的で分けるのが分かりやすい選び方になります。2026年9月20日の時点で、ベニマンサクの見頃まではおよそ1か月から1か月半あります。ここでは2つの山の標高、登山口、コースごとの所要時間、山頂の展望、おおの自然観察の森の開園時間、駅と車でのアクセス、足元に気をつけたい場所までを、確認できた情報だけでまとめます。確認できなかった点は、確認できなかったと書き分けています。

経小屋山は宮島の対岸に立つ標高597mの山です
経小屋山(きょうごやさん)は、広島県廿日市市大野にある山で、宮島の対岸にあって瀬戸内海を見下ろします。森林公園として整備されているため、山頂まで歩いて登ることも、車で上がることもできます。夜景スポットとしても案内されている山で、日中の展望のほかに、夜の景色を紹介するページもあります。
標高が596m、596.6m、597mと割れる理由
経小屋山の標高は、情報源によって表記が3通りあります。YAMAPは597mと表記し、Wikipediaや複数の登山情報は596.6mとしています。596mとする登山記録もあります。596.6mを四捨五入すれば597mになるので、597mと596.6mは同じ数字を丸めるかどうかの違いです。差は1mに満たないので、どの数字を書いても登山の計画には響きません。この記事では山名のあとに597mと添え、必要な場面で596.6mも併記します。
山名は一切経と経小屋に由来します
山名の由来として伝わっているのは、一切経が伝わり、経小屋が建てられた場所だったから、という話です。経小屋という言葉がそのまま山の名前になったわけで、山名そのものが、この場所にかつて経小屋が建てられたことを今に伝えています。
山火事で二度焼けた白い岩肌
経小屋山は、山火事で二度焼けた山です。その跡は、白い露岩の山肌となって今も残っています。歩いていて岩が白く露出した場所に出会うのは、この山の特徴のひとつです。
大野権現山は699.5m前後で、南麓にベニマンサク湖があります
大野権現山(おおのごんげんさん)は、大野町と佐伯にまたがる標高699.5m前後の山で、比較的登りやすい山として紹介されています。南斜面の麓にはベニマンサク湖があり、その一帯が「おおの自然観察の森」です。登山の山であると同時に、湖と森を歩く場所が麓にある点が、経小屋山とは違います。
標高の表記は699.5m、699.1m、700mの3種類
大野権現山の標高も、経小屋山と同じく情報源で数字が割れます。699.5m、699.1m、700mの3通りが見つかります。差は1m未満から約1mの範囲に収まっています。登山の計画に影響する差ではないので、この記事では699.5m前後と書きます。
南の登山口はおおの自然観察の森
登山口は、南側のおおの自然観察の森が基本です。ヤマレコにも「大野権現山登山口(ベニマンサク湖)」の登山口情報ページがあり、最新の山行記録やルートを確認できます。自然観察の森に車を停めて、湖沿いに歩いて登山口へ向かう流れになります。
経小屋山には少なくとも7つのルート名があります
経小屋山の登山ルートは、確認できたルート名だけで7つあります。妹背の滝、宮浜温泉、新行者山と城山、岩滝、鳴川、玖波、残念尾根の左岩稜です。ほかに、大野浦駅から玖波駅まで歩くルートと、YAMAPに載っている周回のモデルコースもあります。低山にしてはルートの選択肢が多く、駅から歩くのか、車で上がるのか、温泉地から登るのかで選べます。
| ルート | 起点や特徴 | 確認できた情報 |
|---|---|---|
| 妹背の滝ルート | 妹背ノ滝公園が起点 | JR大野浦駅から往復する12kmのコースがあります |
| 宮浜温泉ルート | 宮浜温泉から登る | 270m地点に展望地、300m地点に標識があります |
| 新行者山と城山のルート | 城山を経由する | YAMAPに城山と経小屋山の往復コースがあります |
| 岩滝ルート | 岩滝の名がつくルート | ルート名が確認できています |
| 鳴川ルートと玖波ルート | 鳴川と玖波の名がつくルート | ルート名が確認できています |
| 残念尾根の左岩稜ルート | 岩稜を通る | 2020年11月8日の記録があります |
妹背の滝ルートは全長約12kmのコースとして案内されています
妹背の滝ルートは、妹背ノ滝公園を起点にするルートです。JR大野浦駅から妹背ノ滝公園を通って経小屋山に登り、同じ道を戻る「妹背ノ滝公園ハイキングコース」は、全長約12kmの往復として案内されています。ヤマレコには、妹背の滝ルートと宮浜ルートをつないだ記録があり、所要は約4時間57分でした。城山ルートと妹背の滝ルートをつないだ別の記録は、約4時間36分です。
この2つの時間は、いずれも個人の記録です。休憩の長さや歩く速さで変わります。同じ経小屋山でも、ルートを組み合わせて歩けば4時間半から5時間ほどかかる、という目安として読むのが実用的です。12kmという距離と、4時間台後半という所要を並べると、大野浦駅から往復するコースは、低山でも半日かけて歩く計画になります。
宮浜温泉ルートは270m地点の展望地と300m標識が目印
宮浜温泉ルートは、宮浜温泉から登るルートです。登山記録には、270m地点の展望地を通り、300m地点の標識を過ぎて山頂に至る流れが残っています。標高の途中に展望地があるルートは、登りの途中で息を整えながら景色を見られるので、歩き始めのペース配分がしやすくなります。ヤマレコには「経小屋山 宮浜コース登山口」の登山口情報ページがあり、地図や最新の記録を確認できます。
城山、岩滝、鳴川、玖波、残念尾根の各ルート
新行者山と城山を通るルートには、YAMAPに「城山-経小屋山 往復コース」のモデルコースがあります。岩滝ルート、鳴川ルート、玖波ルートは、ルート名は確認できましたが、距離や所要時間までは確認できませんでした。残念尾根の左岩稜ルートは、2020年11月8日に晴れ、気温18℃で歩かれた記録があり、秋の登山日和の目安になります。
登山会がJR玖波駅に集合して経小屋山を越え、JR大野浦駅まで歩く縦走も行われています。YAMAPにも、大野浦から玖波へ歩くルートの活動記録があります。駅から駅へ歩く行程なら、下山後に車を取りに戻る必要がありません。
経小屋山の山頂は駐車場から5分ほどで東屋に着きます
経小屋山の山頂付近は、駐車場から30秒ほど下った場所に東屋があり、駐車場から合計で5分ほどで着きます。東屋の近くの岩場からは瀬戸内海沿いの景色が広がり、宮島を一望できます。山頂の広場には小さな東屋があり、岩国市から広島市までを見渡せます。天気によっては、四国の山々が見える日もあります。
歩いて登る人にとっては、長い登りのあとに待つ展望の場所です。車で上がる人にとっては、5分歩くだけで着く手軽な展望地です。山頂展望台は、じゃらんnetとアソビュー!にもスポットとして載っています。山頂付近には広場とトイレがあるという情報があり、大野浦から玖波へ歩くルートの途中にも、展望台とトイレのある広場を通ります。
大野権現山のおむすび岩は40分から1時間で着きます
おむすび岩は、大野権現山の登山ルートの途中にある展望スポットです。三角形のおむすびの形をした岩が、巨大な岩の端にぽつんと乗っている、珍しい景色が広がっています。広島市内から宮島、坂町、大竹、岩国の方面まで見渡せます。
おおの自然観察の森からの所要時間の目安
自然観察の森からおむすび岩までは、写真を撮りながらゆっくり歩いて約1時間、まっすぐ登れば約40分です。おむすび岩は、山頂と分岐のあいだの分岐点まで戻り、そこから約0.4kmの場所にあります。山頂とおむすび岩の2か所を回る記録では、おおの自然観察の森の駐車場を出て、山頂とおむすび岩を通って戻るまで、休憩を含めて約2時間58分でした。
3時間に満たない行程なので、朝に出発すれば昼前後には下山できます。経小屋山の4時間台後半の記録と比べると、大野権現山は半日に収まる計画を立てやすい山です。
湿原の足元と、おむすび岩付近の急な下り
登山口から先の道は、上りやすい道が続きます。湿原の区間は足元が濡れている場所があるので、滑らないように歩いてください。おむすび岩の付近には、この山でただ1か所、足場の悪い急な下りがあるという登山記録があります。おむすび岩を過ぎたあとの下りでは、足元を見ながらゆっくり進んでください。
大野権現山は周回でも歩けます
大野権現山は、周回コースで日帰りハイキングができる山です。YAMAPのコース定数は12と表示されています。大野権現山から前空、鉱山跡などを経由する山行記録もあります。ただし、鉱山跡についての具体的な情報は、今回確認できませんでした。
YAMAPには、大野権現山、奥滝山、高見山をつないだ2024年11月17日の活動記録があります。大野権現山の登山記録は、2026年7月29日に山と溪谷オンラインへ投稿されたものがあり、2026年9月にも記録が投稿されています。夏から秋にかけても、登る人が途切れていない山です。
経小屋山と大野権現山の違いは景色と歩く時間です
2つの山を並べると、選ぶ基準がはっきりします。経小屋山は、宮島と瀬戸内海を見下ろす展望が売りで、車で山頂近くまで上がることもできます。大野権現山は、森の中を歩いておむすび岩の展望に出る山で、麓にベニマンサク湖があります。
| 比較項目 | 経小屋山 | 大野権現山 |
|---|---|---|
| 標高 | 597m(596.6mの表記もあります) | 699.5m前後(699.1m、700mの表記もあります) |
| 場所 | 廿日市市大野 | 廿日市市の大野町と佐伯にまたがる |
| 景色 | 宮島、瀬戸内海、岩国から広島まで | おむすび岩から広島市内、宮島、坂町、大竹、岩国 |
| 車 | 山頂近くまで車道があります | おおの自然観察の森の駐車場が起点です |
| 所要の目安 | 記録では4時間36分から4時間57分 | 記録では約2時間58分 |
| 麓の見どころ | 妹背ノ滝公園、宮浜温泉 | ベニマンサク湖、おおの自然観察の森 |
3時間で終わらせて自然観察の森も歩きたいなら大野権現山、半日から1日かけて宮島を見下ろしたいなら経小屋山、というのがこの表から読める結論です。
秋に歩くならベニマンサクの見頃は10月下旬から11月上旬です
秋の登山で日程の軸になるのは、ベニマンサクの紅葉です。ベニマンサクは広島県の天然記念物に指定されていて、おおの自然観察の森に群生しています。赤く色づくのは10月下旬から11月上旬です。2026年9月20日から数えると、10月下旬まで約1か月から1か月半あるので、日程はまだ動かせます。
大野権現山の登山記録には、「ベニマンサクの紅葉とおむすび岩」を組み合わせた2021年11月の記録もあります。山に登って展望を楽しみ、下山してから自然観察の森で紅葉を見る、という一日の組み立ては、すでに歩かれているものです。
経小屋山は、はつかいち観光協会のページで、秋におすすめの山として案内されています。登山記録では、2020年11月8日に残念尾根左岩稜ルートを歩いた日が、晴れで気温18℃でした。2024年11月17日には大野権現山とおむすび岩の記録がYAMAPに投稿されています。11月に入ってからの記録が複数あるので、11月上旬に大野権現山を歩く日程は、実績のある選択肢です。
ただし、経小屋山や大野権現山の山そのものの紅葉の見頃は、今回の調査では確認できませんでした。紅葉の時期は年によって動くので、出発の直前に最新の登山記録を見て、色づき具合を確かめてください。
おおの自然観察の森は9時から16時30分まで開いています
おおの自然観察の森は、大野権現山の南側登山口になる廿日市市の施設です。開園は午前9時から午後4時30分までです。休園日は月曜日で、月曜日が祝日のときはその翌日になります。年末年始(12月28日から1月4日)も休園します。駐車場は無料です。住所は、広島県廿日市市大野矢草2723(郵便番号739-0488)です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開園時間 | 午前9時から午後4時30分 |
| 休園日 | 月曜日(祝日の場合は翌日)、12月28日から1月4日 |
| 駐車場 | あり、無料 |
| 住所 | 広島県廿日市市大野矢草2723 |
| 主な施設 | 自然観察センター、観察小屋、学習広場、観察広場、水辺の道、自然観察路 |
開園時間から逆算した登山計画
開園時間は、登山の出発と帰着の時刻に直結します。9時に自然観察の森を出発して、山頂とおむすび岩を回る約2時間58分の行程を歩くと、下山は正午前後になります。閉園の午後4時30分まで、4時間以上の余裕があります。ゆっくり写真を撮りながらおむすび岩まで約1時間かけても、下山後に自然観察の森を歩く時間が残ります。
車を停めたあとは、管理センターで入園の手続きをして、ベニマンサク湖沿いに歩いて登山口へ向かいます。この手続きの時間も見込んで、余裕を持って到着してください。月曜日に登山を計画している場合は、休園日に当たらないかを先に確認してください。訪問前には、廿日市市の公式ページで最新の情報を見ておくと安心です。
観察の森の湖と施設
観察の森は、ベニマンサク湖を中心にして、自然観察センター、観察小屋、学習広場、観察広場、水辺の道、自然観察路が整備されています。野鳥、昆虫、植物の観察ができる場所として案内されています。環境省の「NATS自然大好きクラブ」にある「自然観察の森へ行こう!」のページにも、おおの自然観察の森が載っています。
経小屋山と大野権現山へは車でも電車でも行けます
車と電車のどちらでも行けますが、山ごとに向いた手段が違います。経小屋山は、車で山頂近くまで上がることも、駅から歩くこともできます。大野権現山は、おおの自然観察の森の駐車場が起点になるので、車が使いやすい山です。
経小屋山へは大野浦駅から車で約30分
じゃらんnetは、JR大野浦駅から経小屋山まで車で約30分、広島岩国道路の大野ICから車で約25分と案内しています。電車を使う場合は、JR山陽本線の大野浦駅(廿日市市塩屋1丁目)と、その西隣の玖波駅が、登山の起点や終点として使われています。じゃらんnetには「経小屋山森林公園」と「経小屋山頂展望台」の2つのスポットのページがあります。
バスは、大野浦駅北口のバス停から「おおのハートバス」が、玖波駅や大野支所前の方面に出ています。ただし、経小屋山森林公園まで直接行くバスの詳細は、今回確認できませんでした。時刻表はナビタイムなどで最新のものを見てください。
大野権現山へは自然観察の森に車を停める
大野権現山は、おおの自然観察の森の駐車場に車を停めて登ります。大野浦駅からのバスの情報は、今回の調査では確認できませんでした。公共交通で行く場合は、バスの経路を事前に自分で調べておく必要があります。地元テレビ局の情報サイトには「バスと電車と足で行くひろしま山日記」という連載があり、第5回で経小屋山(廿日市市)が取り上げられています。公共交通で山へ行く計画の参考になります。
登山記録の数字は目安として読んでください
この記事に出てくる所要時間は、ヤマレコ、YAMAP、山と溪谷オンラインの個人の記録が根拠です。個人の記録は、歩いた人の体力、休憩の長さ、天気で変わります。4時間57分の記録と4時間36分の記録には、20分あまりの差があり、同じ山でもルートの組み合わせで時間が動きます。自分のペースが分からないうちは、記録の時間に余裕を足して計画を立てるのが確実です。
ルートが複数あるため、地図アプリや登山地図で自分が歩くルートを事前に確かめてください。最新の登山道の状況や駐車場については、はつかいち観光協会と廿日市市の公式ページ、それに直近の登山記録で確認するのが確かな方法です。
迷ったときは大野権現山を11月上旬に歩く日程を選びます
2つの山のどちらから歩くか迷うなら、この記事の結論は、初めての秋は大野権現山を11月上旬に歩く日程です。所要が約2時間58分で半日に収まり、ベニマンサクの見頃が10月下旬から11月上旬と確認でき、おおの自然観察の森の駐車場も無料で使えるからです。
経小屋山は、大野権現山を歩いたあとの2回目に回すのが順当です。ルートが7つ以上あるので、1回目は山頂駐車場から東屋まで5分歩いて展望を確かめ、2回目に妹背の滝ルートや宮浜温泉ルートで歩いて登る、という順番なら、自分に合うルートを選べます。宮島の対岸から瀬戸内海を見下ろす景色は、経小屋山の一番の売りです。
経小屋山と大野権現山についてよくある疑問
経小屋山に車で行けるのか、という疑問には、行けると答えられます。山頂付近に駐車場があり、駐車場から約5分で東屋に着きます。歩いて登る場合は、ルートによって所要が4時間台になる記録があります。
電車で行けるのか、という疑問にも、行けると答えられます。JR大野浦駅とJR玖波駅が起点と終点に使われ、大野浦駅から玖波駅へ歩くルートの活動記録がYAMAPに残っています。
大野権現山の名前の「権現」の由来は、今回の調査では、この山に固有の由来を確認できませんでした。由来の説明は断定しません。鉱山跡についても、具体的な情報は確認できていません。
おむすび岩へはどのくらいかかるのか、という疑問には、自然観察の森から約40分から1時間と答えます。紅葉はいつなのか、という疑問には、ベニマンサクが10月下旬から11月上旬と答えます。山の紅葉の見頃は、確認できていません。
経小屋山と大野権現山の秋ハイキングをまとめます
経小屋山は宮島の対岸に立つ597mの山で、山頂近くまで車で上がれる展望の山です。大野権現山は699.5m前後の山で、おむすび岩の展望とベニマンサク湖を持つ、半日で歩ける山です。ベニマンサクは10月下旬から11月上旬に赤く色づき、2026年9月20日から数えれば、日程を決める時間はまだあります。おおの自然観察の森は午前9時から午後4時30分までの開園で、月曜日が休みです。出発前には、開園日と最新の登山道の状況を公式ページで確認してから、山へ向かってください。








