武川岳は、埼玉県飯能市と横瀬町の境にある標高約1050mの山で、初心者でも名郷からバスで入れば日帰りで登れます。名郷を出発して天狗岩と前武川岳を通り、妻坂峠を経由して戻る周回コースは約5時間30分です。YAMAPは、このコースの技術レベルと体力レベルをどちらも5段階中の2と評価しています。
ただし、登山口から急な登りが続き、山頂から名栗元気プラザ方面へ降りる道も急です。低山だからと軽く見ると、脚にきます。
飯能駅北口から名郷までは国際興業バスで約1時間、運賃は890円です。ここでは、コースの選び方、バスと駐車場の情報、クマと凍結への備え、下山後に寄れるさわらびの湯までを書きます。2026年10月5日の時点で確認できた情報をもとにしているので、ダイヤや料金は出発前に公式の案内で見直してください。

武川岳の標高は約1050m、飯能市と横瀬町の境にある奥武蔵の山
武川岳は、埼玉県の奥武蔵エリアにあります。読み方は「たけかわだけ」で、関東百名山の1座にも数えられています。
標高の表記は、調べた資料ごとに1mずれていました。ヤマレコは1051m、YAMAPと山と溪谷オンラインは1052mです。ヤマレコの別のページには1051.7mという小数付きの値もあり、切り捨てれば1051m、四捨五入すれば1052mになります。このブログでは、標高約1050mと書きます。
名郷から歩き始めたときの標高の目安を、表にまとめました。
| 地点 | 標高 |
|---|---|
| 名郷 | 338m |
| 妻坂峠 | 839m |
| 前武川岳 | 1003m |
| 武川岳山頂 | 1051m |
名郷から山頂までの標高差は約713mです。そのうち名郷から妻坂峠までで約501m、妻坂峠から山頂まででは約212mを登ります。前武川岳から山頂までは、わずか48mです。登りの大半は、前半の急登に集中しています。
初心者の評価は割れていて、YAMAPは体力2/5、ヤマクエストは中級
武川岳の難易度は、見る資料で評価が分かれます。結論から言うと、初心者でも歩けますが、準備なしで行く山ではありません。
| 評価元 | 評価 | 内容 |
|---|---|---|
| YAMAP | 技術レベル2/5、体力レベル2/5 | 登山道は整備され、標識も多く、人も多い。地図が読めない初心者だけでも迷いにくい |
| ヤマクエスト | 難易度レベル43(中級) | 登山ガイドとしての総合評価 |
YAMAPの説明は、標識が多く迷いにくいという点に軸があります。ヤマクエストは、同じ山を中級と位置づけています。2つの評価は、見ている部分が違うだけで、どちらも間違いではありません。
私は、体験記に書かれている中身のほうを重く見ます。登山口からしばらく急登が続くこと、武川岳から名栗元気プラザ方面への下りが急で脚力を消耗することが、体験記に書かれていました。そこには、低山だと甘く見ると痛い目に遭うので、十分に準備して臨むようにという注意も添えられています。武川岳と二子山を歩くコースを紹介した記事は、ゴロゴロした露岩と好展望を楽しめる一方、膝に厳しいコースと書いています。
つまり、道に迷う心配は小さく、脚の消耗は大きい山です。初めての人は、道迷いよりも膝と時間配分を心配したほうがいいでしょう。
名郷から周回する約5時間30分のコースが初心者の第一候補
初心者が最初に歩くなら、名郷発着の周回コースを選びます。バス1本で名郷に着き、同じ場所に戻ってこられるからです。
コースの流れは、名郷を出発して、天狗岩、前武川岳を通って武川岳の山頂へ登ります。下りは妻坂峠を経由して名郷へ戻ります。所要時間は約5時間30分です。別の情報では、名郷から妻坂峠を経て武川岳に登り、名郷へ戻るコースを約5時間としています。休憩を含めて5時間から5時間30分を見ておけば足ります。
バスの早い便を使った場合の時刻も、計算しておきます。飯能駅北口を7時30分に出発すると、名郷には8時25分に着きます。そこから5時間30分歩くと、名郷に戻るのは13時55分ごろです。7時00分発に乗れば、名郷着は7時59分で、戻りは13時30分ごろになります。昼食と山頂での休憩を入れても、午後の早い時間に下山できる計算です。
飯能市の観光サイトにも、天狗岩から武川岳へ登るコースが載っています。距離は約8.4kmです。
天狗岩の男坂は直登で登りごたえがある
天狗岩には、直登ルートの「男坂」があります。登りごたえがあると評価されている区間です。ところどころ急な箇所があり、岩場をよじ登るアクロバティックな楽しさがあります。
天狗岩は、登りに選んだほうが面白いコースになるという感想があります。ヤマレコには、妻坂峠から登って最後に天狗岩を通る、逆回りの山行記録もあります。順回りでも逆回りでも歩けますが、私は初心者に、天狗岩を登りに使う順回りをすすめます。登りに選ぶと面白いという感想を、根拠にしています。
妻坂峠を通って名郷へ戻る下り
山頂からの下りは、妻坂峠を経由します。標高839mの妻坂峠から名郷の338mまでは、約501mを降りることになります。急な下りが続くので、膝に負担がかかります。
下りの区間では、登りで使った体力の残りがものを言います。前半の急登で飛ばしすぎると、後半の下りで脚が持ちません。登りはゆっくり、というのが、この周回での基本です。
名郷までは飯能駅北口からバスで約1時間、運賃は890円
名郷への行き方は、西武池袋線の飯能駅から国際興業バスに乗る方法です。運行しているのは国際興業バスで、西武観光バスではありません。乗り場や会社名を間違えないようにしてください。
| 区間 | 手段 | 所要時間 | 運賃 |
|---|---|---|---|
| 飯能駅北口から名郷 | 国際興業バス(さわらびの湯行きなど) | 約1時間 | 890円 |
運行系統は、飯01と飯03の「飯能駅北口発 名栗車庫経由 名郷行」などです。時刻表は、平日と土日祝日で異なります。早い便の例は、7時00分発で7時59分着、7時30分発で8時25分着です。
7時00分発は所要59分、7時30分発は所要55分と、便によって数分の差があります。バスの時刻を見て、登山の開始時刻を決めましょう。運賃は改定されることがあるため、890円という金額も、出発前に最新の案内で確かめてください。
車で行く場合は名郷の有料駐車場に約10台
車で行くなら、名郷の有料駐車場を使います。料金は平日が500円、休日が700円で、駐車できるのは約10台です。
台数が約10台と少ないので、休日に車で向かうなら、早めに着く計画にします。平日と休日の料金差は200円です。料金の差よりも、台数の少なさのほうが気になる点です。
電車で歩き始める場合の駅
電車だけで登山口へ向かうなら、西武秩父線の駅から入る方法もあります。正丸駅は、正丸峠と伊豆ヶ岳の登山口として知られる駅で、平日も土休日も、飯能から西武秩父の間の各駅停車だけが停まります。芦ヶ久保駅は、二子山を経由するコースの起点です。
初心者には、駅から歩くコースより、名郷発着のバスを使うほうが、時間の見通しを立てやすくなります。
伊豆ヶ岳との縦走は初心者には二度目以降の宿題
伊豆ヶ岳と武川岳は、尾根でつながっています。間にあるのが山伏峠です。奥武蔵全山縦走のルートも、この二つの山を縦走する設定になっています。
縦走の魅力は、景色にあります。武川岳へ登り返す途中に、背後に伊豆ヶ岳の全貌を望める展望地があって、この1か所だけでも歩く価値があると感じた人がいました。
注意したいのは、伊豆ヶ岳の手前にある分岐です。核心部とされる「男坂」と、迂回路の「女坂」に分かれます。男坂は約50mの鎖場で、傾斜は思ったほど急ではないものの、高度感があります。初心者は、迷わず女坂を選んでください。鎖場に慣れていないなら、無理に男坂へ行く理由はありません。
正丸駅から伊豆ヶ岳、武川岳、大持山、小持山、武甲山へと続くルートもあります。距離が長いので、初心者が日帰りで挑むなら、体力と時間に余裕のある計画が要ります。
私の結論は、はっきりしています。初めての武川岳は、名郷発着の周回です。伊豆ヶ岳との縦走は、周回を歩いて脚の疲れ方がわかってから、二度目以降に選びます。
二子山を経由して名郷へ抜けるコースは芦ヶ久保駅が起点
もう一つの選択肢が、二子山を経由するコースです。西武秩父線の芦ヶ久保駅から二子山を通って武川岳に登り、名郷のバス停へ下ります。
芦ヶ久保駅からバスで二子山入口まで行く方法もあります。登山口までの足が、バスか徒歩かで選べます。
ヤマレコには、名郷、妻坂、芦ヶ久保を結ぶ武川岳のルート情報が登録されています。山と溪谷オンラインにも、名郷の登山口情報があります。地図やルートを事前に確かめたい人は、この2つのページを見ておくと、起点と下山口の位置関係がつかめます。
このコースは、登りと下りで駅が違うため、帰りは名郷からバスで飯能駅へ戻る流れになります。登山口の駅と下山口のバス停が違う縦断型なので、荷物は少なめにして、バスの時刻を先に調べておく必要があります。
後ほど書くとおり、クマの出没に関する記述では、二子山周辺の名前が出てきます。このコースを選ぶなら、クマ対策は必ず持っていきます。
3つのコースを比べると、初心者の第一候補は名郷発着の周回
ここまでの3コースを、起点と帰り方で並べ直します。
| コース | 起点 | 下山口 | 所要時間の情報 | 初心者への向き |
|---|---|---|---|---|
| 名郷周回 | 名郷(バス) | 名郷 | 約5時間30分 | 向く。同じ場所に戻れる |
| 伊豆ヶ岳との縦走 | 正丸駅など | 駅やバス停 | 資料に記載なし | 二度目以降。鎖場の男坂は女坂で迂回 |
| 二子山経由 | 芦ヶ久保駅 | 名郷のバス停 | 資料に記載なし | 向く人もいるが、起点と下山口が違う |
縦走と二子山経由のコースは、今回調べた資料に所要時間の記載がありませんでした。そこで、時間がはっきりしている名郷周回だけを、初心者向けの第一候補にしています。
時間の使い方も整理しておきます。周回の約5時間30分は、休憩込みで考える数字です。登りに前武川岳まで約50分、山頂での昼食を挟み、下りの妻坂峠から名郷までを残りの時間で歩く形になります。7時30分発のバスで名郷へ8時25分に着き、13時55分ごろに戻る計画なら、さわらびの湯の営業終了である18時まで、4時間ほどの余裕があります。余裕の分を、休憩と歩く速さの調整に回せます。
武川岳の山頂はベンチが並ぶ広場で、南に奥多摩の山並みが開ける
武川岳の山頂は広く、ベンチがいくつか置かれています。南側の名栗・奥多摩方面に眺めが開けていて、大岳山、大山、蕨山などが見えます。
雄大なパノラマではありません。奥多摩方面の山並みを眺めながら、ゆっくり休める山頂です。弁当を広げて、気持ちよく休憩する場所として向いています。
山頂の手前にある前武川岳は、標高1003mです。特に眺望はないものの、ベンチのある気持ちのよい空間です。名郷から歩くと、約50分で着きます。ここで一度、水分と行動食をとっておくと、山頂までの最後の登りが楽になります。前武川岳から山頂までは標高差48mなので、登りはここで終わりに近づいています。
クマの出没記録があるため、鈴と笛を持って歩く
武川岳には、クマの出没記録があります。ヤマレコの2020年1月の記録には、「武川岳 奥武蔵 熊出没、注意!」というタイトルのものがあります。別のブログ記事には、二子山周辺からクマの出没が多く、山頂付近でも出没があったと書かれています。
記録は過去のものです。ただし、2020年に記録が残っている以上、今回の山行でも備えを省くわけにはいきません。
対策は、基本的なものです。鈴や笛、ラジオなど、音の出るものを持ち歩きます。単独行動を避けます。早朝や夕方、雨や風の強い日は、特に気をつけます。7時台のバスで名郷に入る計画なら、歩き始めから朝の時間帯です。鈴や笛は、登山口から鳴らして歩きます。
最新の出没情報は、飯能市や埼玉県の公式発表で確認してから出かけると安心です。
冬は下山の林道が凍結する、重ね着で温度を調整する
冬の武川岳では、下山時の林道で雪が残り、凍結している箇所があったという記録があります。滑らないように、慎重に歩く必要があります。
雪が残る時期は、下りの林道で足を滑らせる危険があります。凍結した路面で急ぐと、転倒の原因になります。下山に使う時間を、夏より多く見ておきます。
服装は、体温を調整しやすいレイヤリング(重ね着)が向いています。登りで汗をかく山なので、脱ぎ着しやすい服を重ねて、休憩のたびに調整します。
下山後はさわらびの湯で汗を流す、食事は持ち込みで
下山後に寄れる温泉が、さわらびの湯(名栗温泉)です。住所は埼玉県飯能市下名栗685で、泉質は単純温泉です。地元の西川材を使った木造の天然温泉施設で、営業時間は10時から18時まで、GWや夏休みの特定日は19時までです。
名郷発のバス便は、さわらびの湯の方面にも通っています。バス停の名前として、さわらびの湯行きが出ている便もあります。名郷に8時25分に着いて、約5時間30分で戻る計画なら、午後の早い時間に温泉へ寄れます。
さわらびの湯の季節の楽しみも、案内されています。春は名栗湖畔の桜並木、初夏は有間川のホタル、秋は有間渓谷の紅葉です。
気をつけたいのは、食事です。館内に食事処はありません。休憩室は食事の持ち込みができるので、弁当を持っていくか、周辺の施設で食べることになります。山頂で弁当を食べ切らずに、温泉用の軽食を残しておく手もあります。
名郷から蕨山を経て、さわらびの湯へ下るコースも、おすすめとして案内されています。武川岳とは別の日に、蕨山を目的にして歩く計画も立てられます。
武川岳の日帰り計画でよくある疑問
標高は1051mなのか1052mなのか、という疑問が出てきます。答えは、どちらも使われています。ヤマレコは1051m、YAMAPと山と溪谷オンラインは1052mです。1051.7mという値は、切り捨てれば1051m、四捨五入すれば1052mになります。標高約1050mと覚えておけば、困りません。
初心者が日帰りで歩けるかという疑問には、歩けると答えます。YAMAPは技術レベルも体力レベルも2/5としていますし、名郷発着の周回なら約5時間30分で戻れます。ただし、ヤマクエストは中級と評価していて、急登と急な下りがあるので、体力に自信のない人は時間に余裕を持った計画にします。
所要時間は、名郷から妻坂峠を経由して戻る往復で約5時間、天狗岩と前武川岳を通る周回で約5時間30分です。
電車だけで行けるかという疑問には、バスを使えば行けると答えます。西武池袋線の飯能駅から国際興業バスで名郷まで約1時間で、運賃は890円です。駅から歩く場合は、西武秩父線の正丸駅や芦ヶ久保駅が起点になります。
車で行く場合の駐車場は、名郷の有料駐車場で、平日500円、休日700円、約10台分です。
食事はどうするかという疑問には、持参すると答えます。山頂にはベンチがあり、下山後のさわらびの湯には食事処がないからです。
武川岳の日帰り登山は、バスで名郷へ入る周回から始める
武川岳は、飯能駅北口からバスで約1時間の名郷を起点に、初心者でも日帰りで歩ける山です。名郷から天狗岩、前武川岳、山頂、妻坂峠と回る周回コースが、約5時間30分で最初の一本に向いています。
選び方は、ここまで書いたとおりです。初めてなら名郷発着の周回、鎖場に慣れたら伊豆ヶ岳との縦走、駅から歩きたいなら二子山経由と、使い分けられます。伊豆ヶ岳の男坂は、初心者なら女坂へ回ります。
備えは、3点に絞れます。急登と急な下りに備えて時間に余裕を持つこと、クマの出没に備えて鈴や笛を持つこと、冬は林道の凍結に備えて滑りにくい足元で歩くことです。
山頂のベンチで南の山並みを眺め、下山後はさわらびの湯で汗を流す。そのための日帰りの時間割は、バスの時刻から逆算して組んでください。
なお、ここで使った数字は、YAMAP、ヤマレコ、山と溪谷オンライン、ヤマクエストの各ページと、国際興業バスの時刻表情報、さわらびの湯を案内する各サイトで確認したものです。標高や所要時間は、サイトごとに数字が少し違います。出発の前に、自分が使うアプリや公式の案内で、もう一度見比べておくと確実です。








