高越山の登山ガイド|阿波富士の山頂に建つ高越寺と剣山の眺め

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徳島県吉野川市の山川町には、地元で「おこおっつぁん」の愛称をもつ標高1,133mの高越山があります。「阿波富士」の別名でも呼ばれ、山頂には修験の寺である高越寺が建っています。登山道の入口は、高越寺下宮の隣などにあります。

高越山は、古くから人々が祈りに訪れ、景色を眺めに登ってきた山です。山域には国の天然記念物に指定されたツツジの群落があり、高越大橋から自転車で上る大会も開かれるようになりました。

目次

高越山の登山ルートには高越寺表参道や高越寺下宮の隣からの道がある

登山の記録で取り上げられているのは、高越寺表参道を行くルートや、高越寺下宮の隣から登るルートです。

下宮の隣から歩き出すと、まず階段を上って高越寺に着きます。寺に参ったあとは高越神社を経て、山頂へ向かう流れです。

明王院ルートを選べば奥の院にもお参りできる

2021年3月に日帰りで歩いた人は、明王院ルートを選び、高越寺下宮の隣から登り始めました。このルートでは奥の院にも参拝できます。神と仏がひとつに溶け合ったような空気を感じた、とその人は振り返っています。

高越山の頂上からは剣山や三嶺まで見渡せる

山頂に立つと、剣山系の峰々が一望できます。見える山には一ノ森、剣山、三嶺などがあります。空がよく晴れた日なら、頂上近くから瀬戸内海や淡路島まで目に入るそうです。

山頂付近では、ニホンカモシカが姿を見せることもあります。

高越寺は7世紀に役小角が開いたと伝わる阿波の修験道の発祥地

山頂の高越寺(こうつじ)は、7世紀に役小角(役行者)が創建したと伝えられる寺です。宗派は真言宗大覚寺派で、主な本尊として蔵王権現(高越大権現)を祀り、そのわきに千手観音が置かれています。

この寺は、東にある大和国の大峰山(いまの金峰山)と向き合う形で「西上山」を名乗りました。阿波国で修験道が始まった地としても知られています。

高越寺では、毎年8月18日に十八山大護摩が営まれます。

本尊の蔵王権現は経典に出てこない日本生まれの権現

蔵王権現は修験道で本尊とされる存在です。役行者(えんのぎょうじゃ)が吉野山で修行していたときに感得したと伝わります。魔障を降伏させる菩薩で、釈迦仏の教令輪身と位置づけられています。どの経典にも登場しないため、日本の山岳信仰の中から独自に生まれた権現とみられます。

蔵王権現の姿は、山上の岩から役行者が躍り出たさまを表したものとされます。顔はひとつで目が三つ、腕は二本という一面三目二臂の形で、体の色は青黒く、怒りをあらわにした忿怒形をとっています。髪を逆立て、右手には三鈷杵を握り、左手は剣印を結んで腰に当てています。岩を踏みしめ、右足を高く上げて叱りつけるような構えが、よく見られる姿です。

この怒りの表情は、人々を導こうとする強い慈悲のあらわれと受け止められています。

なお、金峯山寺にある三体の蔵王権現は、左から右へ未来、過去、現在を表すとされます。

修験道は山中の苦行で悟りや霊力を求める宗教

修験道は、日本に昔からあった山岳信仰へ、仏教のうち密教の教えと、神道や道教などが溶け込んで生まれた宗教です。成り立ったのは平安時代の末期とする見方があります。開祖として仰がれているのは、7世紀から8世紀にかけての呪術者とされる役小角(えんのおづの、役行者)です。

修行者は山にこもって禁欲の暮らしを送り、肉体的な苦行を通じて、悟りや霊力を得ようとします。祈祷の際には護摩を焚きます。山野に伏して修行を積む人のことを山伏と呼びます。

霊山としては、山形県の出羽三山、奈良県の大峰山、白山などがよく知られています。室町時代に入ると、真言系の三宝院流(当山派)と天台系の聖護院流(本山派)の二つの流れに分かれました。時代が下って明治になると、神仏分離政策と廃仏毀釈が進み、信仰にまつわる文化財が数多く失われたとされます。

真言宗大覚寺派の大本山は京都市右京区の大覚寺

高越寺の属する真言宗大覚寺派は、京都市右京区の大覚寺を大本山としています。大覚寺のもとになったのは、嵯峨天皇(786年から842年)が造った離宮「嵯峨院」です。空海がその離宮の中に五大明王を安置する堂を建て、修法を行ったことが寺の始まりと伝わります。

嵯峨天皇が亡くなったあと、貞観18年(876年)に離宮は寺院に改められました。代々の住職を法親王が務めてきた門跡寺院で、鎌倉時代には上皇がここで院政を行ったことから「嵯峨御所」の名でも呼ばれました。徳治3年(1308年)には後宇多天皇が寺を再興しています。2026年は開創から1150年にあたり、それを記念した展覧会が開かれました。

船窪ツツジ群落は約3.5haに樹齢300年と推定されるツツジが群生する国の天然記念物

高越山の山域内には船窪ツツジ群落があり、昭和60年10月26日に国の天然記念物に指定されました。

群落があるのは、高越寺から東南に約3km進んだ尾根の北側で、標高はおよそ1,050mです。推定樹齢300年のツツジが、約3.5haの範囲に自然のまま群れ咲いています。南尾根には、整備されたハイキングコースがあります。

ツツジの見頃は2回あり第二花期は5月中旬から下旬

花の季節は二度に分かれています。一度目の第一花期に咲くのは、トサノミツバツツジとコバノミツバツツジです。二度目は5月中旬から下旬の第二花期で、株の巨大なオンツツジがレンガ色の花をつけます。

高越山は阿波の土柱を中心とする土柱高越県立自然公園に含まれる

高越山とその周辺は、土柱高越県立自然公園の区域に入っています。この県立自然公園の中心にあるのが、国の天然記念物「阿波の土柱」です。高越山は、春と秋の花や秋の紅葉が楽しめる山として、登山やハイキングで親しまれています。

阿波の土柱は砂礫層が侵食されて柱状に残った地形

まず阿讃山脈が隆起し、そこが削られて、吉野川の谷に扇状地の砂礫層が積もりました。この砂礫層を雨や川が削っていき、柱のような形で残った部分が土柱です。

柱の上の部分には大きな角礫が入っています。この角礫が上に載っているおかげで、下の砂礫質粘土が削られずに済み、柱の形で残ります。

土柱層の年代は、火山灰を分析した結果、45万年前から130万年前の間と推定されます。国の天然記念物になったのは1934年(昭和9年)5月1日でした。

国指定天然記念物は文化財保護法にもとづき文部科学大臣が指定する

船窪ツツジ群落、阿波の土柱、それに後で触れる美郷のホタルは、いずれも国指定の天然記念物です。国指定天然記念物とは、文化財保護法に基づいて文部科学大臣が指定する自然物を指します。

同法は「記念物」を、学術上の価値が高い動物(生息地、繁殖地、渡来地を含む)、植物(自生地を含む)、地質鉱物(特異な自然現象が起きている土地を含む)と定めています。日本の自然を記念するためのもので、学術上とりわけ価値の高いものが選ばれ、なかでも重要なものは特別天然記念物になります。

制度のおおもとは史蹟名勝天然紀念物保存法という法律で、1919年に定められました。いまの文化財保護法ができたのは1950年です。指定を受けたものの現状を変えたり、保存に影響する行為をしたりするには、文化庁長官の許可を受けなければなりません。

2019年3月1日の時点では、国指定の天然記念物は1030件で、うち特別天然記念物は75件でした。分野別に見ると、動物が196件、植物が555件、地質鉱物が256件、天然保護区域が23件でした。

Mt.高越ヒルクライム2026は2026年11月1日(日)に開催予定

高越山は、自転車で上る山でもあります。「Mt.高越ヒルクライム」は上りだけで競うレースで、高越大橋から走り出し、船窪つつじ公園でゴールを迎えます。吉野川市が共催に加わっており、自転車を生かした新しい観光の呼び物として、大会を続けていくことを目標に掲げています。

項目内容
大会の副題阿波富士 おこおっつぁんへの挑戦
初開催2025年
2026年大会の開催日2026年11月1日(日)
参加費一般9,000円、高校生6,000円
募集人数200人(先着順)

高越山は吉野川市のシンボルで山川地区にある

吉野川市は徳島県の北部にあり、吉野川の中流域の南岸に広がっています。北で阿波市と、西で美馬市と接する市です。

市の中心は鴨島地区で、市役所や主な商業施設がここに集まっています。そのほかに川島地区、市のシンボルの高越山を抱える山川地区、清流が美しくホタルの名所でもある美郷地区があります。

吉野川市をめぐるモデルコースは、徳島県の「まるごとパビリオン」で紹介されています。そのなかで山川町は、霊山の高越山がはぐくんだ、自然に恵まれた町として描かれています。

美郷のホタルは地区全体が国の天然記念物

美郷のホタルは、「美郷のホタルおよびその発生地」という名称で国の天然記念物になっています。地区まるごとの指定は日本でここだけとされています。

美郷で見つかっているホタルは5種類あり、ゲンジボタルとヘイケボタルのほか、オバボタル、ヒメボタル、オオマドボタルもいます。場所は吉野川の支流、川田川の中流です。水田が少なく、ホタルの幼虫が食べるカワニナがたくさんすんでいることが、この土地の特徴です。

吉野川市美郷ほたる館は5月20日〜6月20日は21時30分まで開館

吉野川市美郷ほたる館では、ホタルの暮らしぶりや周りの自然を、展示と映像で知ることができます。建物の外には観察広場があり、人工河川も造られています。

ふだんの開館時間は9時から16時30分までで、火曜日が休みです。ただし5月20日から6月20日の期間だけは閉館が21時30分まで延び、休館日もなくなります。入館料は大人200円、中学生以下100円です。駐車場は無料で160台とめられます。

車ならJR徳島線の阿波山川駅から約10分で着きます。市営バスを使う場合は「美郷ほたる館前」で降りてください。

阿波富士の高越山は登山と参拝ができ山域にツツジの群落がある山

吉野川市山川町の高越山は、標高1,133mの「阿波富士」です。登山の道中で山頂の高越寺に参ることができ、山域には国の天然記念物の船窪ツツジ群落もあります。

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