御荷鉾山登山ガイド、群馬の二百名山で楽しむ秋の展望コース

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御荷鉾山は、群馬県藤岡市と多野郡神流町にまたがる標高1287メートルの西御荷鉾山と、隣接する標高1246メートルの東御荷鉾山からなる山で、日本二百名山と関東百名山の両方に選ばれています。急峻な岩場が少なく、日帰りで東西二つの頂を巡れる歩きやすさが特徴で、空気が澄む秋には両神山や武甲山、条件がそろえば富士山まで見渡せる展望登山の適期を迎えます。この記事では、御荷鉾山の名前の由来や地質、登山コースとコースタイム、アクセスと駐車場情報、秋ならではの展望や紅葉の楽しみ方、周辺の観光スポットまでを整理して紹介します。

目次

御荷鉾山は西と東の二峰からなる標高1287メートルの群馬県二百名山

御荷鉾山は、群馬県南西部、上信越の山々と関東平野の境目に近いエリアに位置しています。西御荷鉾山は藤岡市と神流町にまたがり、東御荷鉾山は藤岡市と神流町、さらに万場方面にかけて広がっています。標高は西御荷鉾山が1287メートル前後、東御荷鉾山が1246メートルで、二つの峰が東西に並ぶ双耳峰の姿は、麓の集落や国道からもはっきり見分けられます。

山体の多くは牧草地やスーパー林道が通るなだらかな地形で構成されており、クサリ場が連続するような険しい登山道ではありません。そのため、登山を始めたばかりの人からベテランまで挑戦しやすい二百名山として知られています。山頂付近には樹林に囲まれた区間もありますが、開けた場所からは関東平野や奥秩父連峰、上信国境の山並みまで見渡せます。

以下は西御荷鉾山と東御荷鉾山の基礎データです。

項目西御荷鉾山東御荷鉾山
標高約1287メートル約1246メートル
所在地藤岡市・神流町藤岡市・神流町・万場方面
山頂の特徴広くベンチと反射板あり樹林に囲まれ展望は限定的
選定日本二百名山・関東百名山日本二百名山・関東百名山

名前の由来は御荷鉾三山の伝承と日本武尊、弘法大師の言い伝え

「御荷鉾(みかぼ)」という名前には複数の説が伝わっています。一つは、東御荷鉾山、西御荷鉾山、オドケ山という三つの峰からなることから「三株(みかぶ)」が転じて「みかぼ」になったという説です。もう一つは、日本武尊が東征の際にこの山を越える際、鉾を担いで通ったという言い伝えにちなみ、「御荷鉾」という字が当てられたという説です。

弘法大師にまつわる話も残っています。かつてこの山に鬼が棲みついており、弘法大師がこの鬼を退治した際、鬼が石を投げながら逃げたと伝わっています。石を投げた場所は「投げ石峠」、石が落ちた場所は「鬼石」と呼ばれるようになり、現在も藤岡市周辺には鬼石という地名が実際に残っています。地質や登山道の整備状況だけでなく、こうした古い言い伝えが山名そのものに刻まれている点も、御荷鉾山の見どころの一つです。

なかでも西御荷鉾山は、西上州地域で古くから地元の人々に信仰されてきた山です。麓の集落からは、田畑や暮らしの安寧を見守る山として仰ぎ見られてきた歴史があり、山中や山麓には信仰の名残を感じさせる祠や石碑が点在しています。展望や登山道の歩きやすさだけでなく、こうした地域の歴史とのつながりも、御荷鉾山を訪れる際に知っておきたい背景です。

御荷鉾層と三波川変成帯が示す御荷鉾山の地質的価値

御荷鉾山は、日本列島の地質構造を理解するうえでも重要な山です。御荷鉾山系の地質は、西側が中生代ジュラ紀の付加体である秩父帯、東側が中生代白亜紀に形成された変成岩帯である三波川帯からなり、その境界にあたる部分に御荷鉾層が位置しています。御荷鉾層は主に中生代ジュラ紀の玄武岩が変成してできた緑色片岩からなり、一部には海底で噴出した溶岩が急冷されてできる枕状溶岩も見られます。

三波川変成帯は、中央構造線の外帯側に接する変成岩帯で、日本列島最大級の広域変成帯とされています。低温高圧型の変成作用を受けた結晶片岩が広く分布しており、その名称は藤岡市三波川、つまり利根川水系の支流で御荷鉾山の北麓を水源とする三波川で産出した結晶片岩を「三波川結晶片岩」と呼んだことに由来します。御荷鉾山という一つの山が、日本列島を代表する変成岩帯の名前の由来そのものと結びついているわけです。登山道を歩きながら足元の岩肌に目を向けると、緑色を帯びた片岩など、この地質的な背景を感じさせる石に出会えます。

深田クラブが1984年に選んだ日本二百名山と関東百名山の二重選出

日本二百名山は、深田久弥の著書「日本百名山」を継承・拡張する形で、深田久弥のファンクラブである深田クラブが、クラブ創立10周年を記念して1984年に選定した200の山のリストです。日本百名山に選ばれなかった山の中から、標高や山の品格、歴史性、独自性といった観点で選ばれており、いわゆる玄人好みの山が数多く含まれているのが特徴です。御荷鉾山もこの日本二百名山の一座に数えられており、日本百名山ほどの知名度はないものの、地質学的な価値や独特の山容、東西二峰を巡る変化に富んだ縦走コースなど、選ばれた理由がうなずける個性を持っています。

御荷鉾山は関東百名山にも選ばれています。関東百名山は関東地方の登山愛好者やガイドブック編集者らがまとめたご当地百名山の一つで、こちらでも御荷鉾山は代表的な一座として名を連ねています。日本二百名山と関東百名山の両方に選ばれている点から、群馬県西部を代表する山であることがわかります。

中央登山口からのコースタイムは往復3時間6分、距離5.5キロ

御荷鉾山への登山道は、中央登山口(南口)、西口、東口、小柏口(北尾根口)の四つに分かれています。このうち中央登山口からのコースが最短で、多くの登山者に利用されています。

中央登山口から西御荷鉾山を経て東御荷鉾山まで縦走し、再び中央登山口へ戻るコースの場合、コースタイムはおよそ3時間6分、歩行距離は約5.5キロメートル、累積の登りは約622メートルです。日帰りでゆとりを持って歩ける行程で、休憩や展望を楽しむ時間を含めても、朝早めに出発すれば昼過ぎには下山できる計算になります。

中央登山口の駐車場から西御荷鉾山の山頂までは、コースによっては30分に満たない急登で到達できるという記録もあり、最短ルートでは短時間で山頂を踏むことも可能です。ただし傾斜のきつい区間もあるため、体力に応じたペース配分が必要です。西御荷鉾山から東御荷鉾山へは、いったん鞍部まで下ってから登り返す稜線歩きになり、樹林帯と開けた尾根が交互に現れます。

西口、東口、小柏口からもそれぞれのルートでアプローチでき、周回コースを組んだり、縦走の起点と終点を変えたりすることで、日帰り登山の計画に幅を持たせられます。体力と時間に余裕があれば、東御荷鉾山からさらに足を延ばし、釜伏山方面へ縦走するロングコースを組む登山者もいますが、日帰りの範囲を超えることもあるため、コースタイムと下山口、交通手段を事前に確認したうえで計画してください。

西御荷鉾山と東御荷鉾山で山頂の展望は大きく異なる

西御荷鉾山と東御荷鉾山は、それぞれの山頂の雰囲気にはっきりとした違いがあります。西御荷鉾山の山頂は比較的広く、ベンチが設置されているほか、電波中継用の反射板が置かれており、開けた方向からは良好な展望が得られます。反射板は無給電中継装置と呼ばれる設備で、山の陰になって電波が直接届かない二地点間で、電波を反射させて目的のアンテナへ届ける役割を持ち、登山道沿いでもしばしば見かける構造物です。

一方の東御荷鉾山の山頂は樹林に囲まれている区間が多く、西御荷鉾山ほどの大きな展望は得にくいとされています。とはいえ、稜線を歩く途中で不意に開ける眺めや、木々の隙間から望む山並みにも趣があり、東西二つの頂を歩き比べることで、御荷鉾山という一つの山が持つ二つの表情を楽しめます。

関越道本庄児玉ICから県道71号線経由でアクセス、駐車場は無料40台分

御荷鉾山は車でのアクセスが基本になる山で、公共交通機関だけでのアプローチはあまり現実的ではありません。中央登山口へのアクセスの一例としては、関越自動車道の本庄児玉インターチェンジで高速道路を降り、国道462号線を藤岡・児玉方面へ進みます。JR八高線の高架をくぐった先で道標に従って国道462号線を神川方面へ進み、神流湖と県道71号線・吉田方面への分岐を過ぎたあたりで「みかほ高原荘5.8キロメートル」の案内板がある交差点を右折します。そのまま県道71号線を道なりに進み、御荷鉾スーパー林道に突き当たったところを右折すると、道幅が広がり右手に未舗装の駐車場が現れます。

駐車場は標高およそ1080メートル地点にあり、未舗装ながら約40台分のスペースがあるほか、路肩にも15台ほど駐車できます。利用は無料です。道路を挟んだ反対側にはトイレが整備されており、和式ではあるものの比較的清潔に管理され、紙も備え付けられているとの情報があります。登山口周辺の設備が整っている点は、初めて訪れる登山者にとって安心材料になるでしょう。

御荷鉾林道は12月中旬から4月中旬まで冬期閉鎖になる

御荷鉾山へ通じる御荷鉾林道(御荷鉾スーパー林道)は、積雪や路面凍結の恐れがあるため、例年12月中旬から翌年4月中旬にかけて冬期閉鎖になります。つまり、紅葉が美しい秋のシーズンは、冬期閉鎖前に楽しめる貴重な登山適期の一つということになります。閉鎖直前にあたる11月下旬から12月上旬に訪れる場合は、路面状況や積雪の有無を事前に確認しておいたほうが安心です。

標高900メートルを境に植生が変わり秋は一足早く色づく

御荷鉾山の登山道を歩くと、標高によって植生がはっきり変わっていく様子を観察できます。麓に近い低い標高では、シイやカシといった常緑広葉樹の森に加え、コナラやカエデ、マツが混じり合う落葉樹林が広がっています。標高900メートルから1000メートル付近まで上がると、カラマツやミズナラ、シラカバが優勢になり、山の表情が徐々に変わっていくのがわかります。山麓から標高1000メートル付近にかけては、スギやヒノキの人工林も広く分布しており、自然林と人工林が入り混じった、西上州らしい里山の景観を形づくっています。

春には稜線上でアカヤシオをはじめとするツツジの仲間の花が咲き、花の時期に登る人も少なくありません。秋にはコナラやカエデなど落葉広葉樹が色づき、標高1200メートルから1300メートルという高さもあって、平地より一足早く紅葉のシーズンを迎えます。階段状に整備された区間や、植林と自然林が交錯する道を歩きながら、季節ごとに変わる森の様子を楽しめるのも御荷鉾山の魅力です。

秋は両神山や武甲山、条件次第で富士山まで見渡せる大展望の季節

御荷鉾山は標高1200メートルから1300メートル程度のため、真夏でも比較的涼しく歩けますが、特に魅力が際立つのは空気が澄み渡る秋です。秋は湿度が下がり、遠くの山並みまで見通せる日が増えるため、御荷鉾山ならではの大展望を存分に楽しめます。

山頂やその周辺の開けた場所からは、埼玉県との県境に連なる両神山や、秩父のシンボルである武甲山、さらには奥秩父連峰の山々まで見渡せます。条件が良く空気の澄んだ日には、遠く富士山を望めるという記録もあり、東西二つの頂を巡りながら、方角によって表情の異なる展望を楽しめるのがこの山の醍醐味です。

紅葉の時期は、標高1200メートルから1300メートル程度の山であることから、平地より早く色づき始めます。カエデやブナ、ミズナラなど周辺に見られる広葉樹の色づきと合わせて、稜線歩きの途中で紅葉と展望を同時に楽しめるのも、秋の御荷鉾山ならではのよさです。標高がそれほど高くなくても、秋以降は朝晩の冷え込みが強まるため、防寒対策を含めた服装選びには注意してください。

御荷鉾スーパー林道展望台では60峰以上と上野村スカイブリッジを一望

御荷鉾山の南東側、御荷鉾スーパー林道沿いには展望台が設けられています。標高およそ1340メートル付近にあるこの展望台は、斜面から張り出した舞台のような構造になっており、南東から南西方向にかけて視界が大きく開けています。展望台からは60峰以上ともいわれる山々を望むことができ、武甲山、小丸、両神山、雁坂嶺といった山々に加え、眼下には上野村のスカイブリッジも見下ろせます。登山と組み合わせて、車でアクセスできるこの展望台にも立ち寄れば、周辺の山岳展望をより多角的に味わえます。

登山の注意点は冬期閉鎖と防寒装備、補給計画

御荷鉾山は比較的なだらかな山容ですが、標高差600メートル程度を登る本格的な登山であることに変わりはありません。計画を立てる際は、いくつかの点に留意してください。

まず、御荷鉾林道が冬期閉鎖される12月中旬から4月中旬を避けてスケジュールを組む必要があります。紅葉狙いで秋に訪れる場合は閉鎖直前の時期にあたるため、路面凍結や積雪の有無を事前に確認しておくとよいでしょう。次に、登山道の一部には急登区間があるため、しっかりしたトレッキングシューズと、両手を使えるザック、水分と行動食を用意することが基本になります。標高が1300メートル前後でも、秋以降は稜線上で風が強く冷え込むことがあるため、防寒着やウィンドブレーカーを携行してください。

さらに、山中や登山口周辺には自動販売機やコンビニエンスストアといった補給できる施設が少ないため、飲み物や食料は事前に麓の町で調達しておく必要があります。中央登山口周辺には簡易的なトイレはあるものの、それ以外の施設は限られているため、計画的な準備が求められます。加えて、御荷鉾山系は地質的に変成岩や玄武岩由来の岩石が広がる区域のため、雨天時や降雨直後は登山道が滑りやすくなります。紅葉シーズンは落ち葉で登山道が覆われ、足元の状態が見えにくくなることもあるため、ストックの活用や無理のないペース配分を心がけましょう。

神流町恐竜センターと桜山公園を組み合わせた秋の周遊プラン

御荷鉾山の登山口がある神流町・藤岡市周辺には、登山と組み合わせて楽しめる観光スポットが点在しています。代表的なのが、神流町にある神流町恐竜センターです。神流町は関東地方において恐竜の化石が発見された唯一の地域とされ、恐竜のまちとして知られています。神流町恐竜センターは学術的に価値の高い展示に加え、屋外で楽しめるアスレチックやキャンプ場も併設された体験型の施設で、登山の前後に立ち寄って地域の自然史に触れられます。

御荷鉾山の言い伝えにも登場した藤岡市鬼石地区には、冬桜の名所として知られる桜山公園があります。桜山公園には冬桜がおよそ7000本植栽されており、例年10月下旬から12月上旬にかけて見頃を迎えます。冬桜は一年に二度花を咲かせる珍しい品種で、梅の花に似たやや小ぶりな花をつけるのが特徴です。見頃となる11月中旬から12月上旬は、紅葉と冬桜が同時に楽しめる時期にあたり、夜間にはライトアップも行われます。毎年12月1日には冬桜の満開を祝う桜山まつりも開催されており、御荷鉾山への登山と合わせて訪れれば、秋から初冬にかけての西上州エリアならではの景観を一日で味わえます。

群馬県西部エリアはこんにゃく生産が盛んな地域でもあり、周辺の道の駅や直売所ではこんにゃくをはじめとする地元の特産品を購入できます。登山の行き帰りにこうした地域ならではの食や文化に触れることで、山を歩くだけにとどまらない一日を過ごせるでしょう。

御荷鉾山登山でよくある疑問に答える

御荷鉾山はいつ登るのがよいのかとよく聞かれますが、紅葉と展望を同時に楽しみたいなら、御荷鉾林道が冬期閉鎖になる直前の11月が有力な候補になります。空気が澄んで両神山や武甲山までくっきり見える一方、朝晩は冷え込むため防寒着は欠かせません。中央登山口までのアクセスに車が必須かという点については、公共交通機関でのアプローチが難しいため、基本的にはマイカー利用が前提になります。駐車場は無料で約40台分あり、路肩にも駐車できるため、混雑期でなければ困ることは少ないはずです。

初心者でも登れるのかという疑問には、コースタイムが往復3時間程度で、クサリ場のような険しい区間がないことから、体力に自信がなくてもペース配分さえ守れば挑戦しやすい山だといえます。ただし標高差は600メートルほどあるため、しっかりしたトレッキングシューズと十分な水分の準備は必要です。西御荷鉾山と東御荷鉾山のどちらか一方だけ登ることもできるのかという点については、それぞれ別の登山口からアプローチできるため、時間が限られている場合は片方だけを目指す計画も立てられます。ただし縦走してこそ味わえる、二つの山頂の展望の違いを楽しみたいなら、中央登山口からの往復コースがもっとも効率のよい選択になります。

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